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ロースクール留学(していた)日記

米国ロースクールLLM卒業生の日常→アメリカ駐在員の日常

倫理

2014-03-25 09:02:40 | NY BAR
落ちたら恥ずかしいかなーと思ったので合格(=必要な点数をとること)してから投稿しようと思ったのですが、そこまで待つほどたいそうな内容でもないのでささっと投稿します。

今週末にMPREの試験を受けてきます。MPRE=法曹倫理試験です。
全米共通のテストでして、採点結果は合否ではなく得点表示されるのですが、各州がそれぞれ必要な点数を定めているので、それに満たないと不合格ということになります。
MPREの合格はNYBAR合格後の宣誓までにあればいいのですが、たいていのLLM生は留学した年の11月か翌年の3月に受験します。(もちろん、NYBAR受験後の8月に受けるという人もいます)

参考:NY州の必要得点(=85点)

試験の概要:
・出題範囲:法曹倫理のモデルルール、関連判例ほか
・時間:2時間
・問題数:60問(ただし10問は採点されないダミー)
・得点:50点から150点で、100点が平均点となるように計算される。
・言語:英語
・形式:4択問題

法曹”倫理”というと、常識で回答できそうなものと思ってしまうかもしれませんが、相反する価値観のぶつかり合いなど意外と悩む問題もあったりします。とはいえ、大抵の人は2週間から1か月の勉強で合格点を取っているようです。大抵の州で、6割取れれば合格可能性ラインで、7割で合格確実圏のようです。受験した友人によれば、4択のうち2択まではしぼれるけど、その二つから絞るのが難儀するとか。

そういえば、某NYBAR予備校の担当者が校内説明会で、司法試験択一はこんな感じなので注意してね(=だから我々と契約してノウハウ学んでね)と言っていました。極端な例なのでどこまで信じていいのかよくわからないですけど、たぶん、MPREも近いところがあるんでしょう。きっと。
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<問題>次の選択肢のうち、もっとも正しいものを選べ。米国の首都はどこにあるか?
A;ニューヨーク
B;カリフォルニア
C;テキサス
D;バージニア

正解:バージニア。一番ワシントンDCに近いので”もっとも正しい”。
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ニューヨーク州司法試験について(試験概要)

2014-01-01 07:34:56 | NY BAR
ニューヨーク州司法試験(NY BARとも言う)について、簡単にメモを書いてみたいと思います。

試験の日数は2日です。

●1日目:NY州法のテスト
1日目の午前(3時間)は論文試験3問と択一50問
1日目の午後(3時間)は論文試験2問(90分)と90分の”MPT”
※MPT:マルチパフォーマンステスト。架空の法律、判例、事件等を与えられて、その資料を基に法的な見解を出す論文試験。見解メモなどを作成する。

<論文出題範囲>
Agency
Conflict of Laws
Commercial Paper
Corporations
Domestic Relations
Federal Jurisdiction
Future Interests
Insurance
New York Practice
New York Professional Responsibility
Partnership
Secured Transactions
Trusts
Wills
Worker's Compensation
MBE科目(NY州法で違いがあればそれを適用)

●2日目:全州に共通するテスト
2日目の午前(3時間):MBE100問
2日目の午後(3時間):MBE100問
”MBE”が3時間×2になっています。MBEは200問で構成されている全州(もしくはほぼ全州な)共通の法を扱った択一問題です。200問ありますが、そのうち10問はTOEICのように採点されないダミー問題だそうです。
※MBE:マルチステートバーイグザム。

<MBE出題範囲>
Constitutional Law 31問
Contracts/Sales 33問
Criminal Law & Criminal Procedure 33問
Evidence 31問
Real Property 31問
Torts 31問

これらの素点は、
・論文:40%
・MBE:40%
・NY択一:10%
・MPT:10%
の重みづけで評価されまして、偏差値の修正が入った後に、合計で665点/1000点で合格できるようです。

なお、そのほかNY州弁護士資格を取得するためにはMPRE(全州共通の法曹倫理テスト。NYBARとは別に実施)及びプロボノ(法律業務のボランティア。50時間。今年から必要に…(泣))をクリアする必要があります。


噂によれば、論文試験はそんなに大きな差が出ず(各10点満点中、5点でも取れれば上出来らしい)、NY択一(MBEの知識と共通する点もあり)とMPT(事前の法律知識は不要(架空の法律なので))は配点が低いので、日本人の場合はMBEでどこまで点が伸ばせるかが勝負なようです。


ところでなんでアメリカの司法試験(や法曹)をBARって言うのかなとずっと気になってたんですが、
WIKIPEDIAの説明を借りれば、BARは法律関係だと次のような意味があるそうで、
>・Bar (law), the division of a courtroom between working and public areas; the process of qualifying to practice law; or the legal profession
>・Bar association, a professional body of lawyers
>・Bar examination, a test for lawyers
先日読んでいた書籍("101 Things I Learned in Law School")によれば、一点目の"BAR"が語源だそうで。つまり、法廷には傍聴席と関係者(裁判官、弁護士、原告、被告)席の間に敷居がありますが、この閲覧席と傍聴者席を分ける敷居(バー)を超えるには資格が必要なので(守衛や記録係は別ですが…)、転じて関係者や試験自体をBARというようになったとか。


最後に、過去の論文問題と回答例はこちらにあります。
<http://www.nybarexam.org/ExamQuestions/ExamQuestions.htm>