『書斎の競馬』元編集長のひとりごと

馬・車券歴40年以上50年未満。いつの間にかいい歳になった。

天皇賞・秋

2008-11-01 18:37:56 | 競馬
 今年のダービー馬ディープスカイが、史上最強牝馬ダイワスカーレット、昨年のダービー馬ウオッカに挑む。昨年は残念なことに蛇行あり体当たりありのデタラメな競馬で後の参考にはならなかった。JC、有馬記念の序章にふさわしい競馬を見たい。

 牝馬で天皇賞秋を勝った馬というと3年前のヘヴンリーロマンスと97年のエアグルーヴを思い出す。もちろんこれは最近の例。3200メートルの時代に遡ればプリティキャスト、トウメイ、それより前だと記録でしか知らないがクリヒデ、ガーネットなど合計7頭の名がある。
 実際にレースを見たのはトウメイ以降だが、記憶に残る名牝といえばエアグルーヴである。休みがちな馬で3歳時のビッグタイトルはオークスだけだが4歳夏に再始動。マーメイドS、札幌記念を連勝して天皇賞を勝った。負かした相手が前年に3歳で天皇賞馬となったバブルガムフェロー、1歳上の皐月賞馬ジェニュインなど。その後JC、有馬記念と使って、JCはピルサドスキーとクビ差の2着、有馬記念がシルクジャスティスとアタマ、クビの3着。牡馬でも過酷な3連戦を強行しながら崩れなかった。翌年のJCでは凱旋門賞に遠征して2着のエルコンドルパサーに敗れたが、ダービー馬のスペシャルウィークに先着した。記憶にも記録にも残る名馬と互角に渡り合ったのだから牝馬としては史上最強だったと思う。
 そのエアグルーヴを超える可能性があるのがダイワスカーレットである。
 昨年のダービー馬ウオッカに対して3勝1敗。一昨年のダービー馬メイショウサムソンに対しても2戦2勝。10戦して7勝2着3回、獲得したタイトルは桜花賞、秋華賞、エリザベス女王杯。今度が11戦目となり10戦目で天皇賞馬となったエアグルーヴにはスピードで劣るが戦績はすでにエアグルーヴを凌いでいる。

 土曜午後6時段階でウオッカが1番人気。ダービー、安田記念は文句なしだったし形通り毎日王冠を叩いた。勝たれてもおかしくないがいまひとつ信頼感はない。文句のない仕上がりで勝ちにかかった毎日王冠でスーパーホーネットに差されてしまったからである。豊の騎乗がとやかくいわれるが、最短距離を平均ペースで逃げたのだから奇策でもなんでもなくパーフェクトな内容だった。そんな競馬のあとだけに14番枠からうまく折り合いをつけられるかどうか。乗り方が難しくなった。最近大レースでいまひとつつきがないというか冴えない武豊だけに少々疑ってみたい。

 ダイワスカーレットがウオッカに負けたのは桜花賞トライアルのチューリップ賞だけ、その後の蹄跡には大きな差がある。7カ月も休養して勝った馬など例がないが、勝算がなければエリザベス女王杯ではなくここを使ってはこないだろう。
 有馬記念は主導権をとり伏兵マツリダゴッホに屈したものの差し返した内容は敗れて強し。春は目の負傷でドバイ遠征を断念したが、大阪杯は逃げてメイショウサムソンを完封した。競馬上手というかウオッカほど展開に左右されないのが強みだ。あえて不安材料を探すなら府中未経験ということ。ウオッカにあってダイワにないのはコース実績だけである。