goo blog サービス終了のお知らせ 

なぎのあとさき

日記です。

グラン・トリノ

2009年05月12日 | 映画の話(ネタばれ)
元軍人の老人が移民の家族を救う話、と聞いて、
久々のエンタテイメント作品だ、と、
気楽な感じで観に行った、けど、やはり、
そんなヒトコトではくくれない。

まず、とにかく、
イーストウッドがかっこいい。
イーストウッドは1930年生まれ
(ゴダールと同じ)、78歳。
そんな年になっても、
人がこんなにかっこよくいられるとは。

映画は、偏屈な老人のボヤキがおかしくて、
ラスト近くまで笑いがたえなかったほど。
孤独な老人が、スーや少年に、
少しずつ心を開いていく様は、
微笑ましくさえあった。
神父さんの顔、
天使を大人にしたような顔。
床屋のおっさんとのやりとりもおかしかった。

途中でチンピラを脅す、
イーストウッドの目力が!
『許されざる者』の頃と変わらない鋭さ。
眼力だけでド迫力のバイオレンス。

笑いありの楽しいシーンの間も、
ワンコと車の無事が気にかかって、
なんだかドキドキするけれど、
彼を信じていればいいのだった。

ラスト近くになって、
ガツーンと心臓をつかまれ、
揺さぶられて、涙が止まらない。
そのシーンは、心につきささり、
刻まれる。
映画史上最強にかっこいい男に、
ふさわしい壮絶なそのシーンに、
感動とともに哀しみが、
一気にこみあげる。
そして、美しいラストシーンへ。

70年代は誰よりアメ車が似合っていたことをふまえての、
グラン・トリノの扱い、
ラストの歌までかっこよかったなぁ。
次の世代へ、譲り渡すもの。
彼の生き様、彼の映画。
イーストウッドにはずっとイーストウッドでいてほしい者には、
哀しくてしかたないラストシーンでもある。

少年との友情、
全てに落とし前をつける生き様もよかったけど、
老人のラブストーリーとしても、よかった。
命をかけた、最後の恋。
その枯れなさがまた、
イーストウッドのかっこよさ。

先日たまたま読んだ『elle』のインタビューで、
ご自身に一番近い役は?の質問に、
『マディソン郡の橋』とのお答え。
ジョークかと思ったけど、本当かも。

渋谷にて。
私だけでなく、
ダーも「イーストウッドかっこよすぎ!」、と、
二人でメロメロしながら上の居酒屋で余韻にひたりつつ、
一服&ビール。

バーン・アフター・リーディング

2009年05月01日 | 映画の話(ネタばれ)
グーグルアースみたいな俯瞰から、
下々の民にズームイン。
コーエン兄弟らしいダメ人間賛歌。
ダメ人間はダメなことに積極的。
へタレとは違う。

このダメ人間たちを演じる豪華キャストが、
みんなハマってて面白かった。

ブラピは、今行ってるジムに普通にいる感じ。
ジョージ・クルーニーは、
インチキ絶倫オヤジ役がぴったりで、
初めて好感がもてた。
そして、今回一番ダメかもしれないマルコビッチ。
あの、セクシーで素敵な彼が、
妻にも見放されたさえないオッサン役。

エンディングのCIA MANって曲が、
かっこよくまとめていた。

最近本で読んだばかりの、
「クラポトキン」って名前の人が偶然出てきた。

渋東シネタワーにて。思ったよりすいてた。

イースタンプロミス

2009年04月25日 | 映画の話(ネタばれ)
ギャングの血塗られたどす黒い部分を、
きたんなく描いた映画。
痛いし、陰惨で、胸くそ悪い話だけど、
ストーリー展開が鮮やかで、
ドスーンと腹に来る名作。
お風呂のシーンのヴィゴには、
ここ最近ないくらい度肝を抜かれた…。
クローネンバーグ、今年で66歳。

ウォーリー その2

2009年04月25日 | 映画の話(ネタばれ)
ウォーリーDVDをさっそくゲットし、
届いたその日に見た。
ストーリーはだいたい覚えてるけど、
映像の細部まで、見どころがまだまだいっぱいある。
今回は純粋なラブストーリーとして見て、
申し分なく至上のロマンティックさに溢れていた。

