忘憂之物

男はいかに丸くとも、角を持たねばならぬ
             渋沢栄一

バスタオルマニアからの「サナエタオル」論評

2021年09月20日 | 忘憂之物

まだ民主党議員だったころの長尾敬議員の事務所に行った際、缶コーヒー飲みながら東京裁判やら南京大虐殺などについて話をしたことがある。

小一時間ほども過ぎ、そろそろ、と席を立ったころ、同席していた当時の部下の女性社員が「どっちも何の話してるのか、さっぱりわからなかった」と少し恥じていた。長尾議員は「仕方ないですよ、ボクらはオタクなんです」と笑っていた。

たしかに学校の勉強だけでは知らないことだらけだったと思う。たしかに仕方ない、と納得しながらも、おまえは勉強不足なのだ、と形だけ叱責しておいた。

これはいまでも思う。政治経済、国際情勢に興味があるのは日本国民全体の2割ほどと言われる。たぶん、これくらいでいい。ましてや歴史認識に至れば、これはもう「オタク」と呼ばれても仕方ない。類は友をなんとかで当時の私の周囲では珍しくはなかったが、それでも一般的に「好きだから」「趣味だから」という理由で日本の近代史や歴史関連の書籍で本棚を何個も使わない。

これも昔から言っていることだが、日本社会、普通に生きているだけで結構忙しい。とてもありがたいことだが、とくに興味もなければ本を読んだり、講演会に行ったり、勉強会に参加したりしない。それよりもしっかりと働いて税金を納めて子供を育てる。生活の安定を維持し、人様に迷惑をかけず、出来ればなにかのお役にでも立ちながら生きて死にたいと思っている。日本の労働人口の過半以上がこうだと思う。そんなヒマはないのだ。

それに楽しいことはたくさんある。日本共産党の悪口を書くより、妻と旅行したり外食したり買い物したり、ペットを愛でているほうが健全、且つ、幸せではある。蓮舫のツイッター見て腹立てるより、友人と馬鹿話をして酒を飲むほうが意義もある。

自粛とか言われても漫画の大人買いをして過ごしたり、朝から晩までアマゾンプライムで映画三昧も贅沢だ。腹が減ったら動画を見ながら妥協して料理をつくり、これを肴にまた飲るのも至福のひとときと言って差し支えない。自粛生活なんぞ怖くもない。ずっとは勘弁だが、ひと月くらい休暇だと思えば罪悪感もない。このようなだって仕方ない、がおよそ6割か。残りの半分は無関係、どーでもいいと思っているし、もう半分は怒っていたり、案じたりしている。

「2.6.2」の法則だが、世界を見てみると、連日、万人単位で抗議デモなんかが増えている。普通に安定して生きていただけの6割の実生活に対する悪影響が大きくなり、見過ごせないレベルを問題視し、国や地方の行政に憤って行動し始める。ある意味必然だ。

最近、日本もこの割合が変動している。つまり、その他の4割があとの6割を喰う。喰われているのは、まあ、仕方がないじゃないか、と言って我慢してくれる層のことだ。ちゃんと現状を受け入れ、マスクしろと言われたら切らさないようにまとめ買いし、ワクチン打て、で予約もするし、ちゃんと「足跡シール」に並ぶ。偉い学者先生がテレビで「医療現場がひっ迫」とか言えば救急車すら躊躇う健気な一般国民だ。

もちろん、そうじゃない2割の中には文句を言うし、人のことなど歯牙にもかけず、助成金詐欺しか考えないのもいる。被災地で盗みをして恥じない倫理観が救えないように、一定数のゴミクズは存在する。

そして、このゴミクズではない残りの人ら、つまり、現状を憂い、将来を案じ、問題意識を共有する層は元来、政治家になったりもする。文句を言う、ではなく実行動でなんとかしようと人生をかけて命を燃やす。誰にでもやれるもんじゃない。言うまでもなく貴重な存在だし、お世辞抜きで尊敬に値する。だから人からは「先生」と呼ばれる。

