大阪市の桜宮高校バスケットボール部キャプテンの自殺から1ヶ月あまりが経過し、この間続々と同様の事例が露見している。私たちは指導者としてこの件にすべてをかけて取り組まなければならない。
【なぜ『体罰』なのか】
この件が報道されてしばらくの間、私たちは「体罰」という言葉に翻弄されていたように思う。「体罰」とは「身体に直接苦痛を与える罰」(広辞苑)をいう。そして、「罰」は「罪またはあやまちある者に科する懲らしめ」(同)のことだ。
大阪市教育委員会は「… 教育委員会では、ただちに事実確認を行った結果、自殺前日に部活動の顧問教諭による体罰があったこと等の報告がありました …」と発表した。「体罰」と発表する以上は根拠があるはずだった…。
この発表の仕方をスピンコントロールであると主張するジャーナリストもいるが、まず私たちの頭に浮かんだのは「悪いことをした生徒を咎めた教諭に行き過ぎ…」という連想ではなかったか。
確かにその連想は「罰」という語の仕業だったように思う。
そして、その後の報道には生徒の「罪またはあやまち」について知らされるものがない。バスケットボールの試合でルーズボールに体ごと飛び込まなかったことが罪であるはずもない。
教育現場と一般市民の間において、事件の受け止め方には大きな相違がある。もしも教育委員会がこの事件を「指導顧問から暴行を受けた翌日に…」と発表していたらマスコミの扱いは大きく変わっていたに違いない。
1ヶ月余を経てなおテレビ番組等で取り上げられるが、最近ようやくこれを暴行であると主張する人の数が増えてきている。今さらのように「体罰」という言葉に振り回された思いが残る。
(その2へ)
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