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餃子倶楽部

あぁ、今日もビールがおいしい。

「白金ガ鳴ル」考

2011-03-06 12:17:42 | 札幌で考える

ようやくのことで『白金ガ鳴ル 11-3』を書き終えた。

そもそも餃子倶楽部に『白金ガ鳴ル』を書き始めたのは
いつごろだろうか。

今先ほど、
このサイトの右横にあるカテゴリーで「白金ガ鳴ル」の
過去作品を改めてチェックし直したところ、
タカちゃんが2006年4月9日に『白金ガ鳴ル 1』を、
僕が同年4月22日に『白金ガ鳴ル 2』を書いたのが始まりのようだ。

最初は同じ時代を生きた2人それぞれの語りが
どこかでうまくシンクロしたらおもしろいだろう
なんてことを考えてリレー連載っぽく書いたのだが、
やはり20年以上も前の話だし、
当時の様子を日記などに克明に書き残したワケでもなく
ナカナカ筆が進まなかったのが正直なところである。

そうこうしているうちに5年の月日が流れてしまった。

しかし、(もう一度書いてみよう)という気にさせてくれたのが
84L飲み会のプロモーター『し』さまである。

プロモーター『し』さまの牽引力と統率力、企画力と実行力、
そしてなによりも酒力があったからこそ、
僕たちはもう2度と会うこともなく終わっていたかもしれない面々に
たくさん会うことができたのだと思います。

金子!おまえ感謝しろよ!
(まぁ、金子のことだから絶対に餃子を読んではいないだろうが)

84L飲み会で君たちに会って酒を飲み交わしていると
その時その空間が1984年になってしまうから不思議だ。

2011年の今となっては全く思い出すことのない
蜘蛛の巣のはったようなくだらない記憶が
芋づる式に次から次へと甦ってくるではないか。

まさにトリップである。

気がつくと、
餃子倶楽部は
僕たちのソーシャルネットワーキングサービス(SNS)になっていた。

これは本望である。
餃子倶楽部に“意味”が与えられた。

ここしばらくは『白金ガ鳴ル』の創作活動にいそしみたいと思う。

そして
かさねがさね、プロモーター『し』さまに感謝の意をささげたい。

アーメン。

(『白金ガ鳴ル 11-4』、どうしよう…)

コメント (3)
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長い旅

2011-02-13 12:41:47 | 札幌で考える

年末から読み続けていたSF超大作を読み終えた。

Photo_2「ハイペリオン」(上・下巻)
「ハイペリオンの没落」(上・下巻)

延べ2,000ページを超す
「長」大作となったこの作品をして
単なるSFというカテゴリーに収めることはできず、
文学・芸術・宗教、
そして哲学的な要素満載の大叙述詩だ。

もちろんSFとしての読み物としてこそ素晴らしく、
テクノコア・メガスフィア・UI・転位ゲート・コムログ・
復元人格・ホーキング航行、そしてウェブなど、
21世紀のテクノロジーがこのままドンドンと進化してゆくと
きっとそんな世界になるのだろうとゆう想像に難くない、
未来の物語でもある。

この本を読んでいる間、
僕は惑星ハイペリオンの瑠璃(ラピスラズリ)色の空の下で
6人の巡礼者とレイチェルの旅に寄り添って歩いているような、
そんな錯覚すらを覚えるほどの、巧みな絵画的描写に引き込まれた。

と、
そんな話を板橋のタカちゃんと酒を飲みながら話をしていたら、
タカちゃん
は「ハイペリオン」をすでに読んでいたものですから
(そうか、そうか)と相好を崩し、
やおら立ち上がり隣の部屋へ入っていくと
重たそうな本を3冊持って、戻ってきた。

(はっ?)

『あのな、シン、
 おまえが読んだ「ハイペリオン」の続きな、
 これ知ってっか?』

(・・・)

僕の目の前に3冊の本が置かれた。

-  ドン!-

Photo「エンディミオン」(上・下巻)
「エンディミオンの覚醒」

そう、「ハイペリオン」には
物語の続きがまだあって、
それは連邦が崩壊した28世紀から
さらに300年後だとゆうではないか。

(・・・)

それにしても長い旅であった。

僕は無事、惑星ハイペリオンから転位ゲートをくぐり、
21世紀のオールドアース・デフレ日本に帰還することが
できた。

もうしばらくは旅をすまい、
そう心に固く誓い、タカちゃんから借りた「エンディミオン」を
本棚の奥に押しやった。

そして「ハイペリオンの没落」下巻最後尾に書かれた
「解説」(大森望)を ゆっくりと読んだ。

『「この20年に書かれたSFから一冊だけ読むとしたら
 なにがいい?」と質問されたら、「すいません、ぜんぶで
 四冊になっちゃうんですけど」と言いつつ、文庫版
 「ハイペリオン」上下巻と「ハイペリオンの没落」上下巻を
 差し出すのがSF愛好家の正しい態度というものだろう』

 (565ページ)

(なーるほど、やはりそうか…)

『さて、「ハイペリオン」の物語はおよそ三百年の
 インターバルをはさみ、「エンディミオン」へと引き継がれる。
 (中略) 
 いやこれがもう、「スターウォーズ 帝国の逆襲」を
 百倍スリリングにした感じの大冒険で、四部作のうち
 いちばん好きなのはどれですかと聞かれたら、
 俺は迷わず「エンディミオン」だと答えるね。
 これから読む人がうらやましい』
 
(574ページ)

(なんてこった!)

