年末の風物詩、大間のマグロ漁師のテレビ番組は今年もやるのか。
いい企画の番組で、マグロの迫力と人間ドラマをサブちゃんの歌が盛り上げる
もんだから、思わず熱いものががこみ上げる、自分の中では3本指に入る
テレビ番組だった。
人気番組は亜流も生み出し、マグロに関わる美味しいお店や料理なんかを紹介
する「マグロ漁師とその仲間」みたいな見出しを躍らせて、
「おっ、マグロ漁師の番組か!」と視聴者を釣ったりするが
結局「くいしん坊バンザイ」の廉価版みたいなので幕引きする番組もある。
それはそれで一興か。
その日もマグロに関わる人間模様の番組だった。
築地市場の超凄腕「マグロの目利き」の番組だった。
黒光りするマグロの行列の中から絶品を競り落とす。
これと見極めたマグロを高値で落とし、取引業者に自信をもって売り切って
ゆく。
中の身を見ていないが「間違いない」と決めた獲物は間違いなく逸品。
ブランド物の「大間のマグロ」も選りすぐり、高値のマグロは値引きもしない。
いいものはいい。
そんな彼の業のある日、一匹のマグロが競りに出された。
大間、津軽海峡に入る前のマグロ。
「あれは絶品だね。絶対落とす」
大間のマグロじゃないけれど、凄腕のマグロの目利きは断言し
大間のマグロと同じ高値で競り落とした。
インタビュアーが不思議そうに質問する。
「大間のマグロじゃなければ、競合もないから安くで競り落とせたのになぜ
大間と同じ値段で競り落としたのか」
「あのマグロを釣った漁師の事を考えないと。
大間じゃないからいくらでも安くで叩けるよ。
だけどね、釣った漁師の生活が懸かっているんだ。
そんなことはできないね。 絶品だよ、あのマグロは」
何が大事か、信念がある。
米の生産者も同じだ。
農家の生活が懸かっている。
真摯に取り組み作った米が言われなき理由で叩かれたら
その人はどう思うだろう。
凡そ生産に関わっていない者が無責任なことをしては
いけないのだ。