『 太陽 』

アレキサンドル・ソクーロフ監督作品は　これが初めて。
難解だ・・　眠くなる・・　わけがわからん・・
という評判を聞いていたので
『　モレク神　』も　『　エルミタージュ幻想　』　も　
ちょっと　気になってはいたが
全てパスしてきた。
しまった！！
それらの作品も観るんだった・・と　ちょっぴり後悔しています。
そうなのです・・
この　『　太陽　』　は　面白かったのです。
　　　（う～　この感想自体　ちょっぴりＵＰするのは　怖い。
　　　　何しろ　上映館シネマスコーレにおいては　
　　　　当初　右翼対策をした・・という話を聞いたので。
　　　　ただし後日談として　
　　　　映画を観た　右翼の方が　「いや実にイイ映画だった～」とベタぼめし
　　　　次回にはお友達を連れて　また観にこられた・・そうです！）

すみません。
あえて　書かせていただきます。

ソクーロフの映画は　
みんなこんな感じの暗さだよ・・と後から聞いたけれど
最初のうち　舞台も舞台だったから
なんだか　怪奇映画をみているような　感じがした。
光と影の使い方　斜めのカット・・
そして　脂汗とかのアップ
（う～～ん　それにしても　お付きの人の　あの　焦りようは　なんとも言いがたい・笑）

イッセー尾形演ずる　ヒロヒトさんは
とても　ステキな　とても　かわいい方だった。
チョコレートのエピソードや　桃井かおり　扮する　良子さんに甘えるトコなんて
本当に　かわいい！！
そしてなんて真面目な　頭のいい方だったんだろう・・と思う。

立場上　自分の言いたいことが言えず
口の中で　モゴモゴ言葉をかみしめる。
時には　相手のいった言葉を　口の中で反復する
・・それは　自分の意志をいえない　抵抗のひとつ？　と思えた。

この映画には　いろんなヒロヒトさんが　出てくる。
「誰も私を愛していない」とつぶやくシーン
「ヘイケガニ」についての論説
家族の写真をいとおしそうに見るシーン
通訳が訳さなかったことに対し　自分でキチンと英語で答えるシーン
学者を呼んだ時の　イスの譲り合いのシーン　など

飄々としているか・・と思えば
チョコレートをパカッと割って　食べたり
「神」ではなく　むしろ　普通の人間よりも「人間臭い」感じがした
もちろん　そういう風にみえるような　演出がされていたのだろうけれど。


天皇に　戦争責任が　ある！　と言っている人たちには
この映画は　ひょっとしたら　腹立たしいものかもしれない。
　
今の天皇家への　いろいろなパッシングは　気になるが
私にとって
昭和天皇は
年老いた　おじいちゃんの姿の記憶しかない
ゆえに
私は　あくまで　「映画」として　
この映画を　受け止めた。


ソクーロフは　どんな意図をもって　この映画を撮ったのだろうか？
そして　イッセー尾形が　どう受け止め　こう演じたのか・・？？
・・・・・



　　２００６．０８．３０　　「太陽」　　シネマスコーレにて鑑賞　　★★★★