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ロースクール留学(していた)日記

米国ロースクールLLM卒業生の日常→アメリカ駐在員の日常

危機管理の重要性

2014-05-24 07:15:15 | ロースクール・法務・法律・仕事ネタ関連
こんにちは。

世界中で政変や紛争等が勃発する今日において、世界中にビジネスや従業員を持つグローバル企業はその危機管理が重要になってくると思います。

例えば、下記サイトの写真のとおり先週のワシントンDCではゾンビが発生しました。(※試験勉強中のロースクール生のことではありません。)
(参考:CNN(日本語))

以前にアメリカの米疾病対策センターでもゾンビに関するマニュアルを作成していたようですが(参考:ニューズウィーク(日本語)); CDCサイト内の該当記事)、今度はペンタゴンの対応計画が話題になっているみたいですね。

英語版のCNNの記事(http://www.cnn.com/2014/05/16/politics/pentagon-zombie-apocalypse/)からは実際のドキュメントへのリンクが張ってありまして、ちょっぴり覗いてみたところ、次の通り法的観点からの考察もありました。


いわく、軍事作戦を規制する米国法及び国際法はゾンビについては特にルールを定めていないよ、とのこと。


仮にルールを定めるとしたらどうなるんでしょうね。国際法だとハーグ陸戦条約みたいになるんでしょうか。

仮に普通の国内法でポリスがゾンビを逮捕するとしたら、やはりミランダ警告(よくアメリカのドラマで警察が逮捕の際に早口で宣言しているセリフ)は必要なんでしょうかね。あるいはゾンビに対して攻撃を行った場合、犯罪は成立するんでしょうかね。
(ゾンビが国内法上は死者なのかどうかが分かれ目か?)

卒業しました

2014-05-19 08:52:57 | ロースクール・法務・法律・仕事ネタ関連
卒業しました!

天候にも恵まれ、とても良い雰囲気の中での卒業式でした。


本当にあっというまの留学生活でしたが、うまくいったことも、あまりうまくいかなかったことも、すべて含めていい経験になりました。これも応援&支援いただいた皆様のおかげです。ありがとうございました!

まずはご報告まで。

終了?修了?

2014-05-08 15:51:40 | ロースクール・法務・法律・仕事ネタ関連
こんにちは。

期末試験がすべて終了しました。単位を落としていることはさすがにないと思うので、あとは卒業式を待つのみとなりました。

一コマは2時間か3時間で春学期は13weeksでしたので、だいたい1科目当たり26から39時間しかないのですが、それでも科目によってはバインダー一冊分くらいの資料になりましたので、試験が終わるごとにその科目のアウトラインをゴミ箱に投げる時の解放感がたまらなかったです。(もちろん、電子データはとってあります!)

しばしの休息ということで、少々のんびりしようかなと思っています。

価値観のぶつかり合い

2014-04-24 09:43:14 | ロースクール・法務・法律・仕事ネタ関連


満開の花が咲いていた木を粉砕してしまった写真です。これはたまに行くピザ屋の近くに生えていまして、きれいになったなーと思っていたところ、こんなことになっていました。

これはこの地域ではじまった道路の整備事業の一環で伐採されたようでして、この木は中央分離帯的な位置に生えていましたので、工事に邪魔かといえば邪魔なのでしょうが、まさに満開のときに粉砕しなくても…と直感的に思ってしまいました。

他方、、、
・この木が一本あるからといって工事を中止するのか
・伐採しないけれども工事をするとして、例えば、この木をどこかへ植え替えるコストはどうするのか
・自分が知らないだけで、実はこの木は病気にかかっていて伐採する必要があったのではないか
・そもそもこの木だけを気にする必要があるのか(他にもっとひどいことはいくらでもあるのではないか)
・満開でなかったら気にしないのか
・仮に事前にこの計画を知っていたとして何らかの行動を起こしたのか
・いまこの事実を知ったとして何らかの行動を起こすのか
と冷静になって考えてみると、はたしてどうなんでしょう。何を基準として判断するのがいいんでしょうね。


さて、今学期は憲法を受講していますが、最高裁まで来るような憲法問題は価値観のぶつかり合いが特に顕著です。
(アメリカの最高裁は原則としてそもそも裁量的にしか案件を受諾しないですし)

たとえば、つい先日も、大学入試の人種に関するアファーマティブアクション関連で、
Supreme Court upholds Michigan’s ban on racial preferences in university admissions
というニュースが流れていました。

>The decision further illustrates the court’s skepticism about race-conscious government programs. In effect, the ruling says that universities may still employ the limited consideration of race authorized in previous Supreme Court rulings. But it also said that voters and legislators also have the right to curtail such plans. That it took five separate opinions totaling 102 pages written over six months to reach that result is a sign of how divided the court remains on the issue.

時間がないのでまだ判決を読んでいませんけども、裁判官のなかでも完全に一つの意見にはまとまらず様々な意見(説明)が出ています。特に反対意見(判決にならなかったマイナー意見)を書いたSotomayor裁判官(最高裁初のヒスパニック系裁判官かつ史上3人目の女性裁判官)は50ページ超にわたり、統計図も駆使しつつ熱弁をふるっているようです。

ちなみに大学(院)入試の人種優遇については過去に次のようなケースもあります。
・Regents of the University of California v. Bakke (白人男性の学生が、マイノリティの入学数確保政策(人種別の人数割り当て)がために、UCデービス医学部に不合格となった事例)⇒人種は考慮しても良いが、人数割り当て自体は違憲
・Grutter v. Bollinger(白人のロースクール受験生が、入学選考プロセスで人種を考慮要素の一つにすることは違憲だと訴えた事例)⇒合憲


なお、人種に関する違憲審査基準はもっとも厳しいものとして設定されていまして、"Strict Scrutiny"の基準でもって政府の(立法)行為が審査されます。この審査は大抵とおらないので、この基準で審査されるとなると十中八九違憲になります。(例外:Korematsu v. U.S.:WW2中の日系米人強制抑留関連)

・概要はこちら:コーネル大学の用語説明(英語)

懲罰的損害賠償

2014-04-21 23:28:04 | ロースクール・法務・法律・仕事ネタ関連
こんにちは。こちらはイースターが終わりまして、授業も残すところ約1週間になりました。

さて、例によって、日本のニュースを見ていたところこんなニュースを見つけました。
武田薬品、衝撃の「懲罰賠償6100億円」はわずか45分で評決されただそうです。

だいたい懲罰賠償ときたらマックの話が紹介されますけども、やっぱり書いてありましたね (Liebeck v. McDonald)。記事のトーンも典型的な感じです。

懲罰賠償についてはアメリカでも是非が議論(例:懲罰による抑止効果に疑問がある、結局のところ儲かるのは弁護士だけ、企業の経済活動を妨害しているデメリットが大きい、懲罰賠償が認められやすい特定地域で訴えるフォーラムショッピングが著しい)されているようですけども、とりあえず、裁判官や陪審員の裁量でもってなんでもかんでも認められるというわけではないです。

たとえば2007年の連邦最高裁の判例(Philip Morris USA v. Williams)では、懲罰賠償について憲法上のDue Processの観点から一定の制限があることを判示しています。
(原文はこちら。)