菜の花や油乏しき小家がち
菜の花や和泉河内へ小商(こあきなひ)
菜の花や鯨もよらず海くれぬ
菜の花や月は東に日は西に
菜の花や遠山鳥の尾上まで
菜の花や法師が宿は訪ハで過し
菜の花やみな出はらひし矢走舟(やばせぶね)
菜の花や壬生の隠家(かくれが)誰々(たれたれ)ぞ
狐啼てなの花寒き夕辺哉
なのはなや笋(たけのこ)見ゆる小風呂敷
なのはなや昼一しきり海の音
なのはなや魔爺(まや)を下れば日のくるゝ
菜の花に僧の脚半の下りけり
菜の花の黄なるむかしを青田かな
菜の花の土にやつるゝ岡辺哉