私は、全摘手術の時にリンパ郭清している。
だから、現在も体調が悪くなったり、抗ガン剤が強く反応すると
リンパ浮腫が左腕に出てくる。
しかし、(あくまでも)私の場合については、リンパ郭清した事は、
間違いではなかったと思っている。
思えば、2002年11/18にした手術の前に、金沢の主治医とも福井の主治医ともに
リンパ郭清するかしないかを揉めた経緯があった。
それは、なぜかと言うと、私の職業が「絵を描く」画家だったからだ。
どちらの主治医もリンパ郭清すれば、リンパ浮腫になる可能性があると心配していた。
リンパ浮腫になる→絵を描く事が困難になる→QOLが下がる→お勧め出来ない
…という事だった。
だからと言って、私のような炎症性乳ガンの場合はかなりの確率で
リンパへの転移が認められる。
実際、術前の検査段階では、すでにリンパへの転移が2~3個認められていた。
しかし、炎症性乳ガンの場合、リンパ郭清したからと言って、
「予後にはまったく変わりがない」というのが揉めた原因なのだ。
要するにエビデンスに基づいた治療にこだわるとリンパは郭清しないという事だ。
そこで、「では、他の臓器には転移がないのか???」という疑問が
当然出てくる。
何度も私はしつこいくらいに相談した。
私があまりにしつこいので、他の臓器に転移がなければ、
リンパ節への転移を残しておくより取っておいた方が良いのではないのか?
という玉虫色の模様を呈してきた。
そして、私の体の他の臓器への転移をシラミ潰しに調べた。
結果、他への転移は認められなかった。
金沢のI Dr.は、「(リンパ節転移を)残しておいても、すっきりしないでしょう。
○○(私の事)さんは、はっきりさせたい人だからね~。」(笑)と諦め顔で言った。
それでも、私は迷っていた。
その翌週に行った福井の診察では、
K Dr.は、「じゃ、(スッキリ)取りましょうか!」
と明るい声で言った。
(まるで、Iドクターと示し合わせたかのようなお答え…。)
元々、K Dr.は予後が変わらなくとも、リンパ節郭清をするか、しないかは
その人の生き方にかかわる事なので、医者が決めるのではなく、
患者さんの意志で決めるべきという考え方なのだ。
但し、どちらにもリスクがあり、その結論を私が出すまで待ってくれていた。
こうして、私は郭清する事になった。
(※ただし、初期の乳ガンの場合は、術中に
センチネルリンパ節
を検査して、郭清するかしないかを判断する事も出来ます。)
同じ頃、炎症性乳ガンで知り合った方は、
独身だった事もあり、リンパ郭清しなかった。
その事で後々の転移も私よりも早く、苦労なさっていた。
かなり進行した状態で、リンパ節を切除したので
体だけでなく精神的にもダメージも受けていた。
私個人的な気持ちとしては、体の中に転移巣が残るっていう事は
患者の気持ち的にもあまり良い事ではないと思う。
このリンパ郭清についての選択は、患者が術後の生活をする上でかなり大切な事だ。
しかも、リンパ郭清した後のリンパ浮腫について正しい指導や
マッサージ等が出来る人材があるとは言えない日本の状況だ。
折しも、先月末ようやく入院中に1回に限りのリンパ浮腫に対する指導、治療が
医師、看護師、理学療法士でも保険診療で可能になった。
今までは、良心的な病院、施設でのオプショナルサービスだったのだ。
これからは、入院中だけでなく、リンパ浮腫になった患者の
指導・治療に対して広く保険診療が認められて欲しいと思う。
そうしなければ、積極的にリンパ浮腫の治療等は改善されないからだ。
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~1月30日中医協の資料より~ 2008年4月より改訂
(以下抜粋)
まだ点数は入っていませんが、おおむねこの内容で進むものと思われます。
概要は下記のとおりです。
骨子【III-1-(8)】
リンパ浮腫に関する指導の評価
第1 基本的な考え方
リンパ節郭清の範囲が大きい乳がん、子宮がん、卵巣がん、前立腺がんの
手術後にしばしば発症する四肢のリンパ浮腫について、その発症防止のため
の指導について評価を行う。
第2 具体的な内容
リンパ浮腫の治療・指導の経験を有する
医師又は医師の指示に基づき看護
師、理学療法士が、子宮悪性腫瘍、子宮附属器悪性腫瘍、前立腺悪性腫瘍又
は腋窩部郭清(腋窩リンパ節郭清術)を伴う乳腺悪性腫瘍に対する手術を行
った患者に対し、手術前後にリンパ浮腫に対する適切な指導を個別に実施し
た場合の管理料を新設する。
リンパ浮腫指導管理料 ○○○点(入院中1回)
[算定要件]
保険医療機関に入院中の患者であって、子宮悪性腫瘍、子宮附属器悪性腫瘍、前立
腺悪性腫瘍又は腋窩部郭清を伴う乳腺悪性腫瘍に対する手術を行ったものに対して、
医師又は医師の指示に基づき看護師等(准看護師を除く。)が当該手術を行った日の
属する月又は当該手術を行った日の属する月の前月若しくはその翌月のいずれかにリ
ンパ浮腫の重症化等を抑制するための指導を実施した場合に、
入院中1回に限り算定
する 。
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私の場合は、理学療法士であるパパが、術後のマッサージ等をしてくれたので
軽い浮腫はあるが、あまり苦労はしなかった。
それでも、腕が重くなると自分でマッサージしたり、
ドクターメドマー(エアマッサージの機械)を術前に購入し使っていた。
これは腕のものや足のものもある。
術後、この機械を使うと、なぜかトイレに行きたくなった。
体全体の血行不良やぷくっと膨れてしまった脇の下の
リンパ管の流れの悪さに役立っていたのだと思う。
しかも、なにしろ、気持ち良~いぃ。
その事を踏まえて、リンパ浮腫は、
酷くなる前に自分でマッサージするなり、
機械を使ったりしたり、
弾性スリーブを使ったりして、予防して欲しいと思う。
そうゆう私も術後から使っているメドマーが、
ついこの間、壊れてしまった。
早く修理に出さねば…。
最近はお風呂で、左腕をモミモミの日々なのである。
リンパ郭清についてや、リンパ浮腫に悩んでいる皆さん、是非ご一考あれ~。