三鷹バス痴漢冤罪事件。

8月3日の朝からTV画面にテロップで　県内全域に   大雨による避難勧告がながされ
すぐ近くを流れる川が水量を増し　ごうごうと流れるさまを気にしつつも　どこへも
出かけず　1日中TV画面の　大雨情報をながめていました。

午後になり雨もあがり　夜　情報番組を観ていると『三鷹バス痴漢冤罪事件』 を
取り上げ　二審で無罪が確定した公立中教諭の津山正義さん当時27歳の　冤罪事件
をやっていました。

TVでも実名を公表しておりましたので　津山さんと　本名で呼ばせてもらいます。

事件が起きたのは2011年12月　乗ったバスが満員で　津山さんはリュックを前にかけ
左手でつり革を持ち　右手の携帯で　今から会う恋人にメールを打っていました。

彼の左にいた女子高生に　いきなり左手をつかまれ「降りましょう」と半ば強制的に
次の停留所で　津山さんは引きずり下ろされました。

バスを降りた時点で彼女は「あなた　私に痴漢をしましたね」と言い　身に覚えが
ない津山さんは痴漢行為を否定して　約束の時間に遅れるため　恋人のもとへと急ぎ
立ち去ろうとしました。

ところが彼女は　後続の高速バスを止め　バスの運転手と乗客が　彼を取り押さえて
警察に突き出します。

取り調べで痴漢行為を否定しても　お前がやった　と一点張りの警察に拘留されたのち
親が出した250万円の保釈金で　津山さんは釈放されました。

逮捕直後　津山さんの手からは　女子高生の制服である　ウールスカートの繊維質付着が
なく　同じ生地を使い何度も実験した結果　触れば必ず繊維が手に残るという　弁護団の
検証を一審の裁判長は重視せず　女子高生の言い分だけを鵜呑みにし　40万円の罰金刑が
確定しました。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
教職を追われた津山さんは　それからは毎日々々街頭に立ち　自らの無実を訴える日が
続きました。

最初は遠巻きに見ていた教え子たちも　津山さんを励ますようになり　支援する会も発足し
この事件は　世間の注目を集めていきました。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
痴漢事件から2年半経ち　つい最近　二審で津山さんは　逆転無罪を勝ち取ります。

決め手は　バス中の防犯カメラが津山さんと女子高生の姿を捕えており　右手でメールを打ち
左手でつり革を持つ彼の手が　左に立つ彼女の尻を触ることは不可能　と二審の判決が下され
前にかけたリュックの肩ひもが長かったため　同じ高さの　彼女の尻に触れたと判断されました。

最初の　頭から津山さんが犯人で　痴漢をしたとの取り調べは　とにかく　早く認めろ自白
して楽になれと　このくりかえしであったと津山さんが述べており　TVドラマでもたびたび
見かける取調室のシーンと　まるで同じです。
　
いくら冤罪であっても　職も失い　自分を見る世間の目も以前とは違った世界で　粘り強く
2年半もの間　無実を訴え続けるという辛い日々を送ることは　津山さんの立場が　もし自分
であっても　ここまでは本人も身内も　がんばることは困難です。

もし　自分の息子が津山さんの立場でも　罰金40万円は出してやるから　悔しいけれど　もう
終りにしよう　いやなことは早く忘れろうと　私なら言うでしょう。

痴漢行為は　被害にあったと訴えた原告の言い分が　ほぼ認められるという不当判決が多い
らしく　身に覚えがなくとも　早く終わらせたい一心で　被告が認める形になるといいます。

つい最近　二審で無罪が確定した津山さんが　教職に戻れたかどうかは知りませんが　冤罪を
晴らすために　人生の貴重な時間を　2年半も費やしたことは事実です。

この事件は一審で正しい判断がされず　原告側の言い分だけを信じた不当判決として　今後も
痴漢事件の　大きな一歩であるとされています。　

かけがえのないものを多く失くした津山さんは　現在30歳。 若いのでやり直しもききますが
冤罪と聞けば　最近では袴田事件が思い出され　人生のほとんどを獄につながれた袴田さんは
無罪を勝ち取ったときには　ずいぶん高齢となっていました。

司法の天秤は　目隠しをした女神が天秤を持ち　司法に携わる者は　先入観なく公平に
人を裁く姿を象徴していると言われ　冤罪とは　言われなき罪を被る人を作ることになる
とは　なんと怖ろしく　あってはならないことです。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
避難勧告の解除もない中　TVの　三鷹バス痴漢冤罪事件が心に残りました。