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情報科授業研究

一般にはなじみの少ない高等学校普通教科「情報」の教育実践・教材研究について紹介します!

悲劇の天使

2008-06-04 | 教育問題
先日の技術教育研究会で、太田先生がお話された中で、ベネトンの広告で日本の青年を取り上げたことについて興味があったので、調べました。

問題の記事は、朝日新聞1998年10月3日夕刊に掲載されていました。ベネトンの広告ディレクターであるトスカーニさんの話に基づいて論じられています。私はこれまでベネトンの広告を注意深く見たことがなかったし、印象に残っていなかったのですが、改めて見せられるとインパクトがあります。過去の人種差別や戦争などをテーマにした写真と比べて、日本の若者が被写体になるのは違和感があります。しかし、それにはトスカーニさんの深い考えがあるのですね。

太田先生は、当時と比較して現在は日本の若者も貧困や差別にさらされているけれども、世界を拒否している(現実感と目的観の喪失、社会や政治の拒否)状況は変わっていないのではないかと話されました。

毎日の通勤電車においてよく目にするのは、スーツを着た若い人や中高生が、音楽を聴いたり、ゲームをしたり、ケータイをいじったり、週間マンガ雑誌を読んでいることです。こういう状況を見ると日本の若者は、確かに社会のことにあまり関心がないように見えます。自分が若いときも今の若者と大して変わりませんでした。

色々な原因が考えられますが、学校でできることを考えて、取り組まなければならないかも知れません。
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キャリア教育と青年の職業的自立

2008-05-30 | 教育問題
本日、工学院大学でおこなわれた技術教育研究会第33回公開研究会「キャリア教育と青年の職業的自立-今、なぜ、キャリア教育?-」に参加しました。

午前中は大東文化大学の太田先生から「キャリア教育と青年の職業的自立」についてお話されました。日本の若者が他者と世界を拒否しがちな現状と、関係性の回復・創造を目指した職業教育への期待について、とても分かりやすく説明していただきました。1時間があっという間に過ぎてしまい、もっとお話をうかがいたかったのに残念でした。

午後は、高校工業科の小嶋先生と商業科の真嶋先生から、職業高校における子どもたちの自立について報告していただいたあと、千葉大学の依田先生から職業教育の意義と役割についてお話をいただきました。専門高校に通う子どもたちは非常に厳しい状況におかれていて、このような生徒たちに職業教育を通して、自立、成長を促していこうとさまざまな取り組みがされていることが分かりました。

討論での幡野先生の言葉も印象的でした。「将来生きていくには何が必要かを考えて教育をしていく」「憲法学習をしっかりやるべき」その他にもたくさんの先生方からのお話を聞き、充実した1日でした。
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書き綴ることと理性の形成

2008-01-29 | 教育問題
田中先生が書かれた「書き綴ることと理性の形成-倫理の授業で「小論文」にとりくむ-」(『教育』744号、2008年1月、国土社)を読みました。高校3年生の選択科目「倫理」(3単位)の授業において、生徒が深く考えることをテーマに取り組まれた実践です。

生徒が取り組む論文の「テーマ」設定について次のように述べられています。
  • 生徒があらかじめ一定の考える素材をもっていて、しかも多様な発生しやすい問題にする
  • その時代の課題を若者として引き受けざるを得ず、自ら論ずるに値する
生徒が論文を書くときの「構え」として「「論文」なのだから、個人的な日記やメモとは違う。必ず不特定多数の読み手を意識し、なんらかの主張や結論を読み手が納得できるように「説得」的に論じたものでなければならない」と述べています。一般的な教科の成績と「小論文」の質が必ずしも一致しない点については、「ペーパーテストだけで計られることが多い学校の成績では、このような生徒の力を引き出すことが難しいのかもしれない。彼らの姿を思い起こすと、自分の興味とは無関係に毎時間浴びせられる教科的「知識」をかたくなに拒絶・回避していたようにも思う」と述べています。

この論文を読んで、ノーマ・フィールドさんが「教育の目的」において、「あなたがたの教育とは、自分の知っていることを外在化させる能力を伸ばし、それによって自分の知との遭遇をたえず重ねてゆくことだとさえ言える」と述べているのを思い出しました。
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ネットいじめ

2007-11-27 | 教育問題
ケータイが生む新たな"いじめ"』(NHKクローズアップ現代, 2007年10月10日)を見ました。

携帯電話用のWebサイトに設置された掲示板がネット上のいじめの場となっているようです。神戸市教育委員会の調べによると、携帯電話による嫌がらせは、高校生で45%、中学生では67%にものぼるそうです。

ネット上でのいじめの被害者は「相手が見えないのが一番の恐怖心」と話していました。一方、加害者は「ゲーム感覚」「ストレス解消になる」「たたかれる前にたたく」と話していました。いじめのターゲットになっている人をよく知らなくても、面白そうだから誹謗・中傷した書き込みをする...

