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餃子倶楽部

あぁ、今日もビールがおいしい。

サクラに恋して

2019-03-28 22:46:12 | 餃子新聞部
 

 昨日今日と東京では桜が満開を迎えたとの報が相次いでいるが、本日3月28日付朝日朝刊の天声人語は「桜」をテーマにしたものだった。

   ◇ ◇ ◇

 <這えば立て立てば歩めの親心>。生まれた子が這うようになれば、早く立って欲しいと願う。立ち上がれば、いつ歩き出すかと気がせく。古川柳にある子どもへのまなざしだが、毎日歩く道のサクラを見ていても、同じように感じる。
 蕾を見れば開花を願う。四分咲き、五分咲きと開いていく花に見とれる。空に薄紅色が広がるさまを楽しむ季節である。きのうは東京で満開も観測された。週末にかけて寒さが戻るところも多いというから、お花見に出かける時は少し暖かくして。
 サクラを目当てに海外から多くの人が訪れる。そんな風景もすっかり定着した。花の美しさとともに、花見のにぎやかさが新鮮なようだ。それは明治の頃にも、訪問者を楽しませていた。
 人力車で旅をした米紀行作家エライザ・シドモアが、上野などで見た花見客の品の良さを記している。何千と言う人が集まっているのに、爆弾を投げつけたり暴動を起こしたりするわけではない。ただサクラと恋をしているのだと。
 友人にも赤の他人にも「一杯いかが」と勧める人がいる。乱暴な振るまいもなく、笑いが「人から人へとまたたく間に広がる」(『日本・人力車旅情』)。いまとあまり変わらない風景がある。
 シドモアは、日本のサクラを米国に植樹しようと提唱した人でもある。そうやって、首都のポトマック河畔に並木が生まれた。かつて戦意高揚に利用されたこの花には、国際交流の貴さがしっかりと刻まれている。(2019・3・28)
   
   ◇ ◇ ◇

 「サクラと恋をしている」—確かにこの時期、非常に多くの日本人が桜の花を待ちわび、満開の桜を目の当たりにして、暖かい春の幸福感に包まれる。桜の開花は1週間ほど。その短い人生で力の限りに咲き誇る桜花に充満している、死を覚悟しているがゆえのかくも濃密な生気に、我々日本人は平安の世からどうしようもなく惹かれてきた。

ちる花を なにかうらみむ 世の中に 我が身もともに あらむ物かは
(はかなく散る花をどうして恨むことができようか、この世の中に私自身だって、いつまでもいられはしないのであるから)            
                                 よみ人しらず(古今和歌集)

 春宵(しゅんしょう)に月光を浴びる桜を凝視しようものなら、夜桜が宿す妖気にやられ、狂おしいまでに生と死の感覚に触れてしまうときもあるほどだ。
 もうすぐ桜が散り始める。

 ついでながら、天声人語の冒頭に引かれた<這えば立て立てば歩めの親心>という川柳も言い得て妙である。
 
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皆既月食2014

2014-10-21 01:45:26 | 餃子新聞部
 水曜日はいつも昼間の仕事からいったん家に戻り、子供たちをお風呂に入れてから、再び自転車に乗って夜の仕事場へと向かう。
 昨日(10月8日)は家内がそのことを失念していたらしく、帰宅しても家の中には誰もいなかった。まあ、時間になったら家を出よう、と思いながら、やりかけの仕事を進めていると、5時少し前に玄関の扉が開いて、ヘルメット(自転車乗車用)をかぶった息子が「ターイマ(ただいま)」と言いながら、僕のところへやって来て、嬉しそうにポケットから片手一杯のどんぐりを出して僕に見せた。
 「そうか、公園に行ってたのか」と息子の頭を撫でながら僕が言うと、彼は2度3度頷いた。もうどんぐりが拾える季節になったのだな。
 子供たちをお風呂に入れる時間はないので、みんなでさっとつけ麺を啜ってから、僕は仕事に出た。
 マンションを出ると東の空の低いところにオレンジ色に輝く大きな満月が出ていた。ほおっ、何とも立派なお月さまだ。
 仕事場で休み時間に同僚たちと話をしていると、その夜は皆既月食(18:15頃-21:30頃)が見られるというではないか。仕事に追われて、そんなことも知らなかった。そうか、さっき東の空に見たのは皆既月食が始まる寸前のお月さまだったのか。あんなに大きな満月で皆既月食を観測できるとは、さぞや壮観な天体ショーとなるに相違ない。残念ながら、その時間はずっと仕事で夜空を眺めることはできなかったのだが。
   
    

  
    
月食によって浮かび上がった地球の影。午後6時28分~同9時20分に撮影した写真7枚を合成。中央の画像は皆既月食最大時(同7時54分)のもの(8日北海道陸別町・銀河の森天文台提供)―時事通信 10月9日(木)3時57分配信
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六月の雹(ひょう)

