日本では、家は車のようなものです。新居の価値は購入すると同時に購入額よりも低くなり、40年後に住宅ローンを払い終える頃にはほとんど価値はありません。
BBCの特派員として初めて日本に来たときに私は戸惑いましたが、10年後の今、帰国の途に就くにあたりその心情に変わりはありません。
ここは世界第3位の経済大国です。これが世界一長い平均寿命、世界一低い殺人率、政治的対立の少なさ、強力なパスポート、世界一の高速鉄道網として崇高な新幹線などを誇る、平和で豊かな国の姿なのです。
かつてアメリカやヨーロッパは、日本の巨大な経済力を恐れていました。それは今日、中国の経済力の増大を恐れているのと同じです。
しかし結局、世界が期待する日本の姿を目の当たりにすることはありませんでした。1980年代後半、日本人はアメリカ人よりも裕福でしたが、今や日本人の所得はイギリス人よりも低いのです。
日本は何十年もの間、変化への底深い抵抗と過去への頑固な執着に阻まれつつ、低迷する経済と闘ってきました。そして今、日本は高齢化と人口減少に直面しています。日本は行き詰まっているのです。
目次
- 未来はここに
- 外部要因
- 旧態依然とした権力者たち
- まとめ