グローバル・タックス研究会 ~Study Group On Global Tax~

貧困のない、公正かつ持続可能なグローバリゼーションのための「グローバル・タックス」を提言する、市民研究グループです。

【日経新聞】国際金融取引に課税 容認 IMF報告へ

2010-03-20 | ニューススクラップ
                 ワシントンD.C.のIMF本部(Wikipediaより)

3月19日付日本経済新聞は「国際金融取引に課税 容認 IMF報告へ…」と題した記事を掲載しました。「国際通貨基金(IMF)が4月にまとめる金融規制改革に関する報告書で、国際的な金融取引や資産規模などに応じた特別課税を幅広く認める方向となった。巨額の国民負担を回避し、金融危機の破綻処理費を当事者である銀行などから確実に徴収する狙いがある。欧州を中心に導入に向けた動きが強まるのは確実(だが)…(各国の)調整は難航も予想される」と伝えています。

ご承知のように、この4月にまとめるIMF報告書とは、昨年9月のG20サミットで首脳から「金融システム修復のための金融業界自らのコスト負担する方法(選択肢)」について検討するようIMFが求められていたものです(注)。当初、IMFは金融取引税は選択肢に入れないと主張していましたが、欧州主要国やNGOの圧力などがあって金融取引税を含むようです。

新聞記事は、続けて「報告書では金融活動を過度の阻害しないことを原則としつつ、徴収方法の選択肢を示す。…柱の一つは銀行、証券、保険会社などの国際的な金融取引に薄く広く課税する金融取引税(トービン税)の創設だ」「…(だが)導入は時期尚早との反論も多い」と記しています。

また、徴収した資金用途につき「…金融の健全化だけでなく、環境保護目的や一般財源化に回す案も列挙する。徴収方法と使途の組み合わせは、各国の判断にゆだねる方針だ」とも記しています。

しかしながら、このスキームの主たる目的は金融の健全化(金融セクター修復)にありますから、その他の使途は付随的なものになると思われます。そしてその主目的も、実におかしな話です。つまり今次の金融システム危機は金融セクターのみならず、世界の産業、雇用、生活に多大な負の影響を及ぼしたのですから。

とりわけ貧しい国にとって深刻です(そのため絶対的貧困や飢餓が増大している)。従って、金融取引税は、「(金融)システムの機能を損なうような取引を控えさせ、世界的危機が貧しい国に与えた打撃に対して償う資金源とすべき」(ジョセフ・スティグリッツ教授)だと考えます。

とはいえ、IMFが金融取引税を打ち出すことになれば、その導入に向けての議論を早めることは間違いないでしょう。世界の貧困・開発や気候変動対策という国際公共財創出の立場から、そして投機マネーの規制という立場から、IMF-G20(各国)に迫っていくことが求められています。

(注)首脳声明の本文より:
「16.我々は、IMFに対して、金融セクターが銀行システムの修復のための政府の介入に関係するいかなる負担に対し公平かつ実質的な貢献をどのようになし得るかについての各国がとってきた又はとることを検討している一連の選択肢に関し、我々の次回会合のために、報告書を準備するよう指示する。」

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