これで負けならしかたがない

オリンピックの選手ではなく、
将棋の羽生さんがよく言う言葉。

竜王戦の挑戦者決定トーナメントでは、
羽生さんは、深浦さん、丸山さんを相手に、
連続で大逆転を決めて勝ち残っている。

いずれも、最終盤で、
正しく指せば負けのところを、
相手が転んでくれて勝ち。

なんでこんなことが起るのだろう？

今回の竜王戦は、もしも羽生四冠が
挑戦者になると、初代永世竜王をかけた
戦いになるので、盛り上がることは必至。

だから、将棋振興のために、
米長さんから指令が出ている？
というようなうがった見方もあるが、
それはさすがに無いだろう。

やはり、羽生さんの独特の勝負術と、
信用なのではないかと思う。

意表を突く最善手を繰り出されて、
形勢判断が混乱してしまう。

普通の手ではまずいのではないか？
何か誘われているのではないか？
などと疑心暗鬼になり、エアポケットに
入ってしまうのではないかと思う。

深浦さんは、これがあまり効かない
棋士だったのだが、
それでもあんなミスをするとは。

羽生さんのほうは、別にマジックを
かけようと思って指しているわけではなくて、
「これで負けならしかたないと思っていました」
と淡々と言うことが多い。

たとえ負けであっても、
あくまでも最善を尽くし続けること。
それが数多くの逆転を生む秘訣らしい。