なんでこんなにつまらない木を、母は庭に植えているんだろう。
実家の庭の隅に、だいぶ大きくなって枝葉をかなり剪定された木が植えてありました。
敬老の日の連休に、用事で実家の新潟に帰省した折、庭を眺めて感じたことを、母に訪ねてみました。
すると、「そこにある、二鉢のハゼノキと一緒に買ってきて、残った一つを庭に直植えしたら、そんなに大きな木になってしまったのよ。」との返答。
鉢植えのハゼノキは、まだ幼木のような大きさです。
一方、直植のハゼノキは、かなり大きくなり存在感さえある木に成長しています。
生え育った場所によって、こんなにも見かけが変わるものかと、驚かされました。
葉が少し色づき始めたハゼノキ
鉢植えにした、盆栽と言っても良い二鉢のハゼノキは、これから紅葉して目を楽しませてくれるのでしょう。
ハゼノキ(櫨の木、黄櫨の木)はウルシ科ヌルデ属の落葉小高木で、単にハゼとも呼ばれています。
別名にリュウキュウハゼ、ロウノキ、トウハゼなどと呼ばれます。
東南アジアから東アジアの温暖な地域に自生し、日本には果実から木蝋を採取する資源作物として、江戸時代頃に琉球王国から持ち込まれ、それまで木蝋の主原料であったウルシの果実を駆逐したと言われています。
古い時代には、現在のヤマウルシやヤマハゼといった日本に自生するウルシ科の樹木のいくつかを、ハゼと称していたそうです。
俳句の世界では、秋に美しく紅葉するハゼノキを櫨紅葉(はぜもみじ)とよび、「櫨の実」とともに秋の季語とされています。
山ふかみ窓のつれづれとふものは色づきそむるはじの立ち枝
西行の歌で、通釈は「山深く住んでいるので、窓辺で過ごす無聊のひとときを見舞ってくれるものと言ったら、この季節、色づき始める櫨の立ち枝です」といもの。
無論、西行が歌ったこの櫨の木は、現在のハゼノキでは無く、日本に自生していたヤマウルシやヤマハゼを指すのでしょう。
実家の直植されたハゼノキは、今はつまらない木ですが、しばらくすると紅葉して目を楽しませてくれるはずです。
1階はRCの倉庫・その上の2階屋根に届く高さに育ったハゼノキ
同じ種類の木でも、その木が生い育った環境により、その姿形が大きく異なります。
そして、その木の一生も、違ったものとなるに違いありません。
盆栽となったハゼノキは、毎日水やりなど人の世話を受けて生育し、人の目を楽しませるように、自然の風雨に耐えたような姿形に整えられ、鉢の中で生育する程度に大きさを限定され、時には室内にも置かれ鑑賞されます。
一方、庭に直植されたハゼノキは、今年の猛暑にもじっと我慢して枝葉を広げ、時には昆虫に樹液を吸われ、また冬には雪国の風雪に耐え、その木の一生を過ごします。
盆栽と直植のハゼノキは、見た目も同じ種類の植物と思えないほどの差異がありますが、その木の一生も、大きく異なるように思います。
私たち人間は「環境の動物である」という定義に従えば、その人の生育した環境や教育の違いにより、見かけはハゼノキほどの差異は認められなくとも、その内面やその生き様はハゼノキ以上の差異があるように思います。
ところで、新潟に帰省して実家の庭を眺めると、秋の到来を感じます。
斑入りの葉を持つススキに穂が出て、その下には寄生植物のナンバンギセルの花が数多く咲いていました。
ハマウツボ科の一年草
ススキのほかチガヤ、サトウキビ、ミョウガなどに寄生する
オモイグサ(思草)とも呼び、『万葉集』にも詠まれる
花がうなだれて咲き、その形が物思いげにみえることによる
食虫植物のモウセンゴケも元気に繁殖していました。
水草に付いていた種から最初は芽を出して、今では庭のいたるところに生育しているとか。
モウセンゴケは、コケと言う名が付いていますが、れっきとした種子植物です。
モウセンゴケは、被子植物門のモウセンゴケ科に属する植物
食虫植物の一種で、葉にある粘毛から粘液を分泌して虫を捕獲する
ミズゴケ類の育つような湿地に生育する
背の低い草で、茎はごく短く、地面から葉を放射状に出す
一面に生育している場所では毛氈を敷いたように見えることから、毛氈苔の名がある
私が子どもの頃より飼っている錦鯉が庭の池で泳いでいます。体長1m近くある錦鯉の大物たちです。
帰省中に、鯉屋さんが訪ねて来て、最近の錦鯉事情も伺うことができました。
鯉は、上手に飼育すれば、優に100年は生きるそうです。
我が家では、飼育する手間等の事情で、それらの鯉を処分することになっていました。
しかし、鯉屋さんの厚意によりしばらくは飼い続けていけそうです。
錦鯉は、普通の鯉を観賞用に養殖した変種
中国の西晋時代(4世紀)の書に、さまざまな色の鯉について言及されている
錦鯉を育てることは19世紀の新潟県で始まったと一般的に考えられている
新潟県は、現在でも国内で有数の錦鯉養殖地
2004年新潟県中越地震により、旧山古志村を始め一時壊滅的な被害を受けた
