もう何年も音沙汰がなかったくせに。
いきなりの夕飯時の電話は大阪からのものだった。
電話を一度抜いた時に、電話帳までリセットされたのか、我が家の電話は番号こそ出るけれどそれが誰からのものかは分からなくなっていた。 受話器を取る前にどこかで見たことがあるけれど・・・・誰だったかしら??程度、そのぐらい疎遠。
忘れてた筈なのに。
無言で受話器に向かうと「もしもし○○です」と。
その○○は私の旧姓。 はい?? ○○?? えっ! 誰?? と感じるぐらいピンとこなかった。
兄嫁、義姉の声だと分かるまで数秒あったと思う。
「ああ、暫くです」と、、、固い声で応える。
実は・・・と言いかけておそらく隣に居ると思われる兄に私と繋がっている事を伝えたのだろう。
「○彦さんとかわりますから」
何年たっても兄の声は変わっていない。 うちの息子がどういうわけか、夫より叔父にあたる兄と声が似ているように感じるのは錯覚か、、、血か。
兄は、多分、、、とても冷静な時はこういう喋り方なんだろうなと思わせる穏やかで優しい声で、私に施設に預けている母が手術をすることになったと告げた。
胆石だそうな。
石ができるとだいたいのたうちまわるような痛みを伴うと言うが、母はそうではないらしい。 ただ、黄疸がひどいとか。
痛まないならほっとけば。。。黄疸がそんなにひどいのか?? いや、ほっといたらどうなるのか。。。
母は既に要介護5になり、認知症は進みに進んで、自分(兄)の事すらよく分かってないと言う。 「そのくせお前の事はよく喋ってるんだ」・・・・・
だから?? だからどうせいと?
明日の午後から手術なので自分はこれから実家に行ってそこで泊まり、明日の午前中に手術の同意書を書くから・・と。
父の死後、認知症を発症した母の処遇を巡って揉めにもめ、絶縁までしたというのに、初めて母を施設に連れていく前日、私に一緒に三重まで来てくれないかと言った兄は、おそらく明日も来て欲しいのだろうと思った。
思ったけれど、そんな内容の電話すら自分からかけられないで兄嫁に先ずかけさせるぐらい、さすがに私たちの間でどんな事が繰り返されたのか忘れたわけでもないのだろう。 だから、兄も来て欲しいと言うような事は言わないし、私も気づかないふりを通す。
もう、他人。
母の事はいつだって喉に刺さった魚の骨のように私の胸をチクチク痛ませるけれど、私はやっぱり自分の受けた傷を忘れられないし、許せない。
兄はおそらく、一番言いたい事を言わず、私も一番、言ってあげれば喜ぶような事を発せず、淡々と淡々と喋っていた。
もう歳だからな、、、何が起こるか分からないし。。
そうね、仕方ないでしょ。。
でも胆石なら外からの粉砕とかで、切らない方法もあるんでしょ。。
ああ、でもな動き回ってMRIにも入れないし、検査もなかなか大変だったみたいでな。。
そう。 認知症で要介護5でそろそろ83にもなろうってのに、今さら手術。。。
ああ。。。
ふぅん。 お任せすれば。。。
また、明日、術後にでも電話するわ。 お前、携帯の番号変わってないな?
うん。
どんより。
どんより。
姿見に映った私が驚くほど母に似ている。
アルバムの中から、笑っている母の写真を用意しとかなきゃ、なんて思う私がいて、そんな自分に涙がこぼれる。
私はね、自分が悪いなんてこれぽっちも思ってないし、間違ったとも思ってないよ。
ただ、強情なところは母さん、受け継いだのよ。
いやだ、いやだ、大嫌いだ!!って思ってるのに、似ちゃったんだよね。
悲しいね。
いきなりの夕飯時の電話は大阪からのものだった。
電話を一度抜いた時に、電話帳までリセットされたのか、我が家の電話は番号こそ出るけれどそれが誰からのものかは分からなくなっていた。 受話器を取る前にどこかで見たことがあるけれど・・・・誰だったかしら??程度、そのぐらい疎遠。
忘れてた筈なのに。
無言で受話器に向かうと「もしもし○○です」と。
その○○は私の旧姓。 はい?? ○○?? えっ! 誰?? と感じるぐらいピンとこなかった。
兄嫁、義姉の声だと分かるまで数秒あったと思う。
「ああ、暫くです」と、、、固い声で応える。
実は・・・と言いかけておそらく隣に居ると思われる兄に私と繋がっている事を伝えたのだろう。
「○彦さんとかわりますから」
何年たっても兄の声は変わっていない。 うちの息子がどういうわけか、夫より叔父にあたる兄と声が似ているように感じるのは錯覚か、、、血か。
兄は、多分、、、とても冷静な時はこういう喋り方なんだろうなと思わせる穏やかで優しい声で、私に施設に預けている母が手術をすることになったと告げた。
胆石だそうな。
石ができるとだいたいのたうちまわるような痛みを伴うと言うが、母はそうではないらしい。 ただ、黄疸がひどいとか。
痛まないならほっとけば。。。黄疸がそんなにひどいのか?? いや、ほっといたらどうなるのか。。。
母は既に要介護5になり、認知症は進みに進んで、自分(兄)の事すらよく分かってないと言う。 「そのくせお前の事はよく喋ってるんだ」・・・・・
だから?? だからどうせいと?
