TATSURO SHIBUYA + ARCHITECTURE LANDSCAPE DESIGN STUDIO

アーキテクチュアは建築、ランドスケープは景観。風景を生かす建築環境デザインに取組んでいます。

古民家の改修/人に長く使われるような再生を!

2011-05-23 00:13:47 | サステナブル建築
鳳来寺に登ったあとに、近隣の湯谷温泉へ。
地元方のご紹介で合掌造りの古民家を移築して建てられたという旅館「はづ合掌」に行ってきました。

客室外観:モミジの葉の緑がとても美しく、建物の佇まいを引き立てています。
山の中ということもあってか、ちょうどヤマボウシが満開でした。


客室へと至るアプローチ:半屋外になっていて、深い庇から庭の緑を見渡すことができます。
深い庇がつくりだす縁側空間はセミパブリックな領域にもなっていて、民家再生プロジェクトでも参考になりそうです。

合掌造りの建物は、主にエントランス、ロビー、レストラン、宴会場となっていました。
旅館という施設のためか、漆喰のようなものが壁にも天井にも塗り込まれていて合掌造りの小屋組や屋根裏を一部しか見ることができないのは少し残念でした。

和組みのダイナミックな構造材に対して、ノペッとしてマットな質感の漆喰が重たく感じました。
天井の仕上には、漆喰を塗り込めるより、乾いた質感の軽くて繊細な木材の方が合うような気がしました。

伝統的な建築をそのまま使うのは難しく、現代の生活様式に合わせて翻訳のような設計作業が必要なります。
古い建築をそのまま保存したり、元の姿に復元するのではなく、現代的な手法で甦らせ積極的に活用すること。こうした改修のことを広い意味での動態保存とポジティブに位置づけ、古い建築を現代的な手法で再生していきたいと考えています。
藤屋」もその例のひとつです。

建築は人に愛され、必要とされて「なんぼ」のものだから、人に長く使われるような魅力を持つ設計が必要不可欠だと思います。

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