餃子倶楽部

あぁ、今日もビールがおいしい。

痛み 35

2012-04-29 12:00:00 | 痛み

恥ずかしい話ですが、
先日、道場で泣いてしまいました。
シクシクとではなく、嗚咽。

激しいスパーリング終了後、
自分の中で
澱のように溜まっていた不安・恐怖、
この日のスパーリング相手となった大澤先生、広田さん、
そして多流派からの出稽古MOさんに対する畏敬の念、
さらには肉体的かつ精神的な痛みと
全く思い通りに動けない自分に対する失望感、
しかしその痛みに耐えた自分をほめたい気持ちとか、
そんな感情渦巻く張りつめた思いみたいなものが
一気に破裂したかのように、
自分の気持ちが操縦不能(アン・コントロール)になってしまいました。

(自分でも驚いたね)

嗚咽自体は10秒ほどで収まり、
そのあとはデトックス効果だろうか、気分スッキリ。
するとなんだか急に恥ずかしくなってしまい。

(人数が少なくてよかったね)

大澤先生と広田さんとの
レベルの高いスパーリングが辛いのはもちろんのこと、
(あまり詳しく書けませんが)
MOさんは世界大会出場選手なわけで、
自分なんかはまるで相撲力士に挑む
小学生のような状態に自分は陥ってしまうわけで。

しかし46才のこの年で
よくやるよな、
(よく泣くよな)
俺。

引き続きのご指導ご鞭撻、
よろしくお願いします。

押忍

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さすらう餃子#2「花列車で筍を食べに行くの巻」(4)

2012-04-25 07:54:10 | Hepburn
 雨中の「い鉄」ムーミン列車は13:35に終点の大原駅に到着。
 当初は、JR大原駅で13:38発の外房線各駅停車に乗り換えて、帰京する予定だった。だが、乗り換え時間が3分と短く、いすみ鉄道大原駅とJR大原駅の位置関係もわからなかったので、走って移動という事態も考慮し、急遽、時間的に余裕のある、14:23発の特急わかしお18号に乗ることにした。東京駅への到着時間は5分と違わないし、特急の座席の方がはるかに快適だと思ったのだ。結局のところ、いすみ鉄道大原駅とJR大原駅は隣接しており、JRの千葉東京方面は改札を入ってすぐのホームだったので、3分という乗り換え時間でも十分間に合ったのだが。
 まあ、そういうわけで各自それぞれにお土産などを物色した後、さらに強くなってきた雨と風を避けるために、何となく連絡橋を渡って向い側のホームにある待合室へ足が向いてしまった。前述のように、改札を入った、すぐ目の前が千葉東京方面行きのプラットホームなのである。
 14:20過ぎ、特急わかしお18号がホームに入って来た。さまよう餃子御一行様はお気楽なことに線路を隔てたホームの待合室にいて、うすらぼんやり特急を眺めている。「あれ、あたしたちの乗る特急じゃない!」と誰かが気づき、あーっ!そうだそうだ!と、さまよう餃子御一行様はドドドドッと階段を駆け上り、やはりドドドドッと階段を駆け降りて、発車2、3秒前のところで、全員何とか乗り込むことができたのであった。走らずに済んだところを、わざわざ予定を変更して走らずに済ませようとしたのに、結局走ることになっちゃったのね、お疲れちゃん、おバカちゃん。
 特急わかしお18号は15:35に東京駅に到着。東京駅一番街にこの日オープンした「東京おかしランド」を見ようと、一度駅を出た。翌日仕事のあるジュンコちゃんは東京駅から帰宅する予定だったが、「東京おかしランド」で何か買って行きたいと、果敢にも、開店初日で大混雑のエリア内に飛び込んで行った。「今日はありがとう。とっても楽しかったわ。またねー」と手を振りながら。
 シズカちゃん、トモエちゃん、カオリちゃん、そして僕の4人はそこから杉並にあるトモエちゃんの家に行き、打ち上げの飲み会に突入。家に帰るまでが遠足、と先生に言われたことがあるかどうかは定かではないが、僕たちの遠足は家に帰っても続いた。僕たちは、シズカちゃんとトモエちゃんの愛猫ChaCha(メス、10歳)の宿命の対決などを肴に、夜が更けるまで、ワイン3本と紹興酒を1本開けた。

