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汽水空間 ~言葉と次元の力学系へ~

身体で体感する言葉の世界をお届けします(*´∀`)♪

みやすけの詩 罪の味

2011年02月19日 | 初期中期の詩
月夜に馴染めず 日が暮れる度に涙を流している女
彼女はいつも願っていた この男から解放される夢を見ていた
彼女の頬には幾筋もの虐待の跡が生々しく残っている
男は酒乱であった 男の生易しい言葉には幾許かの安らぎが籠っていた
女の情緒に絶えず語りかけてくる 安堵の旋律が漂っていた
女は睡眠を取ろうと横になった 涙が込み上げてくるのを必死で堪えながら
女はいつものように悲愴に暮れては 首を吊る事だけを考えていた
そして日は過ぎて行った 女の手に残る物は 一滴の言葉と
幾万もの星の欠片であった
女の悲壮は其処らに散見している太陽の塊のようであった
太陽は悲惨を語る 彼は幾筋もの奇跡を夢見ていた
夢は呆気なく綻びを見せて 宇宙の中の闇へと消えて行った
闇はどうしようもない絶望から これ以上関わりを途絶えた歓びへと
変異していった 神は己の維新にかけて言葉を探し回っていた
神はこの女の答えを渡そうとしていたのであった
神の温かな眼差し 女にはそれはある意味で異物のように見えた
その異物は煌々と光を放ち その後光は 女の恥部を照らし出した
恥部は黒ずみながら 女の女である恒心を妨げる事は無かった
女は神の言葉を聞きながら 自身の悩みの種を模索し続けていた
男の背中から滴り落ちる血の臭い その芳しさも歓びの裡に変わるのなら
女は自身の闇の中で 自身の屍を見つめるだろう
男はそれからしばらくして死に絶えた
男は自身の傷から逃げる事は出来なかった 男の心の中には
男であるが故の宿命の逃避だけが この毛髪の中に籠められていた
男は一人の亡者であった 男の死体には数々の虐待の跡があった
傷口から溢れ出している膿に 蠅は格好の餌を見出した
男は逃げ惑っていた 男から放つ臭気に 全ての人は唾を吐いた
男のなす全ての理には 様々な恨みの節が踊っていた
それに女は決して気づくはずも無かった
女は極度の味音痴であったから 女は自分の額に描かれている紋章に
気づくはずも無かった 女は常に退廃を語りながら
その裡では常に歓びを求めていた
女に着せられた様々な罪の計らいに 女自身の心の闇が投影される事は無かった
それは哀しき事であった
そして人々は決して二人の哀切を理解する事は無いであろう
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