このようなネット上のいじめの特質は、インターネットの匿名性にあるそうです。また、若者の間では、「メールを受信してから5分以内に返信しないと人間関係がおかしくなる」と言われているようです。電子メールはリアルタイムのコミュニケーション・ツールではないですよね。携帯電話では、ユーザがメールチェックの操作をしなくてもメールが送られてくる弊害ですね。他人に「プロフ」を勝手に作られて、個人情報を載せられた人もいるそうです。

いじめの被害を受けている子どもが発するサインは、以下のようなものがあることを指摘されていました。
  • 着メロ、着うた等がサイレントになる
  • 着信音が小さくなる
  • 親のいる前ではメールを見なくなる
家族の団らんを通してコミュニケーションを学ぶことが大事だと述べていました。何か困ったことがあったら、すぐに回りの大人に相談してもらいたいと思います。
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子どものネット被害

2007-08-31 | 教育問題
急増!子どものネット被害 ~携帯サイトに潜むワナ~』(NHKクローズアップ現代, 2007年8月28日)を見ました。

  • 携帯電話を持っている子どもの割合
    • 小学生 24%
    • 中学生 67%
    • 高校生 96%
  • 釣り上げ
    • 音楽やゲーム、芸能情報などに関するサイトと見せかけ、悪質なサイトへと誘導する
    • 事例 : 懸賞サイトに応募し、当せんの連絡がきた。何が当せんしたかをしるために会員登録をしなければならない。しかし、この登録が実は出会い系サイトへの登録だった。このサイトを利用したメールの送信に高額な利用料を支払わされる。
    • WWWでは架空の人物になりすませられる。子どもが興味をもちそうな人物になりすます。
  • プロフ利用での被害
    • 高校生の2人に1人がプロフを利用
  • 被害への対策
    • 携帯電話でのアクセス制限サービス(フィルタリング)
      • あるフィルタリングサービスの会社では30人体制で有害サイトをチェック。1日に登録するページ数は3万数千件。
    • 親や地域の取り組み
      • 群馬セーフネット
  • 群馬大学 下田先生
    • 携帯電話を電話だと思っている親が多い
      • 思春期の子どもにとっては遊園地。そこにエサをまく大人がいる。
    • 親が気づかない
      • 親が見守りがたい
      • 料金しか見ない親は危ない
    • フィルタリング、時間制限サービス
      • フィルタリングで取り除ける有害サイトは80%ではない。完全ではないが、しないよりはいい。
    • 人間フィルタリング
      • 愛情の力
      • 1つの学校区に1~2人必要。
本当なのか演出なのか分かりませんが、元出会い系サイト運営者のコメントは怖かったですね。有害サイトのフィルタリングは何も新しいものではないですよね。

下田先生は「人間フィルタリング」と言っていましたが、子どもをもつ親が携帯電話を持たせる危険についてよく理解していなければなりません。親の言い分としては、安全のためGPSつき携帯電話を持たせるのかも知れませんが、本当の危険を理解していなければ携帯電話を持たせることの何が「安全」か分からなくなってしまいます。
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学校の挑戦

2006-12-22 | 教育問題
佐藤学 著『学校の挑戦 -学びの共同体を創る-』(小学館, 2006)を読みました。ほんの1ヶ月前まで「学びの共同体」という存在を知らず、興味を持ったのでこの本を購入しました。私はこの本を読んで、学校改革に対する希望を抱きました。

本の帯には「燎原の火のように拡大する」と書いてありますが、「学びの共同体」の実践は主に小中学校が中心なのでしょうか。もし高等学校の教科「情報」において「学びの共同体」を実践しようとすると机やパソコンの配置はどのようにすればいいのだろうかと考えてしまいました。本校のパソコン教室の配置は、一斉授業には向いていますが、協同学習は困難な形態だと思います。そこで思いついたのは、初任者研修において訪問した東京都立第二商業高等学校のコンピュータ室です。低いパーティションで区切った小人数のプロジェクトスペースが教室内にいつくもありました。このような配置が協同学習にはベターなのではないかと思いました。

他にもこの本からたくさんのことを学び、いろいろなことを考えさせられました。機会があれば、「学びの共同体」の拠点校を見学したいと思います。
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学校間競争

2006-11-08 | 教育問題
学力テストで予算ランク分け撤回 東京・足立区教委

背景には、2004年2月に実施された中学2年生の学力テストにおいて、足立区が23区中最下位だったことがあるのでしょう。この結果を受けて、足立区教育委員会が中心になり、学力向上策を打ち出してきたようです。学力テストの結果によって予算ランクを分ける、いわば学校のランク付けに関する足立区の取り組みをこのときに初めて知りました。

