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Mikuのブログ

僕はまだ生きている!─脳死判定

2017-03-27 14:24:57 | 脳死・臓器移植・医療

この記事は2006年フジテレビ、アンビリーバボーで放映された内容をWeb上に公開されていたものです。現在は公開期間終了のため消去されています。 http://www.fujitv.co.jp/unb/contents/505/p505_1.html

 



2007年11月19日、アメリカ、オクラホマシティ。この日、一人の青年がバイク事故により、死亡宣告を受けた。彼の脳は取り返しのつかない損傷を負っていた。
 だがこの時、恐ろしい事態が起きていた!

「ちょっと待って!僕はまだ死んでない!」なんと、彼はまだ生きていたのだ!

 そして生きているにもかかわらず・・・臓器移植まで行なわれようとしていたのだ!!刻々と迫る、本当の死へのタイムリミット。一体なぜこんなことが起こってしまったのか?そして、生きているはずの彼に待つ衝撃の運命とは?

ザック・ダンラップさん1986年10月1日生まれ。ザックは生後15日で、消防士のダッグ・ダンラップと教師をしている妻、パムのもとへ養子として迎えられた。ザックは綺麗な青い瞳がとても印象的な子供だった。
 しかし、成長するにつれて、思いがけない試練が訪れる。重度の難読症でがあることが判明したのだ。それでも、母・パムが毎日文字を教え、ザック本人が必死に努力した結果、無事に高校を卒業することができた。
 そして、念願だった運転免許を取った時に、ザックはあることを心に誓っていた。それから休日は4輪バイクに夢中になった。

 そんなある日のこと、運転操作を誤ったザックは、身体を投げ出され、硬いアスファルトの上に頭から激突し、大量の血が流れ出していた!!

連絡を受けたパム達ははすぐに病院に駆けつけたが、状況は最悪だった。ザックは、脳の一部が耳から出て来ている状態だったのだ!!
 この病院では、充分な対応が出来ないため、ザックは50キロ離れた大病院へ、ヘリで緊急搬送された。しかし、その病院に運ばれたところで、助かる見込みはほとんどなかった。脈拍は40を切り、痛みへの刺激に対しても反応はない。自立呼吸も出来ず、瞳孔の反応も失われていた。
 だが、絶望感が漂っていた集中治療室で信じられないことが起こっていた。なんと・・・脳に深刻なダメージを負い、生体反応も失われていたのにも関わらず、ザックには意識があったのだ!!
 やがてザックも自分の置かれている状況を理解し始めた。だが、意思表示をしようとしても、全く体の自由がきかなかった。両親や医師の会話は聞こえるのだが、それに応えることができない。そう、覚醒しているのは意識だけ。

そして、さらなる衝撃の事実が発覚する!!ザックの脳を写した画像は深刻な状況を表していた。血流や代謝を測定するPET検査で脳の部分が真っ黒になっていた。
 脳内に全く血液が流れておらず、自発呼吸はなく、刺激に対する反応もない・・・全ての結果が脳死の基準に達していたのだ。

脳死とは、心肺機能に致命的な損傷はないが、脳の活動が回復不可能な段階までに低下してしまった状態のことである。その判定基準は国や地域により異なるが、この病院では昏睡状態であることを前提に、自発呼吸の消失、心拍数の低下、痛みへの無反応、対光反射や角膜反射などの脳幹反射の消失、さらに脳のPET画像で脳内の血流が完全に停止していることを確認。これら全ての結果を総合し、脳死状態であると判定されたのだ。

 ちなみに、判定基準の厳しい日本では、判定の経験がある2名以上の医師で行うことが義務付けられており、昏睡状態、瞳孔固定(両側直径4mm以上)、脳幹反射の消失(刺激などの反応)、平坦脳波(刺激を与えても30分以上平坦)の、4つの条件を満たしたあと、自発呼吸の消失を確認、さらに6時間後にもう一度同じ確認を行ない、同じ所見であると認められた場合のみ、脳死と判定される。

