藁の楯

・・・というわけで、映画版の『藁の楯』を観てきました。
二条にあるTOHOシネマズ、ここに来たのは久しぶりです。
最近、京都駅のTジョイ、か新京極のMOVIXに行くことが続いていたので。

映画は原作同様、テンポもあるし迫力もすごい、どきどき感も半端ないんだけど、なぜ、犯人移送の警護役（SP）白岩を原作通り男性にせず、シングルマザー役に変えてまで、松嶋菜々子を起用したか？ってこと。

原作は警護役がみな男性で、5人の男性の個性もうまく書き分けられていて良かったのに。

それに、この原作本の中で、10億円の懸賞首にまったく心を動かされることなく、善意の人物として登場した女性タクシードライバーが、無残に殺されるところが、人間の屑と揶揄された犯人の残虐性、狂気を端的に示していてそのあまりの非道ぶりに胸くそ悪さが一層ましたのに。

唯一の女性登場で、しかも、なんの裏もないドライバーをあっさりと殺してしまう。。。
ここが小説ではクライマックスシーンだと思ったんだけどな。
いきなり最初からめっちゃ有能な女性SPの登場で、男くさい現場の雰囲気が削がれる。
しかも、ものすごく優秀というわりに映画の中では2回、初歩的なミスをおかし、2度目のミスでは殺されてしまうという、、、そんなに優秀でないじゃん、っていう印象が残ってしまう。

大沢たかおさんはさすが。
心に重い過去をもつSPを、きっちりと演じている。
なんか、、、前の、、、竹内結子さんとのストロベリーナイトの時も思ったんだけど、陰のある役っていいね。

それと、犯人役の藤原竜也くん。
この人は多分、オトコマエさんなんだろうと思うけれど、私の中ではちょっと童顔すぎていまいちピンとこない俳優さん。
でも、演技はうまいねぇ。
犯人だからフード付きのパーカーを着て、こっぽりと顔を覆っているんだけど、唇の端を上げるだけでなんとも憎々しい表情を見せたり、体中で狂気を表してみたり。

それにしても、途方もない大金は人を狂わせる。
いや、性悪説支持の私からすれば、かぶっていた猫がはがれて、下地を見せるには最もお手軽な道具なのか？
ずしーんと心に重い映画でした。

次回は『くちづけ』を観て大泣きしてこよう、って思ってます。