オタクの作品って、
映像や世界観がすごくても、
ラブストーリーが全然なってなかったりする。
スターウォーズエピソード2とか、
なんでアミダラが恋に落ちたのか全くわからなかったし、
エヴァもロマンチックさは見当たらないし。
でも、ピクサーの映画はラブもすごい。

特典映像のメイキングを見ていて、
監督のアンドリュー・スタントンは、
メガネで髪がベタッとしててオタク風だけど、
(人間には興味ない、とサラリといっていた)
ストーリー監督や、そのほかいろんな監督を立てて、
お互い信頼と尊敬のもと、
作品を練り上げていた。
ワンマンでこんなパーフェクトな作品はできない。
(今日は偉そう、鐘前なので)
その辺のシステムは、アメリカのいいところって感じ。
リスクを恐れずやるだけやって、
失敗から何か学んで、
もっといいものにしていく。
試写室がまた、素敵だった。

特典映像もハイセンスにまとめあげられてて面白かった。
バーニーのスピンオフだけでも、
買ってよかったと思えるのに。
キッズ向けのゲームも、
デザインがめちゃめちゃカワイイ。
ディスク1もディスク2も見どころ満載で、
アマゾン割引で2800円程度。
ポニョの初回限定版の価格はなんとかならんのか。

生命力の強いアイツ、
見た目はともかく、
動きがモンチそっくり。

我が至上の愛 ~アストレとセラドン~

2009年02月18日 | 映画の話(ネタばれ)
叙事詩というのか、
詩みたいに無駄のない、
美しい映画だった。

光、草原、川、春の花、森、羊たち、
風の音、鳥のさえずり、詩、歌、音楽、
心地いい部屋、緑の庭、
簡素で色のきれいなドレス。
あるべきものだけの世界で、
愛について描かれる。

映画は広々とした空間を、
躍動感にあふれて動いていく。
この映画を動かしているのは、
ひとえにロマンス。

雑音のない世界でも、
ロメールが描くロマンスは、
明るくて、楽しくて、軽い。
前半の悲劇的展開の間でさえも、
人間たちは歌をうたい、
愛する人の肖像画を描き、
生を謳歌していて、
瑞々しくエロスが漂う。

セラドーン!(ドにアクセント)
と名前を呼ぶアストレ。
ギリシャの彫像みたいな、
ルネッサンスの絵みたいな美しい娘。

セラドンも美男だったけど、
最終的に女装のイメージが強く残ってしまった。
ロメール映画には珍しい極上美男だったのに。

セラドンの妹になったニンフも可愛い。
ラストの、理屈じゃなくて愛なのよ、と、
いちゃつく二人を眺めてるところは、
どこかで観た古典絵画みたいだった。
神父は、テキトーかげんが高田純二風。
神父の娘は一人で寝るってことにしとこう、
とかおかしかった。

ロメール映画の常連さんも出ていて、
セラドンの母役の女優は、
緑の光線の頃から変わらないなぁ。

世界の肯定、
すべては愛のためであること、
そして女心のリアリティ。
どれをとっても本当に、
ロメールは神の域。
一番好きな映画監督だと改めて思った。
今は88歳だそうで、
この映画で引退するそうで、
かなり寂しいけど、
獅子座にモンソー、教訓ものから季節シリーズまで、
何度でも新鮮に観られる映画をたくさん撮ってくれたので、
おつかれさまです。

年末に試写で見て、
バレンタインデーに再び銀座テアトルにダーと観に行った。
ダーはちょっと寝ていた。
映画の前、ダーがユニクロるというので、
別行動してH&M~ザラを流してから、
松坂屋で高級チョコを買った。
ハチミツのガナッシュ入り。
ほとんど自分で食べた。

最近観た映画

2009年02月11日 | 映画の話(ネタばれ)
少し前に、
テレビでスペースカウボーイを見てから、
久々のイーストウッド祭り。

まずはサンダーボルト。
ご自身の監督作にはない力の抜けた感じで、
気楽にイーストウッドのかっこよさを堪能。
神父服姿がセクシーすぎるし、
デカいアメ車が似合いすぎるし、
映画史上最強のかっこよさじゃないかしら。
70年代アメリカの郊外の乾いた景色と車もかっこよく、
突然アホなことをいうモブとかもおかしい。
黒沢「勝手にしやがれ」の元ネタってこれ?

