マイクロメートルの世界

生物の観察を楽しんでます。花が咲く植物の多様性と進化が現在のテーマです。マイクロメートルレベルまでを目標にしています。

ホタルブクロ(ききょう科 キク目)

2021年06月29日 | ⑫真正キク類Ⅱ
 ホタルブクロ(ききょう科)が開花したので観察しました。50mm近い花冠の先が5裂に小さく開きます。ガクは5裂に開きますが、よく見ると裂片の間に小さい裂片があり、これは反り返っています。したがってガクは10裂に開いていることになります。
 開花した花を観察すると右の画像のようになっていることが多いです。雄蕊は花冠の底(この花では天井ですが)にしなびて5本があり、雌蕊1本が多数の花粉を付けた状態で立ち上がって(下向きに)います。柱頭は小さく3裂に開いています。花冠の内側は昆虫を惹きつける赤紫の鹿の子模様です。
     

 上右はこの花が開花して3~4日たった雌性期の状態ですが花柱にはまだ沢山の花粉をつけています。左は柱頭の様子ですです。
開花前のつぼみを開いてみました(中央画像)。雄蕊の葯が花柱を取り囲んでいます。同じ目のキク科でよく見られる姿です。開花の直前に雄性期が始まり、つぼみの中で葯が噴出して伸び上がる(下がる)花柱に花粉を噴出して渡します。
 右は朝、開花直前の花の状態です。まだ雄蕊が花柱に付いています。
     

 開花した花では左の画像のように、雄蕊は萎れて役目を終えていますが、雌蕊はたくさんの花粉を身に着けたまま柱頭はまだ開いていません。この状態がホタルブクロの雄性期ということになります。
 中央画像では花柱が多数の花粉を身に着けるために多数の粘毛を付けている様子です。
花粉は球形で径は30~33μmでした。
     
 この花の仕組みを調べて、あらためて植物が子孫を残すために作り上げた仕組みの素晴らしさに感動させられました。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ミョウガ(しょうが科 ショウガ目)

2021年06月28日 | ④ツユクサ類
 裏の家とのブロック壁沿いに生えているミョウガ(しょうが科)が、ここ数日の雨天続きで開花し始めました。草丈はブロックが幅20cmですので、80から90cmあります。この茎と葉に見えるものは地下にある茎から伸びだした擬茎です。つまり全体が地下の茎から伸び出た葉ということです。右端の画像は花序を採集した時の状態です。
地面上に赤紫色の苞葉に包まれた花序が出現し、毎日1個の花が咲きます。右は花序の様子です。この食用に売られている花序の暗赤紫色の苞葉の間から蕾が伸びだして開花します(2番目の画像)。 3番目は夕方開花したばかりの花です。4番目の画像は花序を切り取ったものです。スーパーで売られているのは、見えている白い花をもぎとった姿になったものです。
         

 1個の花を取り出してみました。細長く伸びた花筒の部分を入れると8cmほどの長さの花です。花冠は3裂ですが上に大きなものが1片、下向きにまるまって細い2片が開いています。
 唇弁状に中央に大きく花びらのように伸びだしているのは、雄蕊2本が合生してできた仮雄蕊です。さらに左右に小さく伸びだした裂片も、それぞれが雄蕊が変化した仮雄蕊に相当します(中央の画像)。葯を付けた雄蕊のはたらきをしているのは、中央に下向きに曲がって伸びだしている1本だけになっています。黄色くわずかに見えている部分が葯です。単子葉類に多い3数とすると、雄蕊は6本あることになりますが、あとの1本は進化のなかで消失したと考えられています。
      

 上右は花を下の方から見たものです。花冠が3裂に開いている様子がよくわかります。花の中央に花柱と雄蕊の付属体が合生して長く伸びだしています。したがってこの花の雄蕊は1本で、花柱(雌蕊)も1本ということになります。この合生した髄柱の真ん中からねもとの辺りに、下向きに濃い黄色の部分が有りますがこれが大量の花粉を噴出している葯です。

 柱頭は先端近くで付属体から分かれて下向きに曲がり、左の画像のように20本ほどの腺毛に縁どられてパイプ状に開いています。雌蕊は柱頭で顔を出していますが、これから元の方は完全に雄蕊の中に埋まっています。
 花粉は巨大であり長径が180~190μmもありました。最後の画像はミョウガ花が花序から出てくる付け根近くにある子房の横断面です。3室になっていて胚珠が見えています。
        
 ※このページは7月24日(日)に筑波実験植物園で田中伸幸先生の自然史セミナー「ショウガの仲間の形態と観察」を受講後に更新しました。先生には厚く御礼申し上げます。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ツユクサの気孔をつくる細胞群(つゆくさ科 ツユクサ目)

2021年06月19日 | ④ツユクサ類
ツユクサの気孔を観察すると、孔辺細胞の周りを6個の細胞が取り囲んで、気孔を構成している様子がわかる。表皮細胞が分化して気孔をつくるときに、同時につくられるのかもしれない。核がよく見えます。孔辺細胞にのみ葉緑体が含まれています。原形質が動いているのが観察できます。細胞中に結晶した物質がありました。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする