マイクロメートルの世界

生物の観察を楽しんでます。花が咲く植物の多様性と進化が現在のテーマです。マイクロメートルレベルまでを目標にしています。

カンナ(園芸種 かんな科 ショウガ目)

2020年07月28日 | ④ツユクサ類
 筑波実験植物園でショウガ目の観察では南米原産のカンナについて教えていただきました。この植物を以前に観察したことがありますが、花を構成するものがすべて葉状をしているので、訳が分からずに観察を終わらせたことがありました。今回の研修で花のつくりがよく理解できました。
 次の画像は家の近くの街路樹のわきに植えられているカンナ(かんな科)です。(高さ150cm)
    

 オレンジ色の花弁状になっている5枚の花びらは、雄蕊になる部分が変化したものです。雄蕊も花弁状であり、左端に葯があります。下の画像は雌蕊を取り出したものですが、雌蕊も花弁状です。 拡大してみると雌蕊の黄色の部分は大量の花粉であることが分かります。雄蕊の葯にはほんのわずかの花粉しか残っていません。
 開花前に雌蕊の花柱に花粉を托す例はキキョウ目では何度も見ていたので、それほど大きく驚きはしませんでした。田中先生の説明では原産地ではハチドリが花粉を媒介するとのことで、これに適応した仕組みのようです。(細長い葯よりも表面積が大きい平たい雌蕊に花粉を付けておく方が繁殖に有利というわけです)
   
 
開花したものよりもつぼみの状態の方が分かりやすいので家に持ち帰って解剖してみました。
左は花の中心部にある雄蕊が花弁状に変化した部分です。このうちの中心部の1枚に葯が形成されて雄蕊となっています。この雄蕊が葉鞘のようになって雌蕊がその中から伸びだしています。中央は花を包んでいた3枚の花冠の様子です。
     

上の画像で6本の雄蕊が花弁のようになった様子が分かりますが、これはそのうちの雄蕊です。花弁状のおしべに細長い葯が付いています。この雄蕊の付け根を見ると筒状に丸まって、細長い雌蕊の花柱を包み込んでいるのが分かります。左が黄色のカンナ、右が赤いカンナです。赤いカンナではあまり良い画像ではないですが、基部では完全に雄蕊が筒状になり、花柱を包み込んでいます。
   
 ミョウガの観察で1本の雄蕊の中に雌蕊の花柱が完全に埋まっていましたが(7月17日)、上のように葉鞘状に包み込んでできたことを教えてくれます。
左は葯です。花粉はほんの僅かしかついていません。右は花粉です。直径が75μmの球形です。
   

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