それからべつに金にもならない。勤務実態のない公設秘書の給与、1840万円ほどを流用しておいて、バレそうになると口裏を合わせて堂々と国民に嘘を吐き、それもバレると「一種のワークシェア」と開き直り「へこたれへん」とか言えるくらい性根が腐った悪さをしなければ儲かるもんでもない。そもそも東京地検特捜部が逮捕に踏み切った理由が「国会答弁から証拠隠滅の可能性があった」と言われるレベルの事件を起こした人間が、未だに公党の副代表をやれる国が日本だ。日本の有権者の度量からすれば、頭のぶっ飛んだ女性都議が無免許人身事故でも辞めない、など悪戯レベル、微笑ましいものだ。

しかしながら、コロナのバカ騒ぎはもうすぐ2年。コロナバブルに沸く地上波のワイドショーも日本医師会もまだ浮かれているが、もう、そろそろ潮時かもしれない。最近見ないが「8割おじさん」が対策しないと日本国内で85万人が重篤化して42万人が死亡する、と脅かしていたのは昨年4月。コロナで42万人死ぬには単純にあと80年と少しかかるが、これも最初は笑えなかったものだ。多くのワイドショー好きは本当にビビったはずだ。

そしていま、本当に「有事」であることが認識されつつある。もちろん、武漢ウィルスは不気味だし、感染して苦しんでいる人も存在するし、なにより世間が「有事」に向かって突き進んでいる。だから普段、忙しさにかまけて監視を怠っていた「6割おじさん、おばさん」が意識を改め始めている。自民党総裁選でのネット世論が「高市圧勝」なのも頷けるところだ。いつもなら通じる偏向やら扇動も、ちゃんと顔を洗って目覚めた人らの大部分には通じない。

本来、政治家、それも総理大臣を担うレベルなら、この空気の変容に気づかねばならない。野党第一党の立憲民主党が支持を得られないのは、先ず、未だ、この期に及んでも、政権取ったらこれをやります、でモリカケサクラを掲げているからだ。しかも、わざとやってるからまったく笑えない。

しかし、立憲とか民進とか、いろいろあったが、いま思えばなにかと古い知り合いみたいなもんだ。つい情に絆されて心配になったから公式サイトを確認した。腐っても公党、党の基本政策には経済対策や安全保障の具体案が書いてあるに違いない。祈るような気持ちでpdfを開いてみると「国際協調と専守防衛を貫き、現実的な安全保障や外交政策を推進します」とか書いてある。

少々、不安感を覚えたが続けて読み進めると、ほとんどすべての項目における結論が「平和創造外交を展開します」「毅然と対応します」「適切に対応します」「基本方針を策定します」「必要な措置を講じます」。

まるでやる気のない市役所の窓口だ。とりあえず、こちらとしては昼休み過ぎてから出直すしかない。北朝鮮問題については「全力で取り組みます」。領土問題には「全力を注ぎます」。

実に爽やかである。夏の甲子園のように澄んだ青空が目に浮かぶ。

若干、具体的に書いてあるのは「沖縄の民意を尊重して、軟弱地盤などの課題が明らかになった辺野古移設工事は中止 し、沖縄の基地のあり方を見直して米国に再交渉を求めます」だ。他項目もこの程度なら書けたんじゃないのか、と思うが、こういうところから「政権取る気なんてない」という意思が明確に伝わる。枝野は「総裁選にかまけてコロナ対策をしていない」とか自民党に文句言いながら、昨日あたりは新潟の農園で「戸別保証制度を復活します」とかで梨を喰っていた。これはたしかに、総理を目指さなければ、こんなにきつい仕事なんかしない、と言うだけのことはある。残暑厳しい中、感染対策もしながら、まったくご苦労様である。

しかしまあ、立憲民主党はこれでいい。結党以来、支持率数%でなんら改善しようともしない。反省もない。総括もしない。分析もしない。共産党じゃあるまいし党内人事も触らない。若手議員も盆暗ばかりでいい。つまり、妙に支持率が上がっては困る。このまま万年の弱小ながら、野党第一党の位置さえキープできればいい。維新は気になるが、まだ大丈夫だ。それより政権運営なんて勘弁してください、やれるわけないじゃないですか、と照れている。一周回って実に愛らしく思えてきた。ファンになりそうだ。