 意識があるにも関わらず、脳死と判定されてしまったザック、そこに問題はなかったのだろうか?日本の脳神経外科に状態を確認してもらった。

工藤 千秋医師「やはりアメリカの脳死の判定基準をしっかり満たしていらしゃった症例、つまり残念ですけれども脳死の状態にいた方ではないかと想像致します」

脳死状態にありながら、意識を回復したザック。

皮肉なことに彼の善意がとんでもない事態を招いてしまう。実はザックは、運転免許を取ったときにドナー登録をしていた。

ザックは、脳死状態に陥ったときに臓器を提供すると意思表示していたのだ!!

ザック「俺はまだ生きてる!!死んでない!!」

だが、その声は届くことはなく、臓器提供の準備が着々と進められていった・・。
 移植ついて説明する医師にパムは一つだけ条件をつけた。

パム「ザックの美しい目だけは、どうしても決心がつきませんでした」そして、瞳は移植リストからはずされた。


 ほどなく、2度目の脳死判定が行なわれた。 PET検査や各種の反応にも、なぜか変化は見られなかった。そして、11月19日、11時10分。事故から40時間後、ザックの死亡が告げられた。

 今後12時間以内に、ザック君の臓器摘出手術が行なわれることになった。新たに刻まれ始めた、本当の死へのカウントダウン。

果して声にならないザックの叫びは、家族に届くのか?臓器摘出まであと12時間!!

両親の呼びかけに、まず最初に到着したのは・・・親友のコルトンだった。さらに、ザックの妹キャシーや祖母のナオミも最後の別れを告げに、病院にやってきた・・・。

そしてついに両親にも別れの時が訪れる・・・。

声にならない叫びでザックが命の危機を訴えているころ・・・臓器移植のコーディネーターが病院へと到着。

 一方その頃、従兄弟夫婦のダンとクリスティもザックのともとへやって来た。看護士である二人は、職業経験から、各種の検査結果が脳死状態を裏付けていることを確認した。

だが、二人はザックは生きているという奇妙な感覚に捕われていた。

 ダンは確かめずにはいられなかった。ダンはナイフを手に持ち、ザックの足の裏に振り下ろした。


ダン「医療の神経の反応を見るために足の裏を刺激する検査が行なわれます。通常はペンを使いますが、ポケットナイフで代用したのです。」

その時、何とザックは刺激に反応したのだ!!

看護士「心臓が完全に止まってしまった遺体でも萎縮していた筋肉が伸び稀にそういう反射を起こすケースもあります」
ダン「確かに脳死した患者でも条件反射を示すことがあります。そこで私はもう一度、違う箇所に刺激を与えることにしたんです」


 ダンはザックの手を取ると・・自分の爪を、ザックの爪の間に思いっきりねじ込んだ!!すると!!痛みに反応したザックは腕を引っ込めたのだ!!

その頃パム達は、移植コーディネータから今後の流れについて、説明を受けていた。そこへ看護士から報告が医師に入り、移植は急遽中止された!!

それは、移植チームが到着するわずか前の出来事だった・・・。

 すぐさま主治医は、ザックの身体を再検査した。彼の反応が、本当に意図的な運動であるのかどうか・・・。

そして、ザックの反応が決して反射的な痙攣などではないことを確認したのだ!!

つまり・・・ザックの脳は死んでいない、彼はまだ生きている!!

 それは、移植チームが到着寸前、まさに間一髪だった!!だが一旦、脳死状態になったザックが、目を覚ますかどうかは、彼の生命力にかかっていた。

そして、生体反応から5日後、奇跡が起こった!!なんとザックが目を覚ましたのである!!

確かに彼は、生き返ったのだ!!

さらにその驚異的な回復ぶりは、病院の医師全員を驚かせた。まさに死の淵から奇跡の生還を果たしたザック。
 しかし、一度脳死と判定された患者が、本当に生き返ることがあるのだろうか?


