音楽と映画の周辺

核心ではなく, あくまでも物事の周辺を気楽に散策するブログです。

セル/クリーヴランド管 ヒンデミット『ウェーバーの主題による交響的変容』

2005-10-19 22:22:31 | クラシック
 『ウェーバーの主題による交響的変容』は,バーンスタイン/イスラエル・フィルの演奏も素晴らしい。特に,第2楽章。東洋風の「トゥーランドット」による主題が,徐々に速度を増し,緊張をともないながら ff の頂点に達した後,オケが一瞬にして崩れ落ちる時の迫力。

しかし,である。この曲でのセル/クリーヴランド管の凄さは一段レヴェルが違うような気がする。
同じ第2楽章で言うなら,フルート,クラリネット,そして,タムタム,ウッドブロックなどの打楽器群による導入部の後に現れる低弦の一糸乱れぬ正確さ! あらためて,「クリーヴランドは他のオケがやめるところから練習を始める。」が嘘偽りではなかったことを思い起こさせる演奏である。それにしても,この統率,この規律。見事というほかない。
くわえて,ノクターン風の第3楽章の弦楽器群の響きの美しさも特筆すべきもの。セル/クリーヴランド管は,鋼のような逞しさだけが売りではなかった。

これは,1964年10月10日の録音。第1楽章中間部で美しいオーボエ独奏を聴くことができるが,些細なことでオーボエのリフシェイがクリーヴランド管を去らざるを得なくなったのは,この僅か3か月後・・・。その意味で,感慨深い。セル/クリーヴランド管の絶頂期の記録のひとつかもしれない。
カップリングのウォルトン『ヒンデミットの主題による変奏曲』『交響曲第2番』も名演。

ヒンデミット : ウェーバーの主題による交響的変容 / ウォルトン : ヒンデミットの主題による変奏曲 他
クリーヴランド管弦楽団
ソニーレコード

このアイテムの詳細を見る

コメント (3)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 岩城宏之/N響 外山雄三『管... | トップ | ジェフリー・サイモン/フィル... »

3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
セルにTBさせていただきました (謎野)
2005-11-01 11:38:48
hanboさん。

「セル/クリーヴランド管 ヒンデミット『ウェーバーの主題による交響的変容』」を拝見し、こんどはセルを詠った拙歌にTBさせていただきました。

ヒンデミットは持っていないので、探して聴いてみます。

セルの亡くなる直前の来日公演を聴きました。

とくにモーツァルトの40番が忘れられません。
返信する
Unknown (hanbo)
2005-11-01 20:25:01
 セル/クリーヴランド管を生で聴かれたというのは本当に羨ましい。得難い体験ですね。



ヒンデミットは好き嫌いがあると思いますが,このディスクはお気に入りの1枚です。収録曲の地味さでは,何本かの指に入るCDですが,これは「買い」だと思いますね。
返信する
度々ありがとうございます。 (謎野)
2005-11-01 22:57:53
hanboさん、度々お訪ねいただきありがとうございます。

「『ラコッツィ』の後の観衆のどよめきといったら」の、そのどよめきの片隅にぼくもいたのです。

あのチェリストは「ダイアン・マザー」というんですか。

36年前の夢が甦りました。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。