傀儡の赤き頭巾やうめの花
かげろうの火加減もよし梅の花
片足は麦へよけあふ梅の花
具足師のふるきやどりや梅花(うめのはな)
さし汐の垣根くゞるや梅花(うめのはな)
隅々に残る寒さやうめの花
無縁寺の日をなつかしみ梅花(うめのはな)
あこくその心もしらず梅の花
(阿古久曽=紀貫之)
梅の木に猶やどり木や梅の花
菎蒻のさしみもすこし梅の花
ほとゝぎす正月は梅の花咲(さけ)り
やまざとはまんざい遅し梅花(うめのはな)
忘るなよ薮の中なる梅の花
御子良子(おこらご)の一もと床し梅の花
(御子良子=神饌に奉仕する童女)