哲学的な何か、あと心の病とか

『人生とは何か、考えるほどにわからない。というのは実は正確ではない。わからないということが、わかるのである。』池田晶子

アルコール依存症

2014年07月31日 | 哲学・心の病
日本の飲酒人口は6000万人と言われおり、このうちアルコール依存症の患者は230万人であると言われているが、アルコール依存症予備軍は800万人という報告がある。

また、飲酒運転で検挙された50%弱はアルコール依存症だという報告があり、三重県では飲酒運転で検挙された人に、精神科でアルコール依存症の診断を受けるよう指導している。

ある長距離トラックの運転手は仕事上、不定時間に睡眠をとらなければならなく寝酒を飲んでいたが、それを長年続けた結果アルコール依存症になり、飲酒運転で検挙されるなど社会生活に支障がでて、精神科で治療することになり今は断酒している。

アルコール依存症の人の脳の画像を見ると前頭葉の細胞が死滅して萎縮している。
前頭葉はアルコールを飲みたいという欲求を抑える働きがあるが、アルコール依存症のように前頭葉が萎縮しているとその欲求を抑えることができなくなる。

飲酒運転で悲惨な事故を起こしてからでは遅い。
下記の診断基準を参考にして、ご自身、または周辺に該当する人がいたならば、アルコール依存症に対応できる精神科へぜひ行ってほしい。


【アルコール依存症の診断基準】

WHOの診断基準「ICD‐10」では、アルコールやドラッグなどの「精神作用物質」の依存症候群について、次のような診断ガイドラインを定めています。
なお、ここではわかりやすいよう「物質」をアルコールに置きかえ、解説をつけました。

【診断ガイドライン】 

過去1年間のある期間に、次の項目のうち3つ以上がともに存在した場合に、依存の確定診断をくだします。

(a)アルコールを摂取したいという強い欲望あるいは強迫感。

解説:たとえば次のようなことです。終業前になると決まって飲みに行くことを考える。家には常に酒を用意しておかないと落ちつかない。他のことなら外出が面倒に感じる状況でも酒を入手するためなら積極的に出かける、など。これが高じれば、仕事が終わると帰宅まで待ちきれずに車中でも飲んだり、隠れてでも飲むようになります。

(b)アルコール使用の開始、終了、あるいは使用量に関して、摂取行動を統制することが困難。

解説:今日はやめておこうと思っても飲んでしまう。「一杯だけ」と決めて飲み始めたはずが、結局は自分の「定量」あるいは「あるだけ」飲んでしまう。翌日に酒臭が残るほど飲む。臓器障害を起こすまで飲む。医師から禁酒や節酒を指導されても守れない、などです。

(c)使用を中止もしくは減量したときの生理学的離脱状態。離脱症候群の出現や、離脱症状を軽減するか避ける意図でアルコール(もしくは近縁の物質)を使用することが証拠となる。

解説:離脱症状とは、アルコールによって脳の神経が抑制された状態が普通になってしまっているために、それが抜けていくときに生じるさまざまな神経の興奮状態のことです。イライラして落ちつかない、発汗や微熱、脈が速くなる、こむらがえり、不眠、手指の細かい震えなどがあります。依存が進行した状態では、全身の大きな震えや幻覚・妄想などを起こす場合があります。

(d)はじめはより少量で得られたアルコールの効果を得るために、使用量をふやさなければならないような耐性の証拠。

解説:つまり、かつてと同じ量では酔わなくなるということです。そのために、だんだんと飲酒量が増えていきます。耐性が生じていない人であればとても飲めないような量を飲む場合があります。

(e)アルコールのために、それにかわる楽しみや興味を次第に無視するようになり、アルコールを摂取せざるを得ない時間や、その効果からの回復に要する時間が延長する。

解説:たとえば次のようなことです。飲酒のために、家族で過ごす時間や会話が減る。外出といえば酒を飲むことばかりを優先する。飲んでいる時間が長くなり、他のことができなくなってくる(たとえば「仕事と酒だけの人生」といったように)。せっかくの休日には、二日酔いでごろごろ寝ているばかりになる、など。

(f)明らかに有害な結果が起きているにもかかわらず、いぜんとしてアルコールを使用する。

解説:有害な結果とは、アルコールに関連する身体の病気(肝臓病、高血圧、糖尿病、心臓病……)、うつ状態などの悪化、家庭内でのトラブル、飲酒によって周囲の信頼を失うこと、飲酒運転などの違法な行動、職場や学校でのトラブル(急な欠勤や遅刻、成績の低下やミス、人間関係の問題など)、経済的な問題、などです。