外出規制についての今後の方針
親愛なるフランス市民の皆様、本日、皆様に直接、語りたいと思ったのは、今後数週間、数ヵ月に渡る国の方針について、透明性をもって皆さんに説明したいと思ったからです。これからお話することは、これまで多くの検討を重ねてきた結果でもあります。
私は先ほど「希望が見えてきた」と言いましたが、まだ何も確実ではありません。
パリ周辺部などのフランス東部の医療機関は飽和状態です。フランス海外領土権の体制は予断を許さない状況で、感染対策が万全ではありません。
ですから、今後もこれまでに行ってきた努力を続ける必要があります。皆様が規則を遵守すればするほど、多くの命が救われることになります。そのため、現在の最も厳しい外出規制は5月11日月曜日まで継続します。感染拡大期間における、唯一、効果的な手段だからです。ウイルス感染の拡大をさらに緩め、集中治療室の病床を確保し、(疲労する)医療関係者たちを支えることに繋がるからです。
皆様が一市民として、それぞれの行動に責任を持ち、規制を遵守し、ウイルス感染の十分な減少があった場合には、5月11日にこの外出規制が緩和される可能性がみえてきます。
今から4週間の間、政府が決めた規則は遵守されなければなりません。国民の皆様のご協力をお願いします。
この外出規制の成果が今、まさに表れてきつつあります。強める必要もなく、緩めることもできません。しかし、確実に遵守される必要があるのです。地方自治を行う皆さまに、この規制がどこも平等に実施されるようにご協力をお願いします。
必要な地域においては外出の完全禁止令が出されましたが(※注釈:地域によっては、夕刻、一定時刻以降の完全外出禁止令が出ています。)日中の外出完全禁止を追加してはなりません。
日常生活においては、これまでと同じように外出時に人との距離を1メートル以上とること、手洗いをするなどの感染予防行動を守ってください。
また、私たちを命の危険にさらすのはコロナだけではありません。過剰な孤独感やコロナ以外の疾患の治療放棄などは、健康に害となりますから、コロナ以外の慢性病や他の疾患症状に苦しんでいる方々は医師へかかるようにしてください。
できれば、病院や老人ホームなどにおいて、患者の最期を親しい人々が看取ることができるような安全体制を整えることをお願いしたいと思います。
経済支援について
外出規制の期間中もフランスの経済活動は続けられます。
一部の活動については、健康を維持するための措置がとれないために禁止となりますが、その他の分野の経済活動については、雇用者や会社の安全が守られる限り、生産的な活動が行えるようにしていかなければなりません。
この期間中、一時解雇になっているサラリーマンの給与や会社への資金援助は続行され、さらに強化されます。800万のサラリーマン及び会社がこの支援対象に入ります。
例え、この期間の援助を受けられたとしても、収益がないのに経費や家賃やローンなどの支払い負担だけが重なり、今後に大きな不安を抱えている職人や商店、フリーランス、個人事業主の方々のことを私も理解しています。将来を不安視する声や報道などを聞いたり読んだりしています。こうしたことを受け、彼らへの支援策を大幅に強化し、よりシンプルな手続きで支援が受けられる体制を整えるように政府に要請しました。
銀行融資に関しては、返済期限の延長を大々的に行うこと、保険の支払いについても同様の措置をとること、銀行や保険業者が取り組む対応策について、大統領として今後、その動向を注意深く見守っていきたいと思います。
明日から、これら国民の経済基盤を固めるための措置をそれぞれの業界で考えるように求めます。
特に、観光業やホテル、飲食業、文化産業、イベント業など長期に渡って影響を受ける産業については、経費の支払い免除や特別補償など、早急に特別措置をとっていきます。
困難が強いられる状況に陥っている低所得層のいる地方自治体には、政府への働きかけを要請するようにお願いしています。
また、貧困層の子育て世帯の生活を今よりさらに保障できるように、無期限の特別支援を行うように各自治体へお願いしたところです。
