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喜劇 眼の前旅館

短歌のブログ

水族館だった建物 あらそって

2010-04-25 | 我妻俊樹全短歌
水族館だった建物 あらそって二階をめざすけむりのように  我妻俊樹


自分の歌とはいえ、書くことはそうないわけです。自分の歌だから書くことがない、というわけではありません。語るべきことは作品にすべて語らせているから何も付け加えることがないです、というタイプの作者では私はたぶんないので、自分の歌もどちらかというと外側から見ている。つまり作品が自分の分身という感じは薄く、いろいろと訳知りの読者といった程度の位置から眺めているのだと思います。
ただ、作者の知っている「訳」などつまらないものだと思う。掲出歌を見ると、そうそう私は建物のことを歌にするのが好きだよね、とか、「けむりのように」っていう直喩は暗に馬鹿ってことをほのめかしてるんだったな。といったことを思い出したり、この年(掲出歌を含む連作は2004年の歌葉候補)あたりが初期の作風のピークだったんじゃないかな、と個人史的な感慨にふけったりするわけですが、こうした頭に浮かぶ諸々は全部で何首かよくわからない、ほとんどはまともに思い出せない自作のひとつひとつにくっきり別な言葉で割り振れるようなものではないわけです。おそらく何十首もの歌から似たようなことしか思い出せない。それは私の記憶力の悪さもあるけど、たぶんそもそも似たようなことしか考えてない頭から出てきたものが、その時ごとの外部の偶然によって違う形に定着しているのが私の短歌なのだと考えられます。
連作「インフェル野」より。

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