お次は許されざる者、
この映画はイーストウッドそのものって感じで、
ひれふすくらいにかっこいい。孤高!
イーストウッドの名前は、
アナグラムにすると「old west action」、
「懐かしい西部劇」になるそう。

次に、荒野のストレンジャー。
ホラー映画一歩手前の西部劇で、
ぞくっとする不気味さがいっぱいの怖面白い映画。

パルプフィクションも久々に見る。
やっぱりラストシーンが一番好き。
二人のチンピラぶりがいかしてる。

パンチドランクラブ。
生きることに不器用な男の、
一生に一度の恋のお話。
ロマンチックで、泣ける、いい映画。
女の人も、誠実さが良かった。
幸せの青い光。

Cが誕プレにアマゾンから送ってくれた、
SATCの映画もまた見る。
アメリカ映画ばんざい!

WALL・E

2009年01月22日 | 映画の話(ネタばれ)
まばたきするのも惜しい映画だった。
待ってましたのロボットもの。
ウォーリーがとにかく可愛くて、
ほとんど全編泣きどおし。

一人ぼっちで生きてたウォーリー。
っていっても、
ウォーリーは一人暮らしの日常を、
精一杯楽しんでいて、
ウェットなところは見せない。
傍らには生命力の強いアイツもいるし。
アイツ、動きがリアルだったけど、
ピクサープロデュースならOKだ。

イブが出てきてから、
話はどんどん面白くなる。
イブを守ろうとし、
イブを追いかけるウォーリーは、
ますます健気でかわいくて。
宇宙デートのシーンはもう、
最高の最高。

偉大な漫画家が一度は描くロストワールドもので、
こんなに楽しい話は初めてかも。
基本的に性善説なところも好き。
人間どもは醜いながらもいいところを見せたり、
笑わせてくれたり、
出てくる人みんなが愛しい気持ちになる。
ここでかからなくていつかかる、
というタイミングの
A Space Odysseyのテーマも盛り上がった。

おそうじロボットも最初から最後までかわいかった~。
ウォーリーがE.T.に似てるのも、
子供の頃E.T.で大泣きした私にはツボだった。
ロボットは心を持った時点で、
人間と何も変わらない。
緑の扱いもいうことなしの大満足。

あまりに良すぎるものを観たからか、
エンドロールでは涙も最高潮で、
声を抑えるのが苦しいくらいだった。
このエンドロールまでいたれりつくせりで、
ピクサー最高と叫びたい。

ウォーリーの前の短編も面白くて、
短い話なのにすぐにつかまれ、
ウサギのとりこになった。

今世紀最高の映画を観てしまった感。
お正月に観にいって、
見終えた後でパルコのセールに行ったりしたけど、
買い物を終えて09のカフェでお茶してるときも、
余裕で頭と心がしびれていた。

ダー「いいなぁ~」「何が?」
「ピクサーで働いてる人たち」
ほんとです。

アキレスと亀

2008年10月28日 | 映画の話(ネタばれ)


画家になりたい男の人生。

子供時代、セピアがかった景色や家の中で、
子供の描く絵がとても鮮やか。
ギョッとするシーンが、絶妙な間で来る。
重くて暗い出来事も、
テンポよく、おかしみをもって描かれる。
やっと、普通に観れるたけし映画が帰ってきた~、という感じ。
ギョッとすることは、その瞬間ではなく、
変なアングルだったり、変な音だったり、
変なアップだったりでギョッとさせる。
やっぱりたけし映画は面白い。
子供が怖い漣さんのいうことを全く聞かずに、
ニワトリを描くところ、よかった。
叱られたって、脅されたって、気にしない。
絵を描くことが、生きること。

青年時代、柳ユウレイは、
人生の暗さがしみついたような顔なのに、
なぜか悲壮感がない。面白い存在感。
美大学生たちのシーンは、
うさんくさい中、ユウレイ氏が一人いるだけで、
いい絵になってる気がする。
画商もうさんくさかった。
青年時代にもギョッとすることが起こるけれど、
主人公の真ち寿は、あまり考えない。
考える前に、絵を描いている。

中年になって、最初のシーン、
壁におたまで絵の具をかけるところは、
とても鮮やかに感じる。
一緒に生きてくれる人ができて、
世界が鮮やかになったかのような。
麻生からの樋口、雰囲気がよく似てた。
中年になっても、ひどいことが起こる。
真ち寿は、何が起ころうが、
絵を描くことで、生き続けていく。
そんな彼に、一度や二度はアイソがつきるだろう。
でも、真ち寿ほど一緒に楽しめる人は、
きっといない。