明日の午後から手術なので自分はこれから実家に行ってそこで泊まり、明日の午前中に手術の同意書を書くから・・と。
父の死後、認知症を発症した母の処遇を巡って揉めにもめ、絶縁までしたというのに、初めて母を施設に連れていく前日、私に一緒に三重まで来てくれないかと言った兄は、おそらく明日も来て欲しいのだろうと思った。
思ったけれど、そんな内容の電話すら自分からかけられないで兄嫁に先ずかけさせるぐらい、さすがに私たちの間でどんな事が繰り返されたのか忘れたわけでもないのだろう。 だから、兄も来て欲しいと言うような事は言わないし、私も気づかないふりを通す。
もう、他人。
母の事はいつだって喉に刺さった魚の骨のように私の胸をチクチク痛ませるけれど、私はやっぱり自分の受けた傷を忘れられないし、許せない。
兄はおそらく、一番言いたい事を言わず、私も一番、言ってあげれば喜ぶような事を発せず、淡々と淡々と喋っていた。
もう歳だからな、、、何が起こるか分からないし。。
そうね、仕方ないでしょ。。
でも胆石なら外からの粉砕とかで、切らない方法もあるんでしょ。。
ああ、でもな動き回ってMRIにも入れないし、検査もなかなか大変だったみたいでな。。
そう。 認知症で要介護5でそろそろ83にもなろうってのに、今さら手術。。。
ああ。。。
ふぅん。 お任せすれば。。。
また、明日、術後にでも電話するわ。 お前、携帯の番号変わってないな?
うん。
どんより。
どんより。
姿見に映った私が驚くほど母に似ている。
アルバムの中から、笑っている母の写真を用意しとかなきゃ、なんて思う私がいて、そんな自分に涙がこぼれる。
私はね、自分が悪いなんてこれぽっちも思ってないし、間違ったとも思ってないよ。
ただ、強情なところは母さん、受け継いだのよ。
いやだ、いやだ、大嫌いだ!!って思ってるのに、似ちゃったんだよね。
悲しいね。
血の繋がりって不思議。
ありがたかったり疎ましかったり。
思い出話で笑い会える日がくればいいのにね。
だってね、読んでて悲しすぎるもん。
手術って、胆石のじゃなくて胆汁を外に出す手術とか???
知ったがゆえに、心の奥で鎮まっていた波がざわめき出すみたいだね。。。
何だか、私も眠れない夜を過ごしています。。。
ほんとに血の繋がりって、私の場合はうとましいだけ。 今までずっと音信不通でどこの施設に入っているのかも知らなかったのに、こういう時だけ連絡してくるなんて。 私、親戚間でもきっとひどい言われようをしてる筈なのよね。
ま、それも甘んじて受けるけど。
昨夜は電話を聞いてどんよりしたせいか、ウォーキングが気持ち良かったです(笑) なにかイヤな事があったら動くに限るね。
認知症でなかったら手術にも前向きでいられるんだけど、仮に手術がうまくいってもどうなんだろ?って思いがあります。 投薬だけでなんとかならないのかな? 今さら切ったりはったりするのが可哀そうというか、無駄というか。
手術に関しては病による激痛が無いのなら年齢も考えると敢えてする必要もなかろうと経験上私も思います。
母は、姫のおひざ元K山の施設にいるみたい。 それだって、いつからなのかさっぱり知らされてなかったし。
素直ってか、私がどこかで折れたらいいんだろうけれど、今、一番自分の気持ちに素直でいるならほっとくということ。
どっちにしても後悔するんだろうけどね。
兄夫婦はじめ、親戚もほとんど付き合いがあるわけじゃなし、雑音は雑音としてカットします。 今ね、私が歩み寄ったらいままでの10数年の私っていったい何だったの?って思いそうなのでこのままを貫きます。
やっぱりね、今さら母に手術をする意義?が分かりませんが、兄の話だと健康体(ボケてても健康なのか?)でないと、施設には置いてもらえないそうで、病気が見つかった以上、何らかの手は打たなきゃならないんだって。 釈然としませんが。
この記事を読んで、自分の事じゃないと言うのに、凄く切ないのです。
敢えて辛口コメント書くの、ごめんなさいね。
御身内の事、以前の記事に載せてらしたので、
理解してるつもりですが・・・
もし今回の機会にお会いせず、お母様の容態に異変があって、急にご逝去されたら、一生心の傷になりませんか?・・・
お母様が貴女の事をよく話してると言うのを聞いて、何か私、切なくて・・。
悔しい思いは忘れられなくても、お母様のお顔を見てくると言うのは、意に沿いませんか?
ごめんなさいね、嫌な事を言って。
でもね、後悔して欲しくないのです。
部外者が勝手な事言って、許してね。
どうもありがとうございます。辛口コメントとは思いませんよ~。
多分、ほとんどの人がkettyさんと同じように思っていると感じてます。
勿論、自分自身もそれが一番だと思ってます。 さっき兄から電話があって、胆のうを取り去ったとのこと。やっぱり石も7~8つあったらしいです。 痛みがなかったのはほんとになかったのか、頭の故障で痛みを感じなかったのか。
私ね、母が可哀そうだと思いますよ。
ボケちゃって、兄の事すら分からなくなっていると言うのに、私の事を覚えているなんてね。どうせ分からなくなるなら、真っ先に私の事を忘れれば良かったのに。
理性と感情の間にまだ隙間が多くてね。
あはは、強情だこと!
ま、病院に見舞いに行くにしてもひっそりと(笑) 兄が今度の日曜にでも一緒に行かないか、と言ってましたがそれはご免こうむると。
行くなら一人で行きます。 母はともかく兄とは絶対に顔を合わせたくないので。
ごめんなさい、本当に。
なんだか気を使わせちゃったようで申し訳ないです。
ほっとしました。
お一人で是非、お母様のお顔を見に行ってきてください。10年以上お会いしてなかったら、
容貌もずいぶん変わって、寂しい気持ちになるかもしれませんが、ご自身の気が済むと思うのです。縁起でもないけど、ご高齢だから、もしかしたらこれが・・になるかもしれませんし。
kettyさん、ありがとうございます。