 打ち上げ&ChaCha(茶々)画像はこっちhttp://kaotansan.blog.so-net.ne.jp/2012-04-26

 外ではまだ雨が降りしきっていた。ワインの入ったグラスを傾けるとき、僕は一度、深夜、そぼ降る雨の中、トコトコと物静かに走るローカル線のことを想った。      (了)


まわりはさすらわぬ人ばっか 少し気になった
風の先の終わりを見ていたらこうなった 雲の形をまにうけてしまった
(奥田民生)


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さすらう餃子#2「花列車で筍を食べに行くの巻」(3)

2012-04-24 17:38:19 | Hepburn
 「郷土料理たけのこ」の営業は11時からで、僕たちは開店直後に入店したので、一番乗りかと思ったが、驚いたことに先客がいた。店内は広く、長い座敷席が2つとカウンター席、そしてテーブルが3、4脚置かれていた。さすらう餃子一行は座敷席の奥に陣取った。さあ、思う存分、気の済むまで大多喜の筍を食べたるで!
 僕たちは迷うことなく、「たけのこ御前」(3150円)を注文した。「たけのこ御前」は、筍の刺身を含み、全10品ほどにも上る筍尽くしのコースなのだが、食べ切れないかも知れないから、とトモエちゃんは「たけのこステーキ御前」をチョイスした。酒はビールと勝浦の地酒。

「たけのこ御前」
・筍の酢の物(筍の先端あたりの柔らかい皮である姫皮の酢の物)
・筍入りデザート(なぜか最初に登場。バナナなどとともにフルーツソースで和えてある)
・筍の胡麻和え(これは初めて食べた。クリーミーな胡麻ペーストが筍とよく合い、白飯にかけて食べたいぐらいだ)
・香の物(メンマ)
・煮物(筍、人参、椎茸、里芋などの煮物)
・山菜の天ぷら(もちろん筍の天ぷらも。テーブルにはなぜか「アジシオ」しか置いてなかった)
・筍の唐揚げ(衣に味がついているから唐揚げだよ、とジュンコちゃんが逸早く発見)
・筍の刺身(これが目当てでこの店に来たようなものだが、まったくの生というわけではなく、軽く茹でてあるようだ。えぐみがまったくなく、食感もほどよく柔らかでおいしいことはおいしかった。筍の上に乗った柚子味噌をつけすぎると、味噌の味しかしなくなってしまうので、味噌は大部分落としてから食べた)
・筍のステーキ(生クリーム入りのブラウンソースで食す)
・焼き筍(皮ごと焼いてあるため、中は蒸されて、大変に香りがよく、筍の味も濃い)
・筍ご飯(筍料理で一番の好物。筍ご飯と冷や酒があれば後は何もいらないぐらいだ。ご飯の上には筍を細かく刻んで乗せてあり、さらに黒胡麻がかかっているのがアイデア)
・筍のみそ汁(筍の風味が抜群。筍みそ汁には筍の茹で汁を使うという話を聞いたことがある)

料理写真はこちら→http://kaotansan.blog.so-net.ne.jp/2012-04-21
  
 いやあ、食べた食べた。大袈裟じゃなく、この小1時間ほどの間に1年分の筍を胃袋に収めた。ビールと冷酒もみんなで1本ずつしか飲めなかったほどだ。女性陣も一生懸命ワンダフルに完食!
 小休止後、1年分の筍が入ったお腹をさすりつつ、店を出て、総元駅へと戻った。
   
   
    
P4140716
   
総元駅に咲く日本水仙
  
   
    
    
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同じく、梅と桜。わかりにくいかも知れないが、手前が梅。
  
   
   