冗談はともかく、世論の動きなど気にする必要もない立憲民主党などとは違い、本当ならもっと真剣に信念を語ってもらわねばならない人らがいま、本気の権力争いを繰り広げている。安住などが「自民党ばっかり」と拗ねるが、これはもう諦めてもらう他ない。キミらと違い、みんな真剣に、真面目にやっている。あとで構ってやるから、ちょっと待っていなさい、ということだ。

真剣勝負の場だからこそ、未だに世論の変化にも気づかず、平時と同じような対応で何とかなると思っている候補は炙り出される。立憲民主党などは次の総選挙、大地真央が代表に就任して「そこに愛はあるんか」と言ったほうが議席も増やしそうだが、総理総裁となる自民党総裁候補はそれでは許してもらえない。つまり、立憲民主党の政策集の如き適当では押し切れないのである。安全保障政策をみてみる。

敵基地攻撃能力、アメリカのミサイル網の配備について4者の意見が出ているが、良いか悪いか、賛成か反対かの前に、しっかりと結論付けているのは女性候補だけである。これが先ず、どうかと思う。いまは平時ではない、と国民の多くは感じている。だからこそ世を憂う2割以上の国民は注目もしているし、期待や不安の中、本気で見守っている。

無論、個人的には絶対に賛同しかねるが、野田聖子が「軍備の話からはじめるのは日本として考えられない」と言ってもいい。抑止力の前に情報収集だ、と不思議なことを言ってもいい。こちらはそんなの当たり前じゃないか、と判断できる。これはちょっと無理だな、と評価もできるが、しっかりと自分の信念、意見、考えを表明するという正々堂々は伝わる。とりあえずは意見の相違だとわかる。

岸田文雄は米ミサイル網配備について「具体的な提案を聞かないうちから賛成反対は控える」みたいなことだった。搭載能力、配置箇所がわからない、とのことだ。「岸田ノート」に書いてないらしいが、高市早苗は「中国全土の航空基地をカバーできる。むしろ積極的にお願いしたい」と言った。朝鮮労働党の党員手帳じゃないんだから、自慢げに帳面を手に持って写真を撮ってないで、ちゃんと調べて書いて考えてほしいものだ。知らないで済まないところにあんたらはいる。

しかしながら、河野太郎はさすが、ずば抜けていた。


「アメリカが引き金に指をかけてるミサイルを日本に置いたからといって日本の抑止力が高まるわけではない」


もう3回くらい読んでほしい。

なにがずば抜けているかわかってもらえるだろうか。これは―――




すなわち、日米安保の否定である。


言うまでもなく、在日米軍のすべての武器兵器は「アメリカが引き金に指をかけている」。この理屈なら、安全保障に基づく同盟関係など、すべからくその抑止効果に疑念が生じるではないか。

それなら日本が「引き金」を用意して「指をかける」ほかないのである。つまり、数十年前の反米左翼の論理と何ら変わらない。論理破綻というか、どこまでワンマンでワガママな3世なのか。今の立場を鑑みたとき、これはもう、自分が何を言っても大丈夫だと思わねば言えない。もしくは思考が間に合っていない。非常に危険である。

在日米軍の武器兵器、軍事力というものが日本の抑止力であることくらい、鳩山由紀夫でも学べば学ぶほどに気づいたことだ。鳩山由紀夫は当時、総理大臣だったから血の気が引いたわけだが、河野太郎も元防衛大臣である。そしてこれから総理総裁を目指し、しかもテレビメディアから絶賛応援中、中国共産党の一押しとのことで世論調査では常にトップだ。

血の気が引いて背筋が寒くなる。いまはもう、既に「高市が勝てばいいな」ではなく、頼むから勝ってくれ高市、と懇願する思いになっている有権者は少なくない。いまは自民党議員になって大活躍の長尾敬議員は高市陣営のメディア広報担当だ。私は高市氏の著作とサナエタオルを買うくらいしか役に立たんが、あと1週間と少し、獅子奮迅の活躍を切に願う。



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