「新型コロナウィルス瀬戸際の攻防」を見た。
感染防止対策班の必死の努力と工夫が、
とてもよくわかった。
まず、対策班の目的は、
できるだけ経済的・社会的ダメージを小さくしつつ
感染者、特に、重症化する感染者を減らす、
というもので、この二つがお互いに二律背反なので
戦略を決めるのが難しい。
都市封鎖は感染抑制力は強いが、
経済的・社会的ダメージも大きい。
また、日本の制度では、強制力のある
都市封鎖はできない。
PCR 検査や、医療リソースも限られている中で、
経済的・社会的影響を考えながら、
どこまで何をすれば良いのか、
が考えどころになる。
戦略を決めるための最初の重要な発見は、
100例規模の詳細な感染追跡データから、
新型コロナウィルスの感染特性として、
ほとんどの感染者が感染させる人の数は 1 以下だが、
少数の感染者だけがとても高く、
感染クラスターを形成する、
という性質がわかったことだという。
そこで、日本独自の対応として、
クラスター対策が取られることになった。
さらに、クラスターが発生する条件が、
感染者の属性ではなく、
環境の3つの密にあることを特定し、
より一般的な注意喚起を行った。
これによって、第1波は
感染爆発させずにコントロールできた。
しかし、欧米からの流入もあり、
感染拡大の第2波が始まり、
東京都を中心に、追跡できない孤立例が増えてゆく。
孤立例を調べた結果としては、
やはり、夜の街を中心に、
見えないクラスターによるものが多い、
ということだった。
そこで、東京都では、業種を明示的に指定した
注意喚起が行われた。
それでも、新規感染者数は増え続け、
医療機関でのクラスターも発生するという東京の状況が
地方都市にも拡大してゆく状況の中、
ついに、7都市の緊急事態宣言発出し、
接触機会の8割減を強力に打ち出した。
その後、10日後に、GW を控えて、
緊急事態宣言が全国を拡大している。
国内の新規感染者数は、
過去の最大の 700人規模よりは減って、
500-600人規模にはなっている。
幸い、今のところは、イタリア、スペインや、
ニューヨークのようにはなっていない。
しかし、まだまだ十分に減っているともいえない。
累計の感染者数も 1万人を超えた。
東京では 3,000 人に迫っている。
その結果として、集中治療の限界を超えて、
救える命が救えなくなる、
という医療崩壊の可能性が
東京などで見えてきている、という。
しかし、番組に出演された、東北大の押谷先生は、
希望が全く見えていないわけではない、
ということもおっしゃられていた。
番組全体を通して、データに基づいて、よく考えて、
対策・戦略を決めて、行動する、ということの大切さが
印象的だった。これは、当然のことだが、
でも、なかなかできることではない。
関係者の努力には、深く頭が下がる。
こういう番組や、これを基にした解説を
もっと頻繁に流して、対策についての理解を
広めたほうが良いと思う。
緊急事態宣言の期限である GW 明けまでに、
あと2週間余り。なんとかがんばって、
明るい見通しが出てくるようにしないといけない
と思った。
参考資料:専門家会議による 4/1 時点での分析と提言
これによると、実行再生産数は、 1.0 を切っているようにも見えるのだが・・・
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