よしーの世界

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未来の地図帳   河合雅司

2022-01-23 08:07:50 | 
日本が少子高齢化社会になっていることは常識で、明らかに弊害が見て取れるが、政府は何とか人口を

少しでも増加できないかと無謀な政策に振れようとしている。しかし少子高齢化のスピードは速く、い

つもの場当たり的政策では何の解決にもならない。日本の政治家は「今」だけしか頭にないので将来を

見通して考察するなど不可能と思える。


人口減少は日本全国一律に起こるものではない。地域によって減少の数値も、減り方も、全く異なる。

中央集権的発想では対処することは無理な話で、その地域によって違う政策が必要になる。


著者はデータを分析し読者に分かりやすく解説しているが、その驚くべき実態が次々に明らかになって

くる。例えば選挙区の10増10減が話題になっているが、47都道府県でさえ維持できないのだ。2045年

に島根県は69.4万人→52.9万人、鳥取県が57.3万人→44.9万人という予想が成り立つ、政令指定都市の

人口をはるかに下回る。これでは一票の格差は拡大するばかりで、地方自治体の仕事が成立しない状況

になる。


東京圏への一極集中は昨今の大きな傾向で新幹線等による地域間の移動スピードが速くなればなるほど

ストロー現象で加速度的に進んでいる。新型コロナの影響で多少緩和されるとは思うが、政治も経済も

中心を東京に置くかぎり劇的な変化は望めない。


遅きに失した感があるが、今からでも対策を立てなければ日本はドンドン住みにくい国になってしまう。

本書では既存地方自治体とは異なる地域の拠点造りを提言している。イタリア・ソロメロ村の成功例や

日本でも香川県高松市の「丸亀商店街」を取り上げている。私たちは将来を展望し、想像力を膨らませ

今から備えることだ。地域活動に参加することも重要だ。


       未来の地図帳   河合雅司           講談社現代新書


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