音楽と映画の周辺

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クーベリックのベートーヴェン交響曲全集

2006-01-22 21:03:52 | クラシック
 「余裕ができたらそのうち,などと言いながら,水戸黄門の主題歌よろしく,後から興味を持ったものに次々に追い抜かれ,結果,後回しになるCD」というのは,どなたも1つや2つお持ちだと思う。
私の場合,ラファエル・クーベリックのベートーヴェン交響曲全集が,長年,そのようなCDの筆頭格にあったが,昨年12月,中古盤ではあるが,ついに購入することと相成った。

 6枚組で3千円弱。当初,「そこそこ,いい買い物をした」程度の満足度だったが,いざ開封して,黒地に,お馴染みのDGのロゴ,クーベリックの指揮姿,という美しいボックスを目にした途端,自分でも驚くくらい感激してしまった。

クーベリックの全集は,9つの著名なオケを振り分けたというもの。もはや,説明を要しないと思うが,念のため記載すると次のような具合い。

第1番 ロンドン交響楽団
第2番 アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団
第3番 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
第4番 イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団
第5番 ボストン交響楽団
第6番 パリ管弦楽団
第7番 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
第8番 クリーヴランド管弦楽団
第9番 バイエルン放送交響楽団

いずれも世界の超一流オケだが,シカゴが入っていない。この点,企画として「画竜点睛を欠く」といった見方もあるかもしれない。クーベリックは1950年から1953年までシカゴの音楽監督の地位にあったのだが・・・。やはり,クラウディア・キャシディの件,尾を引いていたのだろうか。
それにしても,曲目ごとのオケの割り振りが何とも絶妙。仮に,ここにシカゴを入れ,どこかのオケを落とすとなったら,全て最初からやり直しになるような気がする。

 クーベリックには「その音楽は概して中庸で,素朴な味わい云々」といった評が付いてまわる。しかし,私に言わせてもらえるなら,クーベリックの特徴は,その音楽以前に,強烈で個性的な音にも,いや,音にこそある。これは,ベルリン・フィルとのドボ8,手兵バイエルンとのスラヴ舞曲などを聴いて気付いたこと。巷間云われる上記のような評は肝心要なところを取り落としているような気がするのだが,どうだろう。

 さて,まだ4番を聴いただけだが,次々と聴き進めるのが勿体ないくらいクーベリックのベートーヴェン,充実している。イスラエル・フィルの弦も美しい。
もちろん,「ギリシャの乙女」の意外な一面を披露したクライバーの功績は永遠のものであろう。しかし,である。クーベリック盤の冒頭,なが~く引き延ばされた木管から始まる序奏の心地良さといったらない。やはり,4番はこうでなければ。

追記 密林の画像は,本文に記載した私が購入したものとは違います。

ベートーヴェン:交響曲全集
クーベリック(ラファエル),ドナート(ヘレン)
ポリドール

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1 コメント

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Unknown (hanbo)
2006-01-31 08:09:39
 昨日は,移動の車の中,NHK-FM「ミュージックプラザ」で偶々流れていたクーベリック/ベルリン・フィルのドボ8を耳にした。聞くのは本当に久しぶり。

やはり,強烈な音。くわえて,表情付けが結構きつい。好き嫌いが分かれると思うが,私は愉しみながら聞いた。途中までだったけれど。
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