彼女が去るときの真ち寿は、
初めて本当に哀しそうな、
シュンとした顔が印象的。

ラスト、顔を上げたときの彼女のアップ、
二人で歩き去る後姿は、
幸せそのもの。

芸術家っていうのは、
自分がなりたいわけでも、
夫にしたいわけでもないけど、憧れる。
理解してくれる人がいるかも、
意味があるのかも、
お金になるかもわからないもの作ることに、
ひたすら打ち込む姿。
世間や貧乏なんて、
全く気にしない姿。
そういうのって、カッコイイ。
だから、面白い映画だった。

たけし映画でおなじみテアトル新宿にて。
初めて副都心線に乗る。
駅構内も電車もキレイで、
田園都市線から伊勢丹のB2がドアtoドアで感動!
渋谷のJRに乗るまでの階段の雑踏も、
新宿のアルタ前のごっちゃごちゃも通らずに、
伊勢丹にいけるなんて!
映画の前はキリンシティでビール。
ダーは3杯くらい飲んでいた。
私は食欲がすごくて、つまみ食べ放題。

ちょっと前に観た遠藤たけし、
真似して「ダンカンこのやろう」を何度も練習してたら、
ダ:遠藤よりNちゃんの方が似てるよ

トウキョウソナタ

2008年10月12日 | 映画の話(ネタばれ)



トウキョウソナタ  (ネタバレあり)

終始面白くて、
クスッと笑えるところも、
ゾクッとする怖いことろもいっぱい。
私的には、役所さんが、
ダメダメ叫ぶところは最高。

冒頭、吹き込む雨を浴びるところで、
主婦の心情につかまれる。
キョンキョン、表情も声も、
空虚な日々に疲れてるのに、
優しくて、色っぽい。
いっとき母親であることから離れる、
海のシーンは、艶かしいほど。

キョンキョンも井川も相当きれいなので、
もっと黒沢映画らしい、
幸薄そうでなんか怖い、
女の人は出ないのか…、
と思ったらいた!
失業仲間の家の奥さん。
顔もぼんやりしてて、
よくわからないけど、こええ、
と思ったらやはり前兆だった…。

香川のドロっとした感も面白かった。
失業仲間のキャラもおかしくて、
彼はそう簡単に消えるキャラじゃないので、
やはりあの奥さんが…。
児島の普通な存在感もよかった。

黒沢清って、
世界とのスタンスというか、
孤独への執着というかが、
年をとっても全く変わらないな、と思う。
軍隊に入る男の子の、若さ、とか。
その男の子とキョンキョンの、
切りかえしとセリフの間、
小津好きにはたまらない。

今どき権威にこだわる父なんているのかな、とか、
ハローワークはもっと明るいし親切で、
あんな悲壮感漂ってないと思うし、
掃除の人だって着替えるところくらいあるでしょ~、
駒場東大前って、もっと雰囲気いいし、
とかも思ったけど、
面白い映画だったのでそれはそれ。
面白い、っていうのが映画で一番肝心だから。

病んだ大人たちの毒にさらされる子供たち。
それでも消えない希望。
最後に救いがあるのは嬉しい。

プジョーのオープン、かわいかった。
(ダ:Nちゃん絶対そういうと思った)

ガーデンプレイス、
映画まで2時間弱もあったので、
パパスカフェのテラスでのんびり、
ラテ、パンナコッタ、ダーはビール。
サブカルチャーって何?という話。
都会の真ん中なわりに、
しんしんと秋を感じる場所。


赤い風船/白い馬

2008年09月16日 | 映画の話(ネタばれ)



アルベール・ラモリスの映画は初めて。
チラシの写真を見ただけで、
観たい、と思っていた。
1950年代の映画。
シネ・アミューズにて、お昼からの回。

「白い馬」

動物の映画って、
撮影が動物の負担になってないか?
と気になってしまうのだけど、
あまりに美しい映画で、
本当に観て良かった。

明るいモノクロの絵に、
白い馬も黒い子馬もそれだけで絵になるし、
のびのびと走り、じゃれあうときの、
体と筋肉の美しさ。
湿地の景色も、
鏡のような水面が白い光をたたえていてきれい。
この景色と馬の美に負けてない、
いけてる男の子。
髪型といい、白い服といい。