せっかく惑星ハイペリオンでの長い旅が終わったと
思っていたのに、またしても俺はハイペリオンへと

旅立たなければならないではないか!

しかも今度はさらに300年後の3000年!
もうすでに転位ゲートは崩壊したので、
宇宙船に乗ってホーキング航行でハイペリオンへと
向かわなければならないのか?

するってぇと、
ハイペリオン到着まで一体全体何十年かかるのだろう?

僕は頭(かぶり)を振った。

(やれやれ)

そうと決まったらあとは旅立つのみである。
僕は再び、

前回の訪問から300年が経過して
その様子を大きく変えたであろう惑星ハイペリオンを目指した。

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小さいおうち

2011-01-11 23:41:08 | 札幌で考える

子供には本に親しんでもらいたい、
そんな思いから
まだ子供たちが小さかったころ、
パパは様々な絵本を買ってきて
2人の娘に読み聞かせたものである。

中でも印象に残っている作品は、
・三びきのやぎのがらがらどん
・すてきな三にんぐみ
・大きな木(the giving tree)
そして、
・ちいさいおうち(the little house)。

朝日新聞の年末書評で、
何人かの著名文化人が2010年に読んだ印象深い本を紹介していた。
各人がそれぞれ印象に残った本 複数冊を紹介しているのだが、
その中にあって何度となく名前のあがっていた本が
中島京子『小さいおうち』。

とにもかくにも年末年始は小説を読むことに決めていたので、
僕は この直木賞受賞作を買って読むことにした。

はたして紀伊国屋で探し求め、その本の装丁をみたとき、
(はっ?絵本「ちいさいおうち」のパクリ?)かと思ったのが
正直なところではある(だって、イラストのタッチがそっくりだし)。

しかし、時代設定が昭和10年代の東京郊外ということだし、
読み進むにつれてハッキリしてくる人間関係などの描写をみても
絵本『ちいさいおうち』とは一切関係なさそうであった。

Photo

ところが。
さして浮き沈みのない物語で終わるかと思いきや、
物語は最終章で様々な伏線が絡み合い、
予想だにしない結末を迎える。

イトウくん、この本はおもしろいのだが、
文庫本になったら買って読んでみてください。

琢磨には絵本『ちいさいおうち』をお薦めします。

コメント (1)
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ハイペリオン

2011-01-05 23:40:15 | 札幌で考える

昨年は、とある理由から某ビジネス関連書籍ばかりを読むことになり、
(あぁ、たまには小説をじっくりと読みたい)
なんて思いが年の瀬になって高まっていた。

それでは何を読みますか・なんてことを刹那考えてみもしたが、
特段読みたい本も見当たらず、するとなぜか(たまにはSFの大作を読もう)
てな思いに囚われてしまい、(それでは何がありますか)とパソコンでネット
サーフィンしてみたところ、たどりついたのが
『ハイペリオン』(ダン・シモンズ/ハヤカワ文庫)である。

Photoなんとこの本
上下巻2冊の構成からなっており、
あわせて970ページにも及ぶ。

東京への帰省もなくなり
相当な(暇)が予想されたので
いきおい(エイヤッ!)っと
約2,000円の大枚をはたいて買ってみた。

物語を強引に短く書き記すと…

・オールドアース(地球)から脱出し、銀河系のさまざまな惑星を
 200近くもテラフォーマットして移住を進めた2739年の人類。
・爆発的に増えた人類は、人々の畏怖と信仰を集める辺境の惑星
 「ハイペリオン」にある「時間の墓標(時空間を歪める何か?)」の
 開放(開門?)という危機に直面。
・「ハイペリオン」において過去に様々な十字架をかかえた
 様々な職業の7人の巡礼者が、それぞれの数奇な運命の謎と
 「時間の墓標」の謎を解明すべく、ツリーシップ(宇宙船)にて
 「ハイペリオン」へと送り込まれてゆくが…

その7人それぞれの語りによる一大叙述詩である。

こう書き読まされても食指が動かないでしょ、きっと。
実際、自分も読み始めたころは
(あぁ、無理だわ、これ)
正直に言うと、そう思った。

しかし(!)
巡礼のひとりであるソル・ワイントラウブという学者の語りを読むにつれ、
僕の目には大量の涙が溢(あふ)れ溜まり、
まもなくその涙は表面張力の限界点を越えて
ボロボロボロボロと頬を伝い流れ落ちることとなった。

