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 愛犬の「クローン」を賞品とするコンテストが英国で開催されることになり、是非をめぐり議論になっている。主催は韓国の秀岩生命工学研究院。ES細胞(胚〈はい〉性幹細胞)に関する論文を捏造(ねつぞう)し、2006年にソウル大教授職を罷免(ひめん)された黄禹錫(ファンウソク)氏が率いる。募集開始から数日ですでに30件以上の応募があるといい、提携先が見つかれば、日本でも実施したいという。

 クローン犬作製には約1千万円かかる。今回のコンテストは愛犬のクローンづくりのビジネスを英国に広げることが狙い。飼い主が「なぜ愛犬のクローンが必要か」について主張し合い、優勝者には無料でクローン犬を提供するという。

 同研究院は5年ほど前からクローン犬作製を本格的にビジネス化。これまでに米国の富裕層のペットや韓国の救助犬など400匹以上の複製に成功し、日本からの依頼もあるという。

 クローン犬は、愛犬の皮膚組織などの体細胞から核を取り出し、別の犬から提供された卵子に移植、それを「代理母」となる犬の子宮に移植してつくられる。

 英国では今回の件が公になって以降、「飼い主のために卵子提供や代理出産は許されるのか」などの批判の声が上がっている。(岡崎明子)