モーツァルト生誕250年 クラシック危機鮮明 Sankei Web
没後200年に発売された小学館の178枚のCD,本当に全部聴かれたのだろうか? 岩波書店の「モーツァルト」4巻,本当に全部読まれたのだろうか?
音楽文化隆盛の証のように持ち上げられたこれらは,何のことはない,バブル最後のあだ花だったということはないか?
石井氏や正高教授のご指摘は,ある部分,真理を突いているとは思う。しかし,一方で,「嵩上げされた虚構」と「実体」との齟齬・乖離の解消という意味で,経済の領域の話しとさほど変わらないような気もする。どうだろうか。
さて,まさにモーツァルト生誕250年の日に何を聴こうかと迷うところだが,ここは気負わず,昨年末購入したフリッツ・ライナー/シカゴ響の3大交響曲の中から『ジュピター』。
ライナーのシカゴ響音楽監督就任は,1953年10月15日。この『ジュピター』は,1954年4月26日の録音。このコンビ,最初期の録音にあたる。
演奏だが,沸き立つようなリズムが素晴らしい。これが52年前の演奏とは! ちょっと信じがたい。
タークイ著『分析的演奏論』のライナーの章(「フリッツ・ライナー にがい栄光」)には,「彼(筆者註:ライナーのこと)が就任した当時のシカゴ交響楽団は虚名のみあって沈没寸前のオーケストラだった」とあるが,それが疑わしく思えてくるほど,オケの機能,充実している。あるいは,オーケストラ・ビルダーとしてのライナーの手腕の賜物,ということになるのか。特に,逞しさと軽やかさを兼ね備えた低弦群が凄い。
ライナー就任前,前任のクーベリックを慕って(ライナーを嫌って?),ジュリアス・ベーカー(フルート)など,多くの名手が退団したといわれるが,替わりに,というのも変だが,ライナーは,アイタイ(コンマス),シュタルケル(チェロ),シャーロー(ファゴット)といった優秀な楽員を引き連れてきた。件の低弦チェロ群トップには,メトから移籍のシュタルケルが座っている。悪かろうはずがない。
圧巻は,第4楽章。演奏時間は,5分50秒。私が聴いた中では,たぶん,最速だと思う。これぞ,「モルト・アレグロ」。ライナー/シカゴ響の後,ジュリーニ/ベルリン・フィルで,同じ第4楽章を聴くと面白い。こちらの演奏時間は,7分20秒。ライナー盤,ジュリーニ盤ともに,反復はない。念のため ^^; 。
ライナー/シカゴ響というと,先ずあげられるのは,バルトーク『弦チェレ』『オケコン』,R.シュトラウス『ツァラトゥストラ』といったところ。しかし,この『ジュピター』,今こそ,もっと聴かれて良い演奏のように思われる。
没後200年に発売された小学館の178枚のCD,本当に全部聴かれたのだろうか? 岩波書店の「モーツァルト」4巻,本当に全部読まれたのだろうか?
音楽文化隆盛の証のように持ち上げられたこれらは,何のことはない,バブル最後のあだ花だったということはないか?
石井氏や正高教授のご指摘は,ある部分,真理を突いているとは思う。しかし,一方で,「嵩上げされた虚構」と「実体」との齟齬・乖離の解消という意味で,経済の領域の話しとさほど変わらないような気もする。どうだろうか。
さて,まさにモーツァルト生誕250年の日に何を聴こうかと迷うところだが,ここは気負わず,昨年末購入したフリッツ・ライナー/シカゴ響の3大交響曲の中から『ジュピター』。
ライナーのシカゴ響音楽監督就任は,1953年10月15日。この『ジュピター』は,1954年4月26日の録音。このコンビ,最初期の録音にあたる。
演奏だが,沸き立つようなリズムが素晴らしい。これが52年前の演奏とは! ちょっと信じがたい。
タークイ著『分析的演奏論』のライナーの章(「フリッツ・ライナー にがい栄光」)には,「彼(筆者註:ライナーのこと)が就任した当時のシカゴ交響楽団は虚名のみあって沈没寸前のオーケストラだった」とあるが,それが疑わしく思えてくるほど,オケの機能,充実している。あるいは,オーケストラ・ビルダーとしてのライナーの手腕の賜物,ということになるのか。特に,逞しさと軽やかさを兼ね備えた低弦群が凄い。
ライナー就任前,前任のクーベリックを慕って(ライナーを嫌って?),ジュリアス・ベーカー(フルート)など,多くの名手が退団したといわれるが,替わりに,というのも変だが,ライナーは,アイタイ(コンマス),シュタルケル(チェロ),シャーロー(ファゴット)といった優秀な楽員を引き連れてきた。件の低弦チェロ群トップには,メトから移籍のシュタルケルが座っている。悪かろうはずがない。
圧巻は,第4楽章。演奏時間は,5分50秒。私が聴いた中では,たぶん,最速だと思う。これぞ,「モルト・アレグロ」。ライナー/シカゴ響の後,ジュリーニ/ベルリン・フィルで,同じ第4楽章を聴くと面白い。こちらの演奏時間は,7分20秒。ライナー盤,ジュリーニ盤ともに,反復はない。念のため ^^; 。
ライナー/シカゴ響というと,先ずあげられるのは,バルトーク『弦チェレ』『オケコン』,R.シュトラウス『ツァラトゥストラ』といったところ。しかし,この『ジュピター』,今こそ,もっと聴かれて良い演奏のように思われる。
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