よしーの世界

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日本語は生きのびるか   平川祐弘

2022-01-19 06:44:25 | 
日本語は日本国内でしか使用されていません。国によっては元々使われていた言葉ではなく、例えば今や

世界中を支配したような英語を主に使っている国は沢山あります。何しろ旧植民地政策に始まって、近年

のグローバル化で世界中何処に行っても通じることが可能なのです。スペイン語も使用言語として広範囲

で使われていますが、日本語が使われている国は他になく、日本人は海外に行けば他言語を使用するしか

方法が無いのです。


日本は周知のとおり人口減少が顕著で、さらにビジネスにおいてもここ30年で沈没状態、海外において

国の存在感は年々薄くなるばかり。このままでは日本語を使う場面が減り、他言語に圧倒されてしまう、

そんな未来がくるかもしれません。著者はフランス、イタリア、ドイツに留学経験があり、東大教養学部

の他、北米、中国、台湾等で教壇に立った経験から日本語の可能性を論じ、現在の教育を憂えていますが、

日本の政治家は今だけで精一杯で将来を考える余裕などなさそうです。


本書ではこれから英語を母語とする人々に有利になるだろうと言っています。英語という言葉に含まれる

価値観が世界的な価値観として広く通用するからだという。それでもこれからのグローバル社会では国の

生存のためにバイリンガルでバイカルチュラルな日本人を養成する必要があると著者は力説する。


そして文化的なアイデンティティーを大切に保持する必要も説いている。これから世界で発言力を持つた

めに三点測量のできる能力について話しています。英語だけではなく、第二外国語、さらに日本人ならば

第二外国語の一つとして日本語の古文、漢文も数えてよいという。三点測量が空間的だけでなく、時間的

にも有効だと。面白いのは日本の古文を英訳で読むという試みです。確かに理解しやすい。


英語の支配は現実ですが、現代の世界を顧みれば白人的価値観、思考方法に限界がある事は誰しもが思っ

ている事でしょう。違った角度から考える必要性を感じる昨今、本書の提言は身に沁みる。


     日本語は生きのびるか   平川祐(旧漢字)弘         河出ブックス
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