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実家の庭の隅に、だいぶ大きくなって枝葉をかなり剪定された木が植えてありました。
敬老の日の連休に、用事で実家の新潟に帰省した折、庭を眺めて感じたことを、母に訪ねてみました。
すると、「そこにある、二鉢のハゼノキと一緒に買ってきて、残った一つを庭に直植えしたら、そんなに大きな木になってしまったのよ。」との返答。
鉢植えのハゼノキは、まだ幼木のような大きさです。
一方、直植のハゼノキは、かなり大きくなり存在感さえある木に成長しています。
生え育った場所によって、こんなにも見かけが変わるものかと、驚かされました。
葉が少し色づき始めたハゼノキ
鉢植えにした、盆栽と言っても良い二鉢のハゼノキは、これから紅葉して目を楽しませてくれるのでしょう。
ハゼノキ(櫨の木、黄櫨の木)はウルシ科ヌルデ属の落葉小高木で、単にハゼとも呼ばれています。
別名にリュウキュウハゼ、ロウノキ、トウハゼなどと呼ばれます。
東南アジアから東アジアの温暖な地域に自生し、日本には果実から木蝋を採取する資源作物として、江戸時代頃に琉球王国から持ち込まれ、それまで木蝋の主原料であったウルシの果実を駆逐したと言われています。
古い時代には、現在のヤマウルシやヤマハゼといった日本に自生するウルシ科の樹木のいくつかを、ハゼと称していたそうです。
俳句の世界では、秋に美しく紅葉するハゼノキを櫨紅葉(はぜもみじ)とよび、「櫨の実」とともに秋の季語とされています。
山ふかみ窓のつれづれとふものは色づきそむるはじの立ち枝
西行の歌で、通釈は「山深く住んでいるので、窓辺で過ごす無聊のひとときを見舞ってくれるものと言ったら、この季節、色づき始める櫨の立ち枝です」といもの。
無論、西行が歌ったこの櫨の木は、現在のハゼノキでは無く、日本に自生していたヤマウルシやヤマハゼを指すのでしょう。
実家の直植されたハゼノキは、今はつまらない木ですが、しばらくすると紅葉して目を楽しませてくれるはずです。
1階はRCの倉庫・その上の2階屋根に届く高さに育ったハゼノキ
同じ種類の木でも、その木が生い育った環境により、その姿形が大きく異なります。
そして、その木の一生も、違ったものとなるに違いありません。
盆栽となったハゼノキは、毎日水やりなど人の世話を受けて生育し、人の目を楽しませるように、自然の風雨に耐えたような姿形に整えられ、鉢の中で生育する程度に大きさを限定され、時には室内にも置かれ鑑賞されます。
一方、庭に直植されたハゼノキは、今年の猛暑にもじっと我慢して枝葉を広げ、時には昆虫に樹液を吸われ、また冬には雪国の風雪に耐え、その木の一生を過ごします。
盆栽と直植のハゼノキは、見た目も同じ種類の植物と思えないほどの差異がありますが、その木の一生も、大きく異なるように思います。
私たち人間は「環境の動物である」という定義に従えば、その人の生育した環境や教育の違いにより、見かけはハゼノキほどの差異は認められなくとも、その内面やその生き様はハゼノキ以上の差異があるように思います。
ところで、新潟に帰省して実家の庭を眺めると、秋の到来を感じます。
斑入りの葉を持つススキに穂が出て、その下には寄生植物のナンバンギセルの花が数多く咲いていました。
ハマウツボ科の一年草
ススキのほかチガヤ、サトウキビ、ミョウガなどに寄生する
オモイグサ(思草)とも呼び、『万葉集』にも詠まれる
花がうなだれて咲き、その形が物思いげにみえることによる
食虫植物のモウセンゴケも元気に繁殖していました。
水草に付いていた種から最初は芽を出して、今では庭のいたるところに生育しているとか。
モウセンゴケは、コケと言う名が付いていますが、れっきとした種子植物です。
モウセンゴケは、被子植物門のモウセンゴケ科に属する植物
食虫植物の一種で、葉にある粘毛から粘液を分泌して虫を捕獲する
ミズゴケ類の育つような湿地に生育する
背の低い草で、茎はごく短く、地面から葉を放射状に出す
一面に生育している場所では毛氈を敷いたように見えることから、毛氈苔の名がある
私が子どもの頃より飼っている錦鯉が庭の池で泳いでいます。体長1m近くある錦鯉の大物たちです。
帰省中に、鯉屋さんが訪ねて来て、最近の錦鯉事情も伺うことができました。
鯉は、上手に飼育すれば、優に100年は生きるそうです。
我が家では、飼育する手間等の事情で、それらの鯉を処分することになっていました。
しかし、鯉屋さんの厚意によりしばらくは飼い続けていけそうです。
錦鯉は、普通の鯉を観賞用に養殖した変種
中国の西晋時代(4世紀)の書に、さまざまな色の鯉について言及されている
錦鯉を育てることは19世紀の新潟県で始まったと一般的に考えられている
新潟県は、現在でも国内で有数の錦鯉養殖地
2004年新潟県中越地震により、旧山古志村を始め一時壊滅的な被害を受けた
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