感染症内科への道標

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麻疹ガイドライン

2011-12-08 | 微生物:ウイルス その他
国立感染症研究所より医療機関での対応、届け出基準におけるガイドラインが2011年9月、通達

以下より無料ダウンロード可
http://idsc.nih.go.jp/disease/measles/04.html

医師による麻しん届出ガイドライン 第三版
医療機関での麻疹対応ガイドライン 第三版

2008 年1 月からは全数把握疾患となり、麻しん患者と診断した医師すべてに、届出基準に基づく1 例毎の届出が義務付けられている。

診断
(1)麻しん(検査診断例):発熱、発疹、カタル症状の3 つ全てを認め、かつ検査診断されている。
(2)麻しん(臨床診断例):発熱、発疹、カタル症状の3 つ全てを認める。
(3)修飾麻しん(検査診断例):発熱、発疹、カタル症状のどれかを認め、かつ検査診断されている。

・届出基準未満(あるいは未満の段階)の症例を診療された場合には、地域の発生状況や集団発生の危険性に加えて迅速な防疫対策の重要性などから、必要に応じて保健所に連絡し、積極的に検査診断することも考慮。

・診断後24 時間以内に、管轄(最寄り)の保健所へ届け出る。麻しんを含む五類全数把握疾患は診断後7 日以内に届け出ることとされているが、麻しんは、迅速な行政対応の必要性から、特別に、より早期の届出が求められている。

・検査診断を実施されていない臨床診断例も届出の対象ですが、可能な限り、検査診断を行います。検査としては、① 地方衛生研究所で、PCR 検査・ウイルス分離検査 ②医療機関で、血清IgM抗体検査を実施。

予防
平常時の対応
 職員・実習生の麻疹罹患歴および麻疹含有ワクチン接種歴を確認する
 職員・実習生は麻疹予防の観点から、2 回の麻疹含有ワクチン接種歴を原則とする
 職員・実習生の麻疹抗体価を測定し、陰性あるいは不十分なものを把握する
 必要な者に麻疹含有ワクチン(現時点では、麻疹風疹混合ワクチンあるいは麻疹単抗原ワクチン)の接種を推奨する

院内で麻疹(疑いを含む)患者発生時の対応
 患者(疑いを含む)を隔離体制とする
 患者(疑いを含む)が職員・実習生の場合は、速やかに勤務(実習)中止とする
 院内での調査を開始し、麻疹ウイルスに曝露され、感染・発症する可能性のある患者(外来、入院を含む)および付き添い者、職員、実習生に対して発症予防策を迅速に検討する
 麻疹と臨床診断した場合は、速やかに保健所に届け出を行うと共に、保健所を通して地方衛生研究所に臨床検体(EDTA 血、咽頭ぬぐい液、尿の3 点セット:自治体毎に指定あり)を搬送する。

外来での対応
 麻疹の疑いのある患者は速やかに別室へ誘導・隔離する
 麻疹抗体価陽性または麻疹罹患歴が確実な職員、実習生が患者の対応にあたる
 患者に対応する職員、実習生は必要な感染防御策を行う(特に麻疹抗体価や罹患歴不明の者が対応する場合)

麻疹含有ワクチンの緊急接種にあたっては、接種不適当者*(免疫不全者、妊婦等)に
接種することがないよう、十分な配慮を行い、予診(任意接種麻疹ワクチン・麻疹風疹混
合ワクチン予診票:参考資料参照)、診察の上、接種が可能と判断したものに対して、接
種を実施する。
女性の場合、接種後 2 ヶ月間は妊娠を避けるよう説明を行う

麻疹に対する抗体陰性または抗体価が低いと判断された場合であっても、医学的理
由等で接種を受けることができない者や、接種を受けることを希望しない者等に対して
は、健康記録に留めておき、院内での麻疹患者発生時や地域内の流行時には、麻疹
患者の医療・実習に従事しないこととし、麻疹に罹患しないよう十分に配慮する。感
染・発症は本人にとって、また周辺への感染拡大という意味で危険性のあることにつ
いてあらかじめ伝えておく。必要があれば業務の見直しや、場合によっては出勤・実
習を控える等の措置が必要となることもある。

麻疹に対する免疫の有無を確認するための抗体価測定方法
 測定に CF 法は使用しない。
 酵素抗体法(EIA 法)またはゼラチン粒子凝集法(PA 法)を用いる

予防策を講じた場合においても、麻疹の発症を予防できる可能性は100%ではない。
 潜伏期間が延長して発症する場合、軽症で発症する場合、典型例として発
症する場合等、様々な結果が予想される。
 曝露から5日~3 週間(免疫グロブリン製剤を投与した場合は4 週間)までの
間は、麻疹感受性者との接触がない勤務体制に変更する必要がある。


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