   
 無人の駅舎に置かれている「駅ノート」をパラパラめくっていると、ある女の手記が目にとまった。「ユウ君、4年前に一緒に見ようねって約束した菜の花を見に来ました。菜の花は4年前と変わらないのに…」一瞬、ソープオペラの世界に引き込まれそうになった。「菜の花本線涙雨」などという演歌か何かのタイトルも頭に思い浮かんだ。シズカちゃんたちも「駅ノート」に引き寄せられて来て、何これ何これ、ウソ―ッ!ユウ君にはこの女の人が重かったのかな、もしかしたらユウ君は…などとみんなしてインスタントワイドショー化していると、向こうから12:53分発大原行きの列車がトコトコトコトコとやって来たので、僕たちもユウ君との思い出にサヨナラをした。
 土曜日の午後、そぼ降る雨の中を、僕たちを入れて十数人ほどの乗客を乗せたいすみ鉄道の気動車(ディーゼル車)は、ガタゴト、ガタゴトと静かにゆっくりと走った。
 雨の遠足だな、と僕は思った。
 あれは僕が小学校の2、3年生の頃だったと思うが、遅い秋のある週末、故郷の郡山から特急電車に乗って、父が僕を今はなき後楽園球場で行われていた日米野球を見に連れて行ってくれた。今は新幹線で郡山から東京までは1時間20分ほどで行けるが、当時は特急でも郡山から上野まで2時間半ほどかかった。途中で空が泣き出し、試合は5回途中で降雨のためノーゲームとなった。父と僕は立ち食いの天ぷらうどんを啜り、雨に濡れた後楽園球場を後にして、やはり特急電車で郡山に帰って行ったのであった。あの時、父は何を思っていたのだろうか。
 また、小学校6年の時、仲の良かった友だち3人と電車に乗って白河の南湖公園へ出かけたことがあった。まあ郡山から白河へは電車でたかだか30~40分ぐらいだし、何か目的があるわけでもなかったのだが、僕たち4人は自分たちだけの小さな冒険に心の中ではちょっとワクワクしていたことだと思う。この時も雨に降られた。僕たちはほとんど人気のない公園に寂しく立つ東屋でそれぞれのお弁当を広げた。僕は母が持たせてくれた、海苔でびっしり覆われた真っ黒で真ん丸で大きなおにぎりに口を大きく開けてかぶりついた。その時の写真が今でも残っている。あの時、友だちたちは何を思っていたのだろうか。
 日米野球にしても南湖公園にしても、僕自身はそんなに悲しんでもなかった、と思う。まあ、小さい頃からぼーっしていることが多かったので、そういうこともあるだろう、ぐらいにしか思っていなかったのではないだろうか。むしろ雨の遠足は雨の匂いとともに僕の心の特別な位置に刻印され、その物悲しい感傷は、今となっては文学的で、甘美とさえ言えるほどの記憶となっている。
 車窓をゆっくりと後ろに流れてゆく雨の里山を眺めるともなく眺めながら、そんなことを思い出していると、トモエちゃんがデジカメで撮った1枚の写真を見せてくれた。
 液晶モニターには、低木帯の向こうに、わずかに新緑の気配が漂い始めた、雨に煙る森が映っていた。樹林のシルエットは、雨の港に停泊するヨットのマストを連想させた。森林の前景には、静かに降りしきる雨が風に流されて刻々と姿を変える白い霞のようにたなびいていた。森が静かな芳香を放っているようだった。東山魁夷の画のような気配さえ感じられた。
 いい写真だね、と僕が言うと、トモエちゃんはまんざらでもないような顔をした。
 やっぱり、雨の遠足は悪くない、と僕は思った。



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痛み 34

2012-04-21 23:28:21 | 痛み

本日土曜日は少し遅れて稽古に参加。

すると、木下くんが(ススススス・・・)とやってきて僕にこう言いました。

『セッカーさん、
実は横浜に転勤になりました。
なので今日が北海道本部でのラスト稽古です。』

そうか木下くん、
転勤なのだね。

『札幌にやってきた7年前、
僕はすぐに正道会館東大阪支部から北海道本部に転籍したのですが、
その時にセッカーさんはいましたから随分と長いつきあいでしたね』

そうだね木下くん、
もうそんなに長いあいだ僕たちは空手を続けているのだね。

『白帯のころは痛かったですよね。
黄帯になってスパーリングが楽しくなってきて、
青帯をもらったら、白帯とは違う痛みでしたよね』

そう木下くん、
帯色によって、痛みの「質」が違ったよね。

『横浜ではオフィスの近くに道場がないので、
残念だけど一度退会します。
でもいつか必ず復活して、そして黒帯をとりたいです』

そうだよ木下くん、
いつか必ず黒帯をもらえるようにお互い頑張ろうね。

木下くんとはずいぶんたくさんスパーリングをしました。
お酒を飲みながら空手談義に興じました。

春はちょっと悲しいね。
でもまたいつか、会おうね。
そしてスパーリングをしようね。

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(写真は木下くんと大澤先生)

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さすらう餃子#2「花列車で筍を食べに行くの巻」(2)

2012-04-21 07:39:20 | Hepburn
 養老渓谷駅の次が小湊(こみなと)鉄道の終点、上総中野(かずさなかの)駅。到着は10時31分。ここで隣のホームのいすみ鉄道に乗り換える。
  
