もう十年もすりゃ
向こうが勝ってに 迎えにくるだろう
それまで、生きてるために 生きるだけさ
詩人のような口調になるのは、男が”歌唄い”だからだった。
男は歌を唄うが、プロでもなければ、アマチュアでもなかった。
だから、”歌唄い”だった。
歌唄いは、氷だけのグラスを覗き込み、もう一度飲み干した。
歌唄いは、いつもお金がなかった。
いつも他人の懐を当てにして生きていた。
それが上手だった。
結婚式やパーティーやらのちょっとした集まりに重宝がられた。
それなりの歌を、それなりの場面に、いくつも用意していた。
それでも、表舞台からお声がかかることは、終ぞなかった。
歌唄いは、地方によくでかけた。
歌を唄うために。
売れない演歌歌手みたいに、地方の小さな町から大きな街まで、歌える場所ならどこへでも行った。
地方では、娯楽が少ない分、歌唄いを大歓迎した。
都会の冷めた客より、暖かく心から迎えてくれた。
時には、熱狂的なファンに言い寄られ恋仲になったこともあった。
歌唄いは、すべての出来事を、すべての出来事のように、歌にして唄った。
誰かが耳元で囁くような、甘く切ないバラードが得意だった。
そして、タイミングを見つけると、激しいビートに置き換えるのが大得意だった。
やがて‥夏が行き秋が過ぎると、木枯らしが吹いてきた。
向こうが勝ってに 迎えにくるだろう
それまで、生きてるために 生きるだけさ
詩人のような口調になるのは、男が”歌唄い”だからだった。
男は歌を唄うが、プロでもなければ、アマチュアでもなかった。
だから、”歌唄い”だった。
歌唄いは、氷だけのグラスを覗き込み、もう一度飲み干した。
歌唄いは、いつもお金がなかった。
いつも他人の懐を当てにして生きていた。
それが上手だった。
結婚式やパーティーやらのちょっとした集まりに重宝がられた。
それなりの歌を、それなりの場面に、いくつも用意していた。
それでも、表舞台からお声がかかることは、終ぞなかった。
歌唄いは、地方によくでかけた。
歌を唄うために。
売れない演歌歌手みたいに、地方の小さな町から大きな街まで、歌える場所ならどこへでも行った。
地方では、娯楽が少ない分、歌唄いを大歓迎した。
都会の冷めた客より、暖かく心から迎えてくれた。
時には、熱狂的なファンに言い寄られ恋仲になったこともあった。
歌唄いは、すべての出来事を、すべての出来事のように、歌にして唄った。
誰かが耳元で囁くような、甘く切ないバラードが得意だった。
そして、タイミングを見つけると、激しいビートに置き換えるのが大得意だった。
やがて‥夏が行き秋が過ぎると、木枯らしが吹いてきた。
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