さてユダヤというカテゴリーを作ってみた。とはいえこのデッカ版の指揮者の半分はユダヤ人だろう。モントゥーもショルティもユダヤ人だ。ということはカテゴリーとしてはとても大きなものになってしまう。そこでイスラエルとゆかりのある、バーンスタインとバレンボイムをチョイスした。そして録音年が1994年と遅すぎてカテゴリー分けできなかったアシュケナージが入った。
バーンスタインといえば、やっぱりニューヨークフィルを颯爽と振るスタイリッシュなイメージでしょうか。そしてウエストサイドストーリーの都会的センスでしょうか。かっこいいの一言ですが、この人悪い癖がありまして、旋律が東方的だったりするとネロネロとこぶしを回し始めるのです。ウクライナ系だから尚更なのかもしれません。マーラーでもよくやりますが、以前ストラヴィンスキーの教会音楽、スラヴ的であり古代教会的旋律なのですが、もうヌルヌルネロネロしておりまして作曲者の自作自演と比べるとナンジャコリャという珍版になってしまってました。
その彼がイスラエルフィルと組んでいるのですから、こらもう危険な匂いがします。物すごく遅い。言葉を変えれば重厚なのだが、ヌルヌルさせたくて遅くしているという疑いがあります。2部のイントロダクションなんてとてつもない遅さです。トータルタイム36分57秒と最も遅い録音になっています。多分これ以上遅いのはないのではないのかと思います。
ロシア系ユダヤ人がアルゼンチンに移住し、ブエノスアイレスで生まれ9歳でイスラエルに移住という経歴です。そのせいかバレンボイムにはユダヤ的な考えがあまり馴染まないようで、ワーグナーを振っています。マイスタージンガーを振っていますので、ユダヤ人というよりはコスモポリタンでしょう。
で、フルトヴェングラーに私淑しておりまして、ワグネリアンからは「ものまね」とまで酷評される向きもあるバレンボイムですが、師匠より過激な側面があります。極端なテンポ変化があります。ルバートでしょうか。その極端な例が第一部に出ています。
記録的な変化なのですが、耳で聞くとなんか平坦な演奏に聞こえてしまうのは多分曲のせいでしょう。
アシュケナージはユダヤというよりロシアとしか言いようのないところがあります。どちらかといえばピアニストとして有名です。そして早くからデビューしたので、何か年齢不詳なところがある。指揮者として33歳で活動を始めたのだが、その頃はよ芸として捉えられていたりしていた。80年代からラフマニノフの交響曲を録音し始めてようやく指揮もできるんだ!となった。
誠実な人という印象がある。この録音もそういった印象がある。ラインスドルフの演奏と合わせて聞くと楽しいかもしれない。
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