われいまここに海の青さのかぎりなし
われここに花ありて蝶
我とわが子と二人のみ干潟鳶舞ふ日
われひとりのぼる満山の虫なき
われをしみじみ風が出て来て考へさせる
別れきてさみしい濁酒(ドブ)があつた
別れきてつくつくぼうし
わかれしなの椿の花は一輪ざしに(黎々火君に)
わかれてひとり、空のどこかに冷たい眼(悪友善友に)
もう暮れる火の燃え立つなり
燃えに燃ゆる火なりうつくしく
もくもくとしてしぐるる白い函をまへに
百舌鳥啼いて身の捨てどころなし
燃ゆる火の、雨ふらしめと燃えさかる(雨 乞)
見すぼらしい影とおもふに木の葉ふる
水底の雲もみちのくの空のさみだれ
身にちかく水のながれくる
身のまはりはほしいままなる草の咲く
みんなかへる家はあるゆふべのゆきき(大阪道頓堀)