2014-06-24 22:08:42 | 餃子新聞部
 今日の午後、東京は凄まじい稲光と激しい雷鳴および豪雨に見舞われた。
 幼い息子に稲妻を見せてやろうと、ベランダに面するガラス窓のところで抱っこしてやった。直接稲光を目にするのは初めてだったはずだが、息子はさして衝撃も受けなかったようで、すぐに僕の腕から降り、客間に敷設してある彼の遊び場プラレールへと戻っていった。
 夕刻のニュースによると、調布や三鷹では、窓ガラスを割ってしまいそうなほどの激しさで、雹(ひょう)が降ったという。雹はところによっては数十センチも積もり、地元の人たちは季節外れの雪かきならぬ、雹かきに追われていたようだ。
 こんな風景は初めて見た。

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YouTube: 雹の嵐,甲州街道が氷の川になる2014年6月24日



   
    


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3月11日午後2時46分

2014-03-11 14:47:19 | 餃子新聞部
あの日の身も心も凍りついた衝撃の瞬間から3年が経った…
   
    


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第三舞台「深呼吸する惑星」劇評

2011-12-15 19:41:46 | 餃子新聞部
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(日本経済新聞HPより)


   
    
    
解散公演、持ち味存分

 舞台はやはり理屈で見るより感性で見る方が楽しい。鴻上尚史の作・演出「深呼吸する惑星」を見てそう思った。1980年代、一世を風靡した劇団、第三舞台の封印解除§解散公演。SFものの新作だが、全盛期に劇団と伴走した世代にとっては、たまらなくノスタルジックな世界を作り出している。
 自殺した青年が小説のようなブログを書いていた。未来の銀河系の果てにある惑星アルテア65での出来事で、それが死後も読まれている。
 惑星には現地のアルテア人と、惑星を侵略から守るため駐留する地球連邦軍と、対立する2つの勢力があった。しかし、この惑星に来た地球人兵士は幻覚に陥り自殺を企てるという現象が多発し、研究員桜木真希(長野里美)が地球から派遣された。一方、記憶を失った神崎ことキリアス(筧利夫)はアルテアの独立運動を熱狂的に進める。
 第三舞台は30年前に旗揚げし、メンバーも50歳前後になった。今回は筧、長野のほか、小須田康人、山下裕子、筒井真理子、大高洋夫が出演。役柄と個性がマッチし、俳優それぞれの持ち味を見せる舞台となっている。素早い動きの筧など立ち回る姿は意外に若い。中でも、幻覚を破るための療法とされる無意識の仕草が何ともおかしい。
 このアルテア65、今の世界でいえば日本が置かれている政治状況に似ている。けれども、描かれているのは青春の友情もの。人が生きるいとおしさが熱くあふれている。
 舞台は間違いなく楽しめる。が、もう一押し、第三舞台とは日本の演劇シーンの中で何だったのか。それを考えてみるのも隠れたテーマだといえるだろう。18日まで紀伊国屋ホール。来年1月6日から9日までサンシャイン劇場。 (編集委員 河野孝)―日本経済新聞


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(日本経済新聞HPより)


   
     
   ◆◆◆


息合う演技 仕上がりいい味

 劇団「第三舞台」の解散公演「深呼吸する惑星」(鴻上尚史作・演出)がいい味に仕上がっている。軽やかで笑えるシーンと、意味深長なやりとりとを自在に往還する、この劇団ならではのスタイルはなお健在だ。
 未来の惑星が舞台。辺境の惑星アルテア65は、経済的・軍事的に銀河系の覇者・地球に依存している。この関係は日米に重なる。地球連邦の地区最高長官の訪問を前に、地球から研究員の真希(長野里美)が密命を帯びてくる。アルテアの首相(小須田康人)が長官を歓迎する式典の成功に腐心する一方、連邦からの独立を訴える謎の男キリアス(筧利夫)は晩餐会での反乱を企てる…。
 主筋はSF的で愉快だが、極めて等身大の物語だ。というのは、記憶喪失になった墓地の管理人・神崎(筧)と彼にだけ見える若い男・橘(高橋一生)、そして真希との愛情を描く脇筋が強い印象をもたらすからだ。真希は、現地駐在の仲井戸大佐(大高洋夫)と元夫婦だったのみならず、神崎、橘とも若き日に浅からぬ因縁があった。そうした過去が徐々に明かされてゆく謎解きに見応えがある。
 筧、大高、長野、筒井真理子を始め、劇団員はみな魅力的で息が合っている。これだけのアンサンブルがもう見られなくなるのは惜しい、と思った。長野に着ぐるみを強要する、ファンには懐かしい定番のギャグもあり、しかもそこに至る必然性には新味があっておかしい。
 終盤、記憶を取り戻した神崎の口から「忘れないこと」の尊さが語られる。錯綜したストーリーの果てに、そっと手渡される素朴なメッセージが感銘深い。
 松井るみ美術、川崎悦子振り付け。 (小山内伸)
 18日まで、東京・新宿の紀伊国屋ホール。大阪、横浜、東京・池袋、福岡を巡演。―朝日新聞(12月1日)




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(朝日新聞HPより)


   
   
   ◆◆◆

 
 
 
[メモ]

12.13 第三舞台封印解除&解散公演「深呼吸する惑星」(作・演出:鴻上尚史、14:00開演)を紀伊国屋ホールにてキヤスと観劇。
12.15 シズカちゃんから日経新聞の劇評をもらう。





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