君を思い出すと、瞬時に思い出されるのは君の涙。
君はよく泣いた。たいていは彼、あたしと君の共通の友人。
「どうして好きなのに、伝えられないの?」
「どうしてほかのこにはやさしいのにあたしにはつっけんどんなの?」
そんなくだらないねたで君はよく泣いた。
なんで涙が思い出されるか、っていうと、君の涙はいつも桜色だったから。
比喩なんかじゃない。ほんとうの話。
君のまるまっちい大きな目からひとつ、またひとつと流れる涙は確かに桜色だった。その証拠に、ティッシュで涙をふくと、ほんのりとピンク色の、それはもう桜色としか言いようのないほどの、美しいしみがついた。
はじめてみたときは驚いた。
「ねえ、桜色だよ?」
あたしが尋ねると、君は当然、とでも言うように、
「あなたはちがうの?」
とたずね返した。
あたしはもう君にはずいぶんあってないね。
ことしも桜は散ってしまった。君の涙が落ちるように。
でも来年も咲くだろうし、あたしは君を思い出す。
それだけで、いいんだ。
君はよく泣いた。たいていは彼、あたしと君の共通の友人。
「どうして好きなのに、伝えられないの?」
「どうしてほかのこにはやさしいのにあたしにはつっけんどんなの?」
そんなくだらないねたで君はよく泣いた。
なんで涙が思い出されるか、っていうと、君の涙はいつも桜色だったから。
比喩なんかじゃない。ほんとうの話。
君のまるまっちい大きな目からひとつ、またひとつと流れる涙は確かに桜色だった。その証拠に、ティッシュで涙をふくと、ほんのりとピンク色の、それはもう桜色としか言いようのないほどの、美しいしみがついた。
はじめてみたときは驚いた。
「ねえ、桜色だよ?」
あたしが尋ねると、君は当然、とでも言うように、
「あなたはちがうの?」
とたずね返した。
あたしはもう君にはずいぶんあってないね。
ことしも桜は散ってしまった。君の涙が落ちるように。
でも来年も咲くだろうし、あたしは君を思い出す。
それだけで、いいんだ。