医師・レオ「脳死と判定する確認も正確に行ない、ミスなどあり得ませんでした。なぜこうなったのか、わかりません。」
パム「医師たちは慎重に正規の手順を踏んでいました。診断は正しく、ミスもなかったと思います。ですからこれは、奇跡なんです!」


 一方、脳の血流停止を疑問視する医師もいる。神経内科医・米山公啓医師によると、血流が完全に停止していて、数十時間後に復活するというのはあり得ないという。故に米山医師は、微量の血流があった可能性を指摘し、大胆な仮説を提示する。


米山医師「ある程度流れた状態で、回復してきたということは、私達が思っている以上に脳は回復力があるんだと。神経学では分からない未知の脳の再生力があるような気がします」

医学の常識では説明がつかないザックの生還。しかし、奇跡はそれだけではなかった。


ザック「記憶障害があるのでもう忘れてしまった事も多いですが皆がすでに僕がこの世を去っている最後の別れを告げるのを耳にしました。そして医者が、僕の死亡宣告をしたのも覚えています。今覚えているのはそこまでです。」

そして、なんと!ザックは死亡宣告された時間を知っていたのだ。
 

 死亡宣告の時刻を覚えていたことは、ザックの意識が戻っていた証拠と成り得る。かくして、病院に運ばれてからの出来事を覚えていたザックの証言は、関係者に大きな衝撃を与えた。

 果たして、脳死の状態でそんな事はあり得るのか?


 この疑問に対し、一人の医師が興味深い説を提案する。脳神経内科医・古川哲雄氏「脳幹の中に乗降性脳幹網様体というのがありますけども、その部分が残っているとやはり意識は残っていると思いますね。脳死の患者さんでも家族が面会に来ると、特にお母さんがくると涙を流すという例があるんですよね。表情が違うと言う。これ実際に患者さんを見ている人はよく言われます。しかしこういった変化はつかむ事はできないわけですよね。脳幹の下の電気活動これはひろう事はできないわけですよ。だけど脳幹の一部は残っている、意識は残っていますからね」


ザックの生還を説明する答えは今も見つかっていない。それでもこの事件はアメリカの医学界にも大きな変化をもたらした。

州ごとにばらつきがあった脳死判定基準を統一し、さらに精度を高めるための改定が行なわれたのだ。
 一方、事故の後遺症が心配されたザックだが、事故前後の記憶障害と、わずかな運動障害が残っただけで、5週間後に転院。懸命なリハビリのおかげで、日常生活にはほぼ支障がないまでに回復していった。そして、リハビリから48日後、ザックは地元の人々の熱狂的な歓迎を受け、自宅に戻った。

 死亡宣告から3年。現在、ザックはどうしているのだろうか?自宅を訪ねてみると・・・なんと彼は一児のパパになっていた!!


 事故からおよそ2年後の2009年12月に結婚をし、昨年10月には愛娘のハーレーちゃんが誕生した。肩の痛みや聴力など、僅かな障害が残っているが、普段の生活に支障がないところまで回復した。
 そんな彼には今でも大切しているお守りがある。それは、ダンが自分の反応を確かめるために使ったナイフ。

ザック「苦しくても、諦めない気持ちを忘れないよう、このナイフを持っています」


        http://www.fujitv.co.jp/unb/contents/505/p505_1.html

                     (フジテレビ。上URLは現在では消去されています)


─ ─ ─ ─ ─

精密に脳死判定検査を受けた患者が生還する。

ここで紹介された医師達は様々な医学的な見解をするも、はっきりとした原因はわからないまま。

はたして、脳神経外科という専門だからといって、脳死判定とは絶対のものなのだろうか?

脳に様々な角度から検査をして反応が見られないからといって、イコール『死』とどうして断定できるのだろうか?

この宇宙開発もままならない地球上で

そんなに脳神経外科だけは先進しているといえるのか?古来より誰にもコントロールできなかった『死』をあっさりと決めてしまえるほどに。

どんなに脳死判定基準の精度を高めたところで、それは基準になどならない、なぜなら相手は『死』なのだから。

 

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