また特に海外にいる家族から離れ、不安定な生活状況を強いられている学生たちにも支援を行います。
今週の水曜日から、各省庁が政府の新たな経済支援について決定していきます。
学校の開校について
親愛なるフランス市民の皆様、5月11日より新たな段階へ進みますが、それは、実際のコロナ感染予防対策の具体的な成果によって、段階的な規制緩和となることが考えられます。すぐに規制の完全撤廃とならないのは、 フランス市民全体の健康を守ることが我々の目指しているところだからです。
5月11日より、段階的に保育園、幼稚園、小・中学校、高校を開校していきます。
学校の開校は私にとって優先事項の一つでもあります。
貧困地域や田舎など、インターネットやデジタル環境に恵まれず、さらに学校へ行く権利を奪われ、親から受けられる支援の不平等の影響を受けている子どもたちが余りにもたくさんいます。
この期間、住環境の不平等さ、家庭状況の不平等さが子どもたちに大きな影響を及ぼしています。だからこそ、フランスの子どもたちが皆、学校へ行けるようにしなければならないのです。
政府としては、学校でそれぞれが十分な距離がとれるような空間確保や、教師及び子どもたちの健康を守るための必要物資の支給など、コロナ対策のための特別な措置や学校規則について話し合っていきます。
大学や専門学校などの高等教育については、夏まで講義の再開はありません(※注釈:通信教育は除く)。特に資格取得試験や選抜試験などについて、どのように実施していくかは、追って政府から詳しい説明があります。
仕事の再開について
5月11日を境に、多くの分野で仕事が再開されることになりますが、政府としては、早急に公共機関との連携の仕方や雇用者の健康を守る措置などについて方針を固めていきたいと思います。これも優先事項の一つです。
大衆が出入りする産業、飲食業、ホテル、映画館、舞台、美術館などにおいては、5月11日の時点では再開させません。大きなイベントやお祭りなど、大人数が集まるようなものについては、少なくとも7月中旬までは中止となります。5月中旬以降の事態の推移を毎週、検討しながら、今後の見通しについて順次発表していくこととします。
高齢者の外出と感染テストについて
コロナ感染による重症化リスクを抱える方々(高齢者、重症のハンディキャップをお持ちの方々、慢性病をお持ちの方々)においては、皆さまの健康を守るために、5月11日以降も、最初のうちは、これまでと同様に外出を制限するようにお願いします。
こうした措置がとてもしんどい生活になることは承知していますが、本日から5月11日に至るまでには、こうした皆様におかれましても生活の質が改善されるような対策について考えていきます。しかしながら、皆さまご自身を守るために、努力をお願いしたいのです。
コロナ感染テストを広く行うことは、外出規制を然るべき段階で解除していく助けとなり、5月11日以降の段階的な規制緩和をうまく進めるための適切な指標となります。
15日(2週間)前から行われてきたように、今後も数週間かけて、コロナ感染テストの実施数を日ごとに引き上げていきます。
今後数週間の間、高齢者や医療関係者、健康に不安がある方々を中心にテストを行っていきます。公立、民間、すべての医療検査機関においてコロナ感染テストができるような体制を整えていきます。
5月11日には、コロナ感染症状が疑われる方々すべてにテストができる体制を整えます。もちろん、すべてのフランス人にテストを受けてもらう必要はなく、感染症状が出ている方のみにテストを行い、テストで陽性が出た方については然るべき医療措置をとります。
皆さんも聞いたことがあるかもしれませんが、コロナ外出規制緩和政策がスムーズに行われるために、ヨーロッパ各国の機関と連携しながら、匿名のボランティアによって、どこで感染者との接触が起こるたかなどを抽出できるデジタルアプリなどの開発を進めていきます。
どんなに革新的な可能性についても、政府として無視することはできません。国会が論議をすすめ、5月11日までに明確なことがいえるようになることを望みます。
この感染症によって、我々の民主主義や自由が部分的にでも侵されることがあってはならないからです。
(続く)