夕方、ある交差点で信号待ちをしていたら、一人のお婆さんが車内通路を歩いて来た。私は「カードの購入か、目的地に関する質問か…」と思っていた。
ところがお婆さんは「これ… 一つ食べてぇ」と言いながら、白い紙袋に入った大判焼を差し出した。そして「あんことクリームだけど、どっちがいい?」と言いながら、クリームの方をグイッと袋から押し出そうとした。
私が「ありがとうございます」と言いながらクリームの大判焼を手に取ると、お婆さんは「いっちゃって!」と言ったような… 少なくとも私にはそう聞こえた。
もうすぐ信号は変わりそうだったし、もしも一口でいっちゃったら、しばらくは何も喋れなくなってしまうし… 私は「あとでいただきます」と言いながら、「これをどこに置いておこう?」と考えていた。
すると、お婆さんが察してくれて「私は(次のバス停から)家が近いで、この袋に入れて…」と言いながら、あんこの大判焼を袋から取り出して、袋を私に手渡してくれた。
その時はホカホカだった大判焼も、その後の私に休憩時間がなく、約2時間後に有り難くいただいた時にはすっかり冷めていた… でも美味しかったです。