新庄がつくる勝利の方程式
プロ野球データ分析05年 VOL.11
2005年06月13日
(小野俊哉)
6月5日の中日戦で中越えに先制の3ランを放ち、チームメートに祝福される新庄
防御率7点台…踏ん張れぬ先発陣
6月12日の甲子園での阪神戦に勝利し、11連敗のドロ沼からようやく脱出した北海道日本ハムファイターズ。5月27日以来16日ぶりの勝利だったが、その間チームはパ・リーグ3位から5位へ大きく後退した。だが、現在3位の西武とは、3.5ゲーム差。これからの追い上げ次第で、2年連続プレーオフ進出も射程内にある。
連敗期間中、投手陣の防御率5.88は12球団最低記録。先発投手の防御率は7点台と踏ん張れず、序盤(1-3回)、中盤(4-6回)の平均失点がいずれも12球団ワーストと打ち込まれた。
三振率が打率を超えた珍現象
打線も沈黙してしまった。この16日間のチーム打率を12球団で比較しても、巨人と並ぶ最下位の2割3分8厘。三振率は2割8分5厘で打率を大きく上回った。また、先頭打者の出塁率が極端に少ないのも特徴だ。先頭が出塁して得点したケースは、わずか9度だけ。同期間で27度をマークした好調ロッテの“3分の1”にしかならない。
それでも11連敗中、序盤のチーム打率2割9分2厘は12球団中3位と好成績だった。しかし、先制点を奪ったのは3試合にすぎず、序盤における先頭打者の出塁率が12球団ワーストの1割7分9厘と2割を大きく割ってしまった。ロッテが4割3分6厘、ソフトバンクは3割8分5厘の出塁率で相手先発を崩しにかかったのに対し、日本ハム打線は三振ばかりが目立った。
ラッキーボーイの資格は先頭打者に
チームが沈みかけた場合、ラッキーボーイが出てくると再び上昇気流に乗ることはよくある。連敗期間中のチーム最多打点は新庄だったが、これまで新庄が本塁打を放った場合、チームは8勝4敗1分。今シーズン、チーム先頭打者の成績を見ると、新庄は最多安打17本、最多出塁19度を記録している。5月途中まで1番で起用されていたことが一因だが、6月11日に古巣の阪神から甲子園で5年ぶりに本塁打を放ったのも、先頭打者本塁打だった。
新庄が先頭出塁して得点したのはチーム最多の12試合で、結果は8勝4敗。「先頭打者の出塁」を新庄が実践できれば、打線に粘りが出てくるはずなのだが……。
<了>
■小野俊哉/Toshiya Ono
岡山県出身。早大卒。Webからのスポーツデータの配信サービスを行うスポーツ・アクセス代表取締役。プロ野球『マスターズリーグ』へ公式記録を供給。テレビの野球中継にデータやコラム提供を行っている。執筆した『監督さえ知らない!プロ野球・非公式データブック!』(東邦出版)は3月より発売。スポーツ・アクセスのHPも完全リニューアル、データランキングを多用した『プロ野球プラス』が評判。現在無料会員向けにメールマガジンを発行、新らしいプロ野球の楽しみ方の提案を続けている。
プロ野球データ分析05年 VOL.11
2005年06月13日
(小野俊哉)
6月5日の中日戦で中越えに先制の3ランを放ち、チームメートに祝福される新庄
防御率7点台…踏ん張れぬ先発陣
6月12日の甲子園での阪神戦に勝利し、11連敗のドロ沼からようやく脱出した北海道日本ハムファイターズ。5月27日以来16日ぶりの勝利だったが、その間チームはパ・リーグ3位から5位へ大きく後退した。だが、現在3位の西武とは、3.5ゲーム差。これからの追い上げ次第で、2年連続プレーオフ進出も射程内にある。
連敗期間中、投手陣の防御率5.88は12球団最低記録。先発投手の防御率は7点台と踏ん張れず、序盤(1-3回)、中盤(4-6回)の平均失点がいずれも12球団ワーストと打ち込まれた。
三振率が打率を超えた珍現象
打線も沈黙してしまった。この16日間のチーム打率を12球団で比較しても、巨人と並ぶ最下位の2割3分8厘。三振率は2割8分5厘で打率を大きく上回った。また、先頭打者の出塁率が極端に少ないのも特徴だ。先頭が出塁して得点したケースは、わずか9度だけ。同期間で27度をマークした好調ロッテの“3分の1”にしかならない。
それでも11連敗中、序盤のチーム打率2割9分2厘は12球団中3位と好成績だった。しかし、先制点を奪ったのは3試合にすぎず、序盤における先頭打者の出塁率が12球団ワーストの1割7分9厘と2割を大きく割ってしまった。ロッテが4割3分6厘、ソフトバンクは3割8分5厘の出塁率で相手先発を崩しにかかったのに対し、日本ハム打線は三振ばかりが目立った。
ラッキーボーイの資格は先頭打者に
チームが沈みかけた場合、ラッキーボーイが出てくると再び上昇気流に乗ることはよくある。連敗期間中のチーム最多打点は新庄だったが、これまで新庄が本塁打を放った場合、チームは8勝4敗1分。今シーズン、チーム先頭打者の成績を見ると、新庄は最多安打17本、最多出塁19度を記録している。5月途中まで1番で起用されていたことが一因だが、6月11日に古巣の阪神から甲子園で5年ぶりに本塁打を放ったのも、先頭打者本塁打だった。
新庄が先頭出塁して得点したのはチーム最多の12試合で、結果は8勝4敗。「先頭打者の出塁」を新庄が実践できれば、打線に粘りが出てくるはずなのだが……。
<了>
■小野俊哉/Toshiya Ono
岡山県出身。早大卒。Webからのスポーツデータの配信サービスを行うスポーツ・アクセス代表取締役。プロ野球『マスターズリーグ』へ公式記録を供給。テレビの野球中継にデータやコラム提供を行っている。執筆した『監督さえ知らない!プロ野球・非公式データブック!』(東邦出版)は3月より発売。スポーツ・アクセスのHPも完全リニューアル、データランキングを多用した『プロ野球プラス』が評判。現在無料会員向けにメールマガジンを発行、新らしいプロ野球の楽しみ方の提案を続けている。