結局、批判が出て撤回となりました。前に書いたようにアメリカのある州では学力テストの結果で教員の給料が決まるそうです。教育現場に競争を持ち込む流れは今後も続いていくのでしょう。現在の格差社会の中で、同じスタートラインに立てない子どもたちを競争させることに意味があるのでしょうか。
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必修科目の履修漏れ

2006-10-27 | 教育問題
必修漏れ、35都道県254校に 多くの科目で発覚」(asahi.com 10/27)

「卒業に必要な必修科目の履修漏れが全国の高校で相次いで見つかっている問題で、履修漏れは当初発覚した世界史以外にも保健、情報など多くの科目に及ぶことがわかった。」
「長崎県諫早市の私立鎮西学院高では、進学クラスの3年生53人が必修科目の情報Aを履修していなかった。週2回の授業を受けることにしていたが、実際は物理や生物の授業を行っていた。」

必修科目を履修させていない学校があったというニュースが連日報道されています。今の「競争至上主義」の社会においては、それぞれの学校が特色を打ち出さないといけなくなっています。論の立つ方々が今の世の中の問題点を指摘されているので、これ以上私は書きません。

以前にも書いたように、高校は大学入試のためにあるわけではないですよね。学校教育法にもそんなこと書いていません。しかし、そう思ってない大人の方が多いのが現実です。自分も高校時代は何のために勉強しているか分からず、ただ大学受験に成功することに必死でした。結局、受験勉強はそれほど役に立たないこと(全くないわけではありません)だったと大人になってから気付いたのですが...

自分と同じ失敗を今の子どもたちに味わって欲しくありません。理系だから社会科はいらないとか、文系だから理科や数学は必要ないとか誤解しないで欲しいと思います。今回の一件で、教科「情報」の授業を他教科に振り替えている学校がありました。「受験に必要ないからいらない」って、本当にそうなのですか。

ノーマ・フィールドさんは「教育の目的」の中で次のように述べています。
「「教育の目的」というのはリベラル・エデュケイションの目的ということです。リベラルという語を『オックスフォード英語辞典』で見ると(中略)全般的な知性の拡充と洗練をめざし、技術的もしくは専門的訓練のための必要に狭く限定されないものをいう。(中略)教育それ自身のための教育の重視です。何かの手段ではない学習、つまり学習を超えた何かのためになされるのではない学習。」
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これからの数学教育

2006-09-04 | 教育問題
先日工学院大学に行ったときに、蔵原先生から数学教育実践研究会全国大会(2006/8/7)での記念講演「これからの数学教育-世界の課題・日本の課題-」の資料をいただきました。

蔵原先生はよく、数学を勉強することがなぜ必要なのか、社会でどのように役に立つのかを子どもたちに話さなければならないというようなことを言われます。「算数・数学教育はこうした世界を作る上でどのように関わることができるかということが重要な問題です」「子どもたちの将来において算数・数学教育はどんな意義があるのでしょうか、どういう役割を果たすことができるのでしょうか」と述べられています。

「「受験がないと勉強しない」といった乱暴な議論を克服し、楽しいから、わりかたいから、必要だから勉強する」「教員の問題としては、「試験に出るから勉強しろ」といった勉強させるために安易に試験や成績を理由にハッパをかけるのではなく、算数・数学を学ぶ意味がとらえられる授業をしていこう」と述べられています。

他にも示唆に富む内容ばかりでここに全てをあげることはできません。一つだけ言えることは、この問題は算数・数学だけの問題ではなく、現在の学校教育全体に言えることだということです。
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選択課題研修

2006-08-09 | 教育問題
東京都教職員対象の選択課題研修に参加しました。午前は見城美枝子先生の講演「魅力ある教師、子どもをひきつける教師」、午後は永井聖二先生の講演「子どもの規範意識を高める指導の在り方」を聞かせていただきました。

見城先生はジャーナリストだったというのをこのときに知りました。アフリカのマサイ族に関する取材において、教育の力を認識された様子でした。「国を担っていく子どもたちを育てるためには教育が基本」とする考え方には共感しました。また「教師における3つの公」として、「公共」「公平」「公正」を挙げられました。

永井先生は現在が日本の学校の転換期だとされました。日本の学校のよい点を残しながら、変容していく学校における生徒の規範意識の形成について授業の「宿題」を例に挙げて述べられました。友だちの宿題を写してもよいと考えている生徒が多いという調査結果を元に、「教師が宿題を提出するよう指導するのは当然だが、その結果として不正を恥としない生徒たちを多く生み出している」と指摘されました。日本の家庭は今後さらに多様化しており、共同体の規制力も低下し、子どもたちの規範意識に問題が生じています。これに変わるものとして地域ボランティアや関係機関との連携などの条件整備が必要になってくると述べられました。
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