その子が馬をつかまえる、
というか馬に気に入られるシーンと、
ラスト、海のシーンは、
度肝をぬかれた、
といっていいほどすごかった。
神話を目の当たりにしてるみたいな、
信じられない美しさと、
ええーっ、という余韻。

「赤い風船」

チラシの、男の子と赤い風船、
風船にうつるパリだけでもぐっとくる。

始めのシーンからラストまで、
かわいくてかわいくて。
カメラ低めの、子供目線のパリから、
風船の動きにあわせて、
ふわーっと高い目線のパリになるのが面白くて。
セリフはほとんどないけど、
風船と男の子の友情をひしひしと感じる。
風船と一緒に傘に入れてもらうシーンや、
青い風船の出てくるシーン、
かわいかったぁ。
狭い路地で、ワルガキどもから逃げるシーンは、
本当にドキドキ。

終わりの方の盛り上がりも、良かった。
灰色のパリの空に、色とりどりの風船って、
なんてかわいい景色。
こちらもラストはポカーンとするほど美しく、
不思議な余韻が残る。


ランジェ公爵夫人

2008年09月15日 | 映画の話(ネタばれ)



「ランジェ公爵夫人」

初夏からずっと見損ねていて、
やっと、新百合丘まで行って見れた。

リヴェット、バルザック、パリの貴族の社交界、
そして、恋。
いうことなし、大満足の映画。

最初の、修道院や海の感じ、
諍い女を彷彿とさせて、おぉ、とくる。
BGMがないせいか、
教会での歌や、海鳥の声、
絵まで際立つ。

最初の面会は、
不吉なまでに暗かった。
でも、修道女の、
まだ残る恋ごころがキラッとする。

回想、貴族社会の恋愛ゲーム。
今をときめく公爵夫人が、
世なれないモンリヴォーをおとしにかかる。
ロメールの恋愛ものみたいにテンポがよくて、
すごく楽しい。
一線は越えずに、楽しむだけの社交界の恋。
夫人の、鈴を鳴らすような声が魅力的。

調度品や衣装の美しさ、格調高さにもうっとり。
夫人の白の部屋着や赤のドレスはかわいかった。
髪かざり、首飾り、胸元のチュール。

召使たちも、何気に楽しく、
ルノワールの映画を思いだす。
ワルツとかカドリーユのシーンもうっとり。

そして、くだんの、誘拐シーン。
ぞくぞくするほどの色気。恍惚。
落ちていく女。
鳥肌ものの帰り道。

アルマンは、鷲というか、
ライオンみたいな男。
社交界の流行児とは対照的。
本気で向かってこられたら、
ほれてまうやろ~。

その後は、ひたすら切ない。
遊びのはずだったのに、
恋は暴走。
世慣れたはずの夫人は実は、
本当の恋愛なんて知らなかった。

ピコリもいい味で、
オジエの助言がパリらしくて、もっともで、
よかった。

全体的に、夜とか暗いシーンが多かったので、
ラストの光る海も印象的。
長い夢から覚めたみたいな、
シラッこさが漂う。

侯爵のところでうだうだする十三人組も、
なんか面白かった。
でも仲間の恋のために何でもするなんて、
さすがフランスの男たち、ロマンチック~。
ギョームもモンリヴォー役にはまっていた。
女を狂わす、ライオンみたいなエス男。

また観たい。

映画館を出ると、ピンクの満月。

身をやきつくす恋…。
隣にいるダーは、
ロマンチックさが全然足りず、
むかつきそうになったけど、
もともと別に見たくない映画につきあってくれたし、
最後まで寝ずに観てたということで、
まぁよしとしよう。
ピンクの月がきれいだし。
身をやきつくしてる場合でもない。
猫らにご飯あげないと。

改めて、原作を読み直してるところ。
フランス貴族についての考察が長い長い。


ホウ・シャオシェンのレッドバルーン

2008年09月10日 | 映画の話(ネタばれ)


毛づくろいする後ろ姿、
この腰のラインがかわいい。



伸びた足もまた萌え。



完成度の低い写真ばっかり。

「ホウ・シャオシェンのレッドバルーン」(ネタバレあり)

