有効期限シール

昨日、洗浄が終わった手術器具の整理をしていた時、ある先輩から「松井さん、確認をお願いします」と呼ばれた。それは私にとって初めての作業で、“滅菌された器具類が入っている袋”が破れていないか確認することだった。器具類を専用袋に封入してから加熱＆滅菌するので、たまに袋が膨張して破裂することがあるらしい。それでは滅菌した意味がなくなってしまうので、手術フロアへ回す前に確認しておく必要があるのだ。棚状になっている大きなカートに載せられたたくさんの袋…　棚の手前にある袋を確認、棚の奥にある袋を確認…　それを繰り返した。

袋の一つ一つには“滅菌した日付＆一カ月後の日付（有効期限）が印刷されたシール”が貼られている。もしも使われないまま一カ月が経過しても、再び滅菌処理をすることになっているからである。そのシールは、手術で使う器具以外にも…　例えば、“医師が手洗いで使うブラシを１０個くらい入れておく金属製のケース”にも貼られていて、たまに期限切れになったケース（＆残っているブラシ）が手術室フロアから下りてくる。昨日、それを受け取った私は除菌ペーパーで拭いてから、滅菌室の所定の場所に置いておいた。

手術も作業も順調に終わり、先輩に挨拶して「さて、帰ろう」と手を洗っていた時…　左肘の辺りに“有効期限シール”が貼り付いていることに気が付いた。「ん？　あぁ、さっき…　“ブラシケース”を拭いている時に付いたんだな」と思いながら剥がして捨て…　念のため、日付を確認…　「あれ？　今日！？　来月まで？？？　ヤバい！」と慌てて冒頭の先輩のところへ戻り、事情を話して謝罪した。すると先輩は「どうせまだ一時間くらい（機械による）滅菌が終わるの待っていなきゃいけないから…　その間に探しておきます。もう上がってもらっていいですよ」と優しく言ってくれた。

そこで私が胸に手を当てながら「本当にすいません…　あぁ、今夜は寝られそうにありません」と言ったら、先輩は「またまたぁ～　そんなこと言ってグーグー寝るくせにぃ～！」と言いながら笑っていた。ということで、今朝は寝不足…　ではなく、先輩の言う通りグーグーと８時間も寝てしまった（しかもアラームに起こされた！）。もしも、その先輩が少しでも嫌そうな表情を見せていたら、こんなに熟睡できなかったに違いない。本当に…　今の職場はみんないい人で、私にとって天国である。特に、冗談が通じる先輩は…　漫才コンビでも組めそうな感じである。なんちゃって～