『書斎の競馬』元編集長のひとりごと

馬・車券歴40年以上50年未満。いつの間にかいい歳になった。

国際レースの質が悪すぎる

2008-12-08 02:51:47 | 競馬
 ジャパンカップシリーズが終わった。JCとJCDあわせて7頭の招待馬がやってきたが、掲示板に上がった馬は1頭もいなかった。どころか2頭は直前スクラッチ。たぶん来る気もない馬を無理やり引っ張り出すからこういう事態が起こる。

 いわゆる国際化から30年。国際化は日本の競馬にさまざまな改変をもたらした。欧米に倣ったかたちで競走体系が大きく変わり、グループだかグレードだか忘れたがGレースが濫造された。まずスプリント、マイルのG1が作られ、それを追う形でダートにもG1が誕生した。
 ところが国内生産頭数、輸入馬の数などは近年減少傾向。国外からの遠征馬は着地検疫で白井に隔離し、競馬場でも隔離厩舎に入れられる。日本の馬が遠征する場合はすぐに現地の一般厩舎に入れる。このような入国条件をイーブンにしないかぎりいかにご招待たって一流馬はやってこない。馬は習性として群れたがる。個を好まない。レース一週間かそこら前に入国して隔離されて、万全の状態での出走など困難である。帯同馬でもいれば多少ちがうかもしれないが、大厩舎といえどもそれほど暇な馬を多く抱えているわけでもなかろう。
 こうした制度をいまだに変えないのは外国馬には勝たせたくないというセクトが存在するせいか。そんなわけでレースのレベルはあがらない。
 強い外国馬が来やすいようにして競馬の質を向上させる努力がないかぎり、名目だけの国際レースはファンに見放されるばかりだろう。
 日本馬はというと、香港、ドバイ、欧州、アメリカ、豪州といたるところに遠征するようになった。そして勝ち負けするだけの力はつけているが、これは日本にとって資源の流失でしかない。馬券も買えない国外で勝とうが負けようが大方のファンにとってはどうでもいこと。たとえばダイワスカーレットには国内で走ってもらいたいのである。
 そんな風潮だから、日本の競馬は興行として衰退の道を歩んでいる。
 何年か前に国際レースは外国の馬ではなく外国人騎手がポイントというようなことを書いたが、デムーロといいルメールといい日本人トップとはウデのちがうところをみせてくれた。彼らも短期免許という排他的な仕組みのなかでの騎乗だが実力は存分に発揮している。
 農林中金はパンク寸前、生産地は一部を除いて壊滅の危機。競走馬の供給もままならなくなった。いま必要なのは馬資源。馬主、騎手、調教師など人的資源。全面開放で質の向上を図ることだ。メンツだけのパート1国では将来はない。