  
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左:小湊鉄道(車両の向こうに見えるのは竹の形をした公衆トイレ)。右:いすみ鉄道スニフ号(車両の先頭にムーミンキャラクターの一人、スニフが描かれている)。  
    
 
  
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いすみ鉄道はムーミン列車
   
    
    
    
    
     
    
   
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車内にはスナフキンも。「僕は孤独になりたいんだ。来年の春、また会おう」
   
    
     
     
 
   
    
     
 上総中野駅10時43分発のスニフ号は、西畑(にしはた)駅を過ぎ、10時52分に総元(ふさもと)駅に到着。総元駅近くの「郷土料理たけのこ」でお昼を食べるために、ここでいったん下車する。

 そもそもこの房総半島半周遠足の発端は、去年の今頃に僕が餃子に書いた「筍と鶯」(http://gyo-za-club.blogzine.jp/mgbs/2011/05/post_2026.html)という記事だった。
 昔読んだ『美味しんぼ』に、掘ったばかりの「筍の刺身」にまつわるエピソード(「旅先の知恵」)があって、それが忘れられず、去年大多喜で筍掘りを初体験した後、マッチの実家で茹でる前の筍の刺身を食べさせてもらったのだが、既にえぐみが出てしまっていて、とてもおいしいとは思えなかった。もう一度『美味しんぼ』を読み返してみると、筍の刺身は「一番先端の柔らかい部分だけ」というところを読み落としていることに気がついたので、もう一度、今度は「筍の先っぽの刺身」に挑戦したい、といったようなことを書いたところ、キヤスが「その先っぽを食べるとき、一緒に連れていってはもらえないだろうか」というコメントをくれた。
 さらに、今年1月「2012初春 青春18切符ローカル線の旅」という記事を書いた時、またまたキヤスが「ローカル線の旅はたまらないなー。(去年8月の青森への旅に続けて)ぜひまた行こう!」と書いてくれたので、「春の青春18切符(3/1~4/10)で酒蔵巡りでもしよう!」と返事したところ、シズカちゃんも酒蔵巡りに賛同してくれて、さらに嬉しいことには、去年の「筍と鶯」のことを覚えていてくれたようで「筍狩とセット?」と提案してくれた。そこで僕は以下のようにコメントした。

「では、菜の花が咲く頃に、JR内房線の五井から小湊鉄道に乗って養老渓谷まで行き、まず散歩&筍を楽しむ。上総中野でいすみ鉄道に乗り換え、大原に出て、そこからJR外房線で御宿まで行き、岩瀬酒造(『吉の井』の蔵元)訪問。御宿から大原まで戻り、木戸泉酒造(『木戸泉』の蔵元)に立ち寄ってから、帰京。以上、『さすらう餃子・房総半島を半周するの巻』というのはどうだろうか」

 これが今回の遠足の原形である。
 こうして、今までのいきさつを整理してみると、実はキヤスがキーパーソンになっているのがわかるのだが、はなはだ残念なことに、キヤスは法事のために、この日は参加することができなかった。
 その後、土曜日は蔵元が休みということで、蔵巡りを断念。散策に関しては、シズカちゃんから、ぜひ御宿の月の砂漠(童謡「月の砂漠」のモデル)を歩いてみたい、というリクエストがあったのだが、早くからこの日は雨天であることがわかっていたために、これも中止。
 唯一残ったのが筍を楽しむプランである。大多喜、筍、刺身などをキーワードとしてウェブ検索をかけて見つけたのが、ここ総元駅近くにある「郷土料理たけのこ」というわけだった。

 僕たち5人は、まだ冷たい雨が降り止まぬ中、「郷土料理たけのこ」に向かって歩きだした。と言っても駅から徒歩3分、駅を出てまっすぐ歩き、突き当たりのT字路を左折するだけでよかったのだが。
 道沿いの水田ではカエルたちが、グワッグワッ、クワックワッ、グワッグワッ、クワックワッ、と大合唱していた。雨が降ると、やはりカエルは嬉しいのだろうか、などとどうでもいいことを考えていると、前方に「たけのこ」と書かれたお店の看板と幟(のぼり)が見えてきた。おぉ、あった、あった。一応事前に電話して、今日の営業と筍料理を確認していたのだが、無人の総元駅を出ると、食堂はおろか、店といえるものは何もなく、本当にこの駅でよかったのだろうか、と少し心配になってきたところだったのだ。


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