喜劇 眼の前旅館

短歌のブログ

煮えたコーヒー親指で舐めながらおまえ

2011-04-13 | 我妻俊樹全短歌
煮えたコーヒー親指で舐めながらおまえまぐれに素晴しい晩年になる  我妻俊樹


最近、といってもここ二年くらいにはなるけど、定型にきっちり収めると(たとえ句跨がりなどあっても)言葉が定型に負けるというか、負けることで結局短歌がそこにあることが見えなくなってしまう、定型ごと埋もれてしまうという感覚がもともとあったとは思うけど、なんとなく強くなってる。例外はもちろんあるけど無視して話を進めると、これはいちおう口語短歌の問題であって、口語は句ごとにエッジが立たないからなんとなく一行の詩というだけに見え、すると31音では微妙に字数も足りなく感じる、ということかと思う。つまり句にあたる単位にエッジをきかせるには五音や七音では足りず、意味的にも31音からこぼれようとする場合、全体に88888をいちおうの上限とする40音マックスを意識した形になるとそれはそれで単調で、いろいろ足したり引いたりまたがったりで崩していってひとつのかたちに収まる、ということを潜在的にやっていきなり即詠で変な形が出てくる、ということがあってそれを私は最近よいこととして受け入れている、ということかもしれない。あえてまったく整理せずに書いてみたが。
この歌はけっこう気に入っている。即詠とはまず作者がいきなり語りかけられる言葉であるように思う。
題詠blog2010、お題「まぐれ」。

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