なぜそんなに涙がつたい落ちたかということを
ここでナガナガと書いても伝わらないと思うので
ただ一言(親が子を思う一途な気持)としか書かないが、
ウチの妻と21世紀姉妹が正月のお笑番組に興じている後ろで、
僕は一人食卓テーブルに座りながら「ハイペリオン」を読みつつ、
30分ほどの長きにわたってボロボロと涙を流すことになった。

しかも(!)
この本は上下巻2冊で物語が終わることはなく、
なんと『ハイペリオンの没落』というさらなる上下巻2冊を
読まないと結末がわからないのだ(!)。

ここまで感情移入をさせておいて、
ソル・ワイントラウブと娘レイチェルが「ハイペリオン」で
どのような結末をむかえるのかを知らずに終わることなど
できるワケがないではないか。
(やれやれ、さらに900ページか…)

でもね、イトウくん。
この本はオススメしません。
万が一、
(独り無人島で一ヶ月ほど暮らすことになった)
ということであらば合計4冊をオススメしますが、
そんなことはあり得ないと思うので、
今度酒でも飲んだときに僕が概要をご説明さしあげます。

いやぁ しかし、
久々に本を読んでボロボロと泣いた。

おそるべし、『ハイペリオン』。

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読書な日々 7

2010-08-18 05:00:00 | 札幌で考える

Photo_6先週、立て続けに読んだ本を2冊。

『現代人の祈り(呪いと祝い)』 釈撤宗ほか
『はやぶさの大冒険』       山根一眞

ずいぶんと前、
鎌倉にある会社の研修センターで
伊東明さんという心理学者の方の話を聞く機会があった。

色々な話を聞いたのだが最も印象的だった話がこちら。

「ぼくは人と会話をするとき、必ず『いいですねぇ』って、
頷きながらそう返答するようにしています。
すると相手も認められていることで胸襟を開きますから
会話も弾みますし、何よりも相手が前向きになりますよね。」

きっとカウンセリングで有効な話法なのだろうが、
僕は(なるほどこれは使える)と思い、
以来、得意先と話をするときなど折に触れて流用させていただいている。

イトウくん、
ナオちゃんとケンカしそうになったら
『いいですねぇ』を連呼してみましょう。

いいですねぇ。

気持ちを前に進ませるそんな「祝い」の言葉はうれしい一方で、
気持ちを後退させて、はたまた行動を限定させる言葉がある。

「呪い(呪詛)」である。

先日、この餃子にも少し書いた“境界例”の方々は
優れた人心掌握術を持っている方が多いのだが、
その要因のひとつには会話の中で「呪い」のかかった言葉を
織り交ぜる能力の高さ、がある。

言葉は言霊である。

と、
何だか怖い本のようだが、決してそうではなくて
内田樹(現代フランス思想)や名越康文(精神科医)との
対談・鼎談ですからスラスラと読める知的好奇心が騒ぐ本。

いいですねぇ。

以前、
タカちゃんが小惑星探査機「はやぶさ」のことを書いていたが、
「はやぶさの大冒険」は、まさにその「はやぶさ」の7年にわたる
旅の軌跡を書き記した本。

あまりこの手の本は買わないのだが、
6月に入って多く見受けられた「はやぶさ」の新聞報道記事を読むにつれ、
僕はすっかりと「はやぶさ」に感情移入してしまったのだ。

だってそうでしょ。

「はやぶさ」が小惑星イトカワをピタリととらえるのは、
『東京から2万キロ離れたブラジルのサンパウロの空を飛んでいる
体長2ミリの虫に、弾丸を命中させるようなもの(本文40P)』
だというではないか。

しかもイトカワを離れた直後、「化学推進エンジン」の故障で
姿勢制御が不能に陥った。
さらには大量の燃料漏れでついに行方不明になったにもかかわらず、
懸命な捜索の結果、なんと46日後に自ら微弱な信号を地球に向けて
発信してきた「はやぶさ」を発見。
「はやぶさ」の自己診断機能に対し様々な質問を繰り返すと、
地上スタッフは問題を解決するための新しいプログラムを開発、
「はやぶさ」に送信し続けた結果、「はやぶさ」は奇跡的にも蘇り、
進路を地球へとったのだという。

(その後、さらにイオンエンジンが全てストップするという
アクシデントに見舞われたが、それをも克服!)

数々の奇跡を積み重ねて「はやぶさ」が大気圏突入し、
1万度の摩擦熱で自らは火球と化しながらもカプセルを放出した・という
クダリで僕は目頭が熱くなった(涙)。

イトカワの砂粒がカプセルに入っていることを切に願うが、
万が一入っていなくても、「はやぶさ」は今後の日本の宇宙開発に対して
大いなる貢献を果たしたとのこと。

いいですねぇ。

事業仕訳でさらなる予算減にならないことを、(再び)切に願う。

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