ラジオ体操は第二体操が終わると何故だか子ども達は出席スタンプ場に全力で走って来る。
「時代が変わっても、ラジオ体操と蝉獲りはパッケージ。変わらねぇなぁ」
「出席スタンプは必ず押すから最後でも同じだが、子どもは何で毎回、全力疾走なんだ」
昭和から令和にかけて、言わなくても受け継がれる伝統。
いや、野生の競争心、闘争心だ。
スタンプを押すと2/3の子ども、家族は家路に着くが、残りは・・・
ラジオ体操第三、蝉獲りに突入。
あちこちで蝉の悲鳴が聞こえる。
「時代が変わっても、ラジオ体操と蝉獲りはパッケージ。変わらねぇなぁ」
虫籠の中の蝉に憐れみをかけるのは頭でっかちな大人だけ。
子ども達にとっては勲章だ。
「昨日はね、ミンミン蝉が六匹とアブラが一匹」
「えー、すごいねぇ」
「それで、その蝉どうするの。昆虫採集で学校に出すの」
「蝉は七日間しか飛べないの。だから逃がしてあげたの」
さすが、令和の子どもは洗練されている。
昭和のガキはもっと残忍な事を平気でやっていた。
「昔はよかった」なんて、今の方が余程いい事も沢山ある。
「また明日ね」
「おじさん、ありがとう。さようなら」
挨拶もしっかり出来る令和の子ども達と、夏の思い出を分かち合えた一瞬だった。
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