よく、若い子がお料理を知らない例えで、「お米を洗剤で洗った」とか「とぐことを知らない」とか言いますが、お米とぎ、冬場は特に辛いですね。
いくらお水が冷たくても、お湯ではとぎたくないし、わたしは掌蹠膿疱症があって、冬場は手が特にぼろぼろなので、水仕事は苦行の様です
この病気は主婦湿疹や水虫と間違われやすく、発病したのが結婚してしばらくしてからだったので、よく「お嬢さんねぇ、お家でお手伝いとかしてなかったんでしょう」と、批難混じりの揶揄を受けたものです。
最初、パートで働いていた頃、指先にぽつんと水ぶくれができました。
それが、ほんとうに針の先でつついたような小さな水ぶくれなのに、キーボードを打つのが痛いくらい深いのです。
やがて、指に広範囲に出て、更に足の裏一面が水疱だらけになり、一般の皮膚科に行ったり、漢方で有名な病院に行ったりしましたが、主婦湿疹の診断から一歩も出ないまま、ステロイドを塗ったり漢方薬を煎じて飲んだり、亜鉛化軟膏(表面を乾燥させる働きがあるらしい)をべっとり塗ってガーゼで覆ったり、苦闘が始まりました。
足の裏は水疱で表皮全体が剥がれたような状態になり、パンプスの中敷きはリンパ液で変色。歩くのも辛く、家事も苦痛で、辛い毎日でした。
何よりも、その「主婦湿疹なんて、今まで家事したことなんかなかったんでしょう」という、特に同性からの言葉がしんどかったです。
結婚するまで、何も家事を手伝ってなかったわけじゃありません。母と一緒に台所にもよく立ってたし、ひいおばあちゃんの具合が悪くなってから、頻繁に山口の実家へ帰省するようになった母の留守中、台所仕事はわたしの仕事でした。
それでも、そんな症状が出たことは一度も無かったんです。
やがて、長女を出産する為にパートを辞めたあたりから症状がやや軽くなり、足の裏の水疱はほとんど消えました。まだ、手の指の水疱は残ったままでしたが、冬場、水疱と水疱がつながって、ぱっくり大きな傷口があかぎれのえげつないのみたいになる時期以外は、だいぶましになりました。
滋賀に来て、長女を診ていただいていた小児科の先生がアレルギーに詳しくて、わたしの手を見て、知り合いの皮膚科の先生を紹介して下さいました。
その先生で初めて「掌蹠膿疱症」と診断され、ステロイドの軟膏を塗る治療でしたが、それでもかなり快方に向かいました。
今でも、特に子育てやPTA、着付けなどで忙しい今年は、夏でも水疱が消えることはありませんでしたが、それでも以前に比べればずいぶん楽です。
体調が悪い時、疲れやストレスが溜まってくると、てき面に水疱が出てきます。現在は片手の指2本くらいに症状が限定されていて、お薬を塗りながら、着付けの時には絆創膏をしたりして、なんとか付き合っています。
ビタミンHを補うと良いとか、金属アレルギーや体のどこかに炎症があるとそれが引き金になるとか言われていますが、根本的な治療はなかなか難しいようです。
良くなったりひどくなったりを繰り返しながら、この病気と共存している状態です。
感染や遺伝による病気ではないので、家族に関する懸念がないのが幸いです。
発症した時があんまり激烈な状態だったので、実家の母が「あんたは、手だけはきれいだったのに」と嘆き(それも失礼な

)、食器洗い乾燥機を買ってくれました。
手袋をして家事をしたらいいようなもんですが、ゴム手袋の裏に起毛があるものは、それがチクチクして猛烈にかゆくなります。起毛が無くても、使っているうちに蒸れてかゆくなり、がまんできずにかきむしって血だらけになることもしばしば。もう、掻かないように自分の両手を縛りたいくらい。
そんなわけで、母の愛はありがたかったです
で、冒頭の無洗米のお話。
滋賀県では、無洗米が店頭にたくさん並んでいます。
滋賀県の人間が家事に対して横着なのかといえば、さにあらず。
ある無洗米のCMで「とがないから簡単!お水を入れておいしく炊くだけ。とがないから、琵琶湖もきれい!!」とお米が歌って踊ります。
そう。無洗米は、とぎ汁が出ないから、汚水が出ないんです。
原理としては、机についたテープの接着剤を、テープでぺたぺた叩いてひっつけて取るのと同じらしいです。粘土みたいにした米糠で糠を取るんだそうで、無洗米の加工過程でも、汚水は出ません。
お米のとぎ汁は、よく植木の肥やしにするくらい、窒素分が豊富です。
元々は貧栄養湖だった琵琶湖は、現在アオコや赤潮の発生で分かる通り、富栄養化が進み、酸素不足による魚の大量死や水草の大発生(これが表面を覆うと下層に光がいかないから、酸素不足になる)、悪臭といった問題が頻発しています。これを目の当たりにするので、滋賀県では無洗米がこれほど浸透しているんじゃないでしょうか。
考えた人はエラカッタ



本当に、無洗米は魔法のようです。とがないとおいしくないなんて、そんなことないです。おいしいよ
画像はイブキコゴメグサ。繋がりは無いけど、まぁ、滋賀県固有種ってことで