候のパリ。
始まりの、メトロの駅の入り口のシーンから、涙が出そうに。
男の子と、風船の動きで、つかまれた。

かわいくて、少しクールな子供も、
初めての仕事に少しとまどう北京の女の子も、
仕事と母親業とお金と男関係とかいろいろで、
いっぱいいっぱい状態ながらパワフルなビノシュも、
みんなリアルに生きてる感じ。
あのパワフルさは、母ならではなんだろうな。
セクシーさも保ってるところがパリの母。

ビノシュの部屋のゴチャゴチャ感は、
まさに候の映画とパリのコラボ、という感じ。
ゴチャゴチャしながら生きる人たちを、
ときどきフワ~ッと出てくる風船が、
本当に見守ってるみたい。
生き物に見えるし、それ以上にも見える。
観客である自分とカブる感じも。
すりガラスごしの風船、可愛かった。

人形劇も面白かったし、
ルイーズのシーンもグッとくるタイミングでくる。

オルセー美術館で、
女の子と風船の絵の話を子供たちにしたり、
狭くて散らかった部屋にさらにピアノを運んだり、
映画を撮る話をふだんの会話で話したり、
芸術が当たり前のようにあって、パリを満喫。
もちろん、パリの街もいっぱい出てきて、
パリの空を飛ぶ赤い風船、
きっと忘れない映画。

サイコー!

2008年07月21日 | 映画の話(ネタばれ)
初めてネット予約して映画を観に行く。
外に出ると熱風が気持ちよく、
うかうか河原に行って、
カワセミが垂直に水に降りる姿に感心して、
時間がギリギリになってしまい、
大慌てで六本木ヒルズへ。
予告の時間があるから間に合うだろうと思いつつも、
ダーがやたらと焦らせるので小走りで。
なんとか間に合い、
ポップコーンも買えた。

「ポニョ」。
最初から最後まで、
全部のシーンが良すぎる!
楽しくて、面白くて、かわいくて、
CGにはない美しさがあって、最っ高。
シンプルな物語が、
突き抜けては、突き抜ける。津波のように。
ただただもってかれて、
素敵なラストシーンに涙。
どのシーンも大好き。大感動。
大好きな夏の映画がまた一つ増えた。
また観たい。すぐにでも。
ダーは隣で嬉しさのあまり、
何度もクスクス笑っていた。

映画の後は渋谷に移動し、
料理が美味しい飲み屋でご飯。
最初から最後まで、
あらゆるシーンをなぞっては、
感動を噛みしめていた。

ビールがあまりに美味いので、
鐘中なのを忘れて早いペースで飲み、
何年かぶりのリバース!
目が回った。

炎と欲と血にまみれた男

2008年05月20日 | 映画の話(ネタばれ)

デルフィニウム、淡いブルーの花。
切花にしても可愛い。

濃い青の花。
清涼な花姿で、バラをひきたてるデルフィ。

日曜は、there will be blood。
渋谷の明治通りの映画館にて。
予告でも見たけど大当たりのシーンはすごかった。
あんなのを目の前にしたら、
ドーパミンどぱぁぁぁー!!って感じで、
心が打ち砕かれ、もう救われようもないんだろう。
男の顔が怖かった。ダニエル・デイ=ルイス、壮絶な演技。
心なき後に欲望をふくらませて、
その分憎まれまくる、
孤独なギャンブラーの生き様を丁寧に描いた映画。
何かと情けないイーサンとはいいコンビだった。

帰りに入った飲み屋は、
厚手のカーテンでやたらと仕切って個室感を出した店だったけど、
圧迫感があるし狭いとこ苦手な私には余計な演出だった。


バラ色の夕映え

2008年05月09日 | 映画の話(ネタばれ)
タニウツギ。白と淡ピンクの花が混ざって咲いている。
去年私の背くらいまで一気に伸びて、
今年はたくさん花をつけた。

永井荷風が『ふらんす物語』で、
フランスの夏の夜のことを、
薔薇色の黄昏時に天地が酔っているよう、とか、
甘美な時間、というようなことを、
何度か書いている。
最近は日が伸びて、
フランスのサマタイムほどではないけど、
昼でも夜でもない明るい時間が長くなった。
花たちは、昼間の光が残ってるみたいに、
しっとりと輝くので、
できることならこの時間は、
何もしないでじっと花を見ていたい。