所々に空席がある中、
my初日「サンセット大通り」の舞台が
2020年3月21日(土)、
定刻17時に幕をあけました。
いろんな想いがぐるぐると巡る中、
慣れないマスクの蒸れで
少し頭がぼぉーっとしていましたが、
フォーラムのあの密閉度の良い空間に
オケの演奏が始まると、
嗚呼、劇場に来たんだ!・・・
たった1ヶ月と少しぶりなのに、
凄く長かったようで
何とも言えない気持ちでした。
そして、今回の優也くんの役どころは、
少々古い度ミュージカル作品で、
曲数も膨大、台詞を歌にのせる本来の
ミュージカル度が高い、
お相手は、「ロマーレ」以来のあの劇団卒の
女優・安蘭けいさんで、3度目の役どころで、
ダブルキャストは、大尊敬の濱田めぐみさん。
優也くんのダブルキャストは、平方元基くんで
売れない脚本家を演じると言うもの。
ストーリーは、ざっとわかってはいましたが、
事前の情報番組への番宣でのコメント以外
あまり前情報を入れずに臨みました。
冒頭、ミュージカルらしく語りかけるように
歌に、台詞に、舞台いっぱいを使って、
いきなりミュージカルの世界へ引っぱりこまれた、
と言う印象の優也くん登場でした。
これまでもミュージカル出演を多数こなし、
主役も多く果たしてきていましたが、
2.5次元ものは、そう心配はありませんでしたが、
こういう元来の度ミュージカル作品で
歌い、演じる、と言うことに
いつも以上に、どうだろう?・・・でいました。
でも、その心配を多いに吹き飛ばしてくれた、
それだけでなく、
私の中で、役者・松下優也の代表作になったな、
と思わせてくれました。
語りかけるように台詞を歌詞にのせ
歌い、演技もして、ストーリーを観客に
届けなければならない難易度の高い技を、
本人も難しい挑戦だったはずなのに、
見事に、堂々とこなし、魅せつけていました。
それは、周りを囲んでくれている
ベテランの役者陣に引けをとっていない、
見事に溶け込んでいました。
正直、優也くんの舞台上の演技は、
少々オーバーアクション気味で、
他の役者と演技面、歌面、パフォーマンス面において、
どこか、何か違いが埋められないでいるように
私には映り、聴こえてきてくることが
少なくなかったのですが、
それが、今回ジョーを演じる優也くんには、
微塵も感じられず、
本来のアーティスト性を生かして、
台詞と歌の間では、絶妙なリズム感をもって
感情だけでなくストーリーテラー的に
繋いでいくシーンでは、
焦らずテンポよく、滑舌もよいところから、
実によく聞き取れました。
これって、とても重要な部分だと思っています。
久しぶりに台詞と歌がはっきり分かれていない
アンサンブルの人たちも混ざって、
入れ替わり立ち代わりの楽曲にあって、
優也くんの台詞ははっきり耳に届きました。
よいよぉ~、優也くん!
当初から言われていたように、
安蘭さん演じるノーマの、鬼気迫る現実とのズレ、
それを捻じれた愛情でもって献身的に支える
山路さん演じるマックスが住む
時間が止まったような静寂に満ちた屋敷に
迷い込んだ優也くん演じるジョーとの関係は、
これまでにない二人の間柄になったのではないかな、
と感じました。
ダブルキャストが、元基くんで相手は濱めぐさん、
前回は、優也くんの位置をカッキー(柿澤勇人)が、
初演を調べたら、びっくり!
万里生くんだったんですから、
優也くんには申し訳ないですが、
経験値はそれなりにありますが、
一番異次元、いえ、違う畑から来たジョー。
これまでになかったタイプのジョーに
なるべくしてなったな、でした。
これまで積み重ねてきた演技が、
この作品、役どころに出逢い、
演出家の鈴木裕美さんのもとで、
思いっきり花開いた感じがしました。
近頃のミュージカルは、
音楽劇との差が私にはよく分からないのですが、
台詞を言い切ってから
さて、歌いますよ、と言う感じで
朗々と熱唱する、と言うものが多い。
今回の作品も、一幕、二幕ともに
しっかり歌い上げる曲がありますが、
比較的少なく、これぞ本来のミュージカル、
と思える作品で、
水を得た魚のように、
優也くんが堂々と、自身の持っているものを
発揮している、それが実にジョーと言う存在を
優也くんが作り上げた感じがして、
ぐいぐいと舞台に引き込まれていきました。
優也くんがミュージカルに出演するたびに
足を運び、ファン目線だけでなく、
一演劇ファンとして、客観的に評価し、
もしファンじゃなかったら、
で厳しく観てきましたが、
今回、本当に文句なし、のはまり役と
感じました。
ファン目線で言ったら・・・、
やっぱり、舞台映えするあの容姿は、
お母さまに感謝ですね。
顔で演技するところもありますが、
安蘭さんの迫真の演技と歌に
負けてないですよね、
優也くんの感情の揺れが
分かりやすく捉えられました。
一女優として、一女性として、
ノーマのジョーを求める情熱度、固執するのが
よく分かるジョーに仕上げていました。
かっこいいよ、
ノーマに着せ替え人形のように飾られ
踊ったかと思うと、
自殺をちらつかせられ、
元の生活に戻りたくないと言う想いもあり、
嗚呼、なんて男って、こうなんだろう!
と本気で感情移入できるほど、
男としての優しさ、弱さが
出ていました、優也くん。
素敵な役者になってきましたね。
まもなく30歳を迎える
アーティスト、役者、パフォーマー
松下優也、
一歩上にステップアップですね。
話しはつきないですが、
しっかりマスクして、
ルールを正しく守って
残りの観劇を満喫したいと思います。
嗚呼、優也くんから